「ぼっち飯」希望8割! 上司のランチの誘いはストレス?【コラム03】
平日の出勤時のランチ、あなたはひとりで食べる派ですか?
それとも誰かを誘って一緒に食べに行く派ですか?
© PHOTO荒川和久
2016年8月に、1都3県を対象に僕が実施したネット調査によれば、20~50代の未婚のソロ男・ソロ女たちは、男女ともに8割近くが「ひとりランチ派」でした。8割のソロ男女が「ランチはひとりで食べたい」と思っているわけです。これは、2年前に同様の質問したときと比べて増えています。但し、あくまで「ひとりで食べたい」という願望なので、実際「ひとりランチ」をしているかは別です。 とはいえ、「ぼっち飯はさびしい」と思い込んでいる昭和のおじさんにとって、この数字は驚きではないでしょうか?
上司は無理に独身部下をランチに誘わない方がいいですよ。
さびしいとか関係ない。ひとりで食べたいんです。
ところで、
「おひとりさま」という言葉があります。実は、この「おひとりさま」という言葉、勘違いしている人多いんですが、最近できた言葉ではありません。意外に古く、最初に使われたのは1999年です。ジャーナリストの岩下久美子さんが「これからは個の時代。女性が堂々とひとりで行動できる世の中にしたい」と「おひとりさま向上委員会」を発足させたことがきっかけです。その後『おひとりさま』(中央公論社)という本も出版されました。しかし、まだこの頃はあくまで一部の特殊なものという認識で、広く市民権を得るものではありませんでした。
その後、2000年代半ばから後半にかけて、女性の「ひとり焼き肉」や「ひとりカラオケ」などが各種メディアで取り上げられるようになり、2009年には、観月ありさ主演のテレビドラマ「おひとりさま」(TBSテレビ)が放映されるほどにブームとなりました。
今では、最少催行人数1名からのひとり旅専用のパックツアーサービスもあり、京都などの観光地では、外国人の団体客とは別にひとり旅の「カメラ女子」の姿も数多く見掛けます。
また、昨年12月、東京ウォーカー編集部がおひとりさま向け情報誌『おひとりさま専用Walker』というのを発売して話題になりました。
さらに、富士急ハイランドでも「おひとりさま割引」なるサービスを始めたというニュースも出ました。
どうやら、世間もようやくソロたちの消費力に気付いたようですね。
ちなみに、僕自身は2014年にソロ男プロジェクトというのを発足し、独身者の旺盛な消費力に着目しました。その後、2015年には「結婚しない男たち」、2016年には「超ソロ社会」と立て続けに本を出版し、さまざなメディアに登場させていただいています。こうしたソロ向けのサービス拡充の動きは、確実に需要があるからであり、今後ますますソロモン向け市場は拡大するでしょう。この市場に取り組まない企業は確実に置いていかれます。
「おひとりさま」という言葉はもともと女子向けの言葉として生まれたものです。しかし、よくよく考えると男はそんなの前々からやってたんです。ひとりで焼肉とかひとり酒とか普通だった。「おっさんがやっているものを女子がやるから珍しい」ということでマスコミが飛びついわけです。そこにはどちらかというとディスり的意味合いも含まれています。
なので、僕はこうした単独での消費行動やレジャー行動を男女問わず「ソロ活」と呼んでいます。加えて、そうしたひとりでの楽しみ方を満喫する状態を「ソロ充」と表現し、特殊なものではないと啓蒙しています。
それでは、そうしたソロ男女たちは、いったい、どこまで「ひとり○○」ができるのでしょうか。
「限界ひとり○○」を調べてみました。
© 荒川和久
動物園や水族館でさえソロたちの4割がひとりで行けます。ただ、動物園も水族館もソロ女のほうが多いんですね。これは、女性が動物好き・魚好きということではなく、インスタグラムなどの写真SNSが普及した影響が大きいと思います。動物のかわいい写真をアップロードするためには、長時間檻の前にいないと決定的瞬間は収められません。ひとりで来れば、気兼ねなくその瞬間を待ち続けることが可能になるからです。これは、「ひとり花火大会」や「ひとり祭り・縁日」も同じ理由だと思います。遊園地・テーマパークも、ソロ女は2割、ソロ男でさえ15%以上がひとりで行けます。
ソロ男とソロ女を比較してみると、男女差があります。遊園地や花火大会、祭り・縁日、さらには音楽フェスなどいわゆるレジャー系については、いずれもソロ女のほうがひとりで行く割合が高くなっています。一方、ソロ男は、焼き肉、回転ずし、ラーメン屋、牛丼屋、立ち食いソバ屋など日常の外食関連に集中しています。面白いのは、「行列のできる話題の店」にひとりで行けるのはソロ男のほうが多いことです。食に対するソロ男の貪欲さがわかります。
ソロ男は「ひとり飯」を好み、ソロ女は「ひとりレジャー」を好むというところでしょうか。
ちなみに、「牛丼屋にひとりで行けない男が7%もいるのかよ! 」というツッコミもあろうかと思いますが、これは「そもそも牛丼屋にはいかない」という層です。
ところで、本記事にもあったように、そんな彼らにもハードルが高いのが「ひとりバーベキュー」です。さすがにそこまではみんな手を出しません。が、そんな彼らの需要を創造すべく、果敢に商品開発しているメーカーさんもいます。それが、ドッペルギャンガーさんが発売している、「ひとりBBQ」専用グリル、その名も「秘密のグリルちゃん」。
どうしても「ひとりバーベキュー」をしたい方はぜひどうぞ!