中国では記事の盗作をどうやって阻止するのか
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先日、中国企業Black労働環境(996.ICU)の記事を書きました。中国にいる友人たちにも好評だったのですが、1週間も経ってないうちに友達から別の「996.ICU」に関する日本語記事のリンクが送られて来ました。
内容読んで、翻訳部分がそっくりで、その記事の日付を確認したらまさか2日後のパクリ...早くないですか?笑
正直、最初「996.ICU」について書こうと思った時はちょっと迷いました。だって中国で盛り上がってたのは私が書いた2、3週間前のことですし、もはや時期的にみんなの注目が薄くなっていた話題だったので。でも私たちのnoteはニュースサイトではないですから、ちょっと古いけど良いかなと思って書いたのです。そんな経緯があったので、ここで紹介した後にメディアの方が注目して記事にするのはちょっと今更感というか違和感ありましたね。
そして、言わせてください「まだまだですね!」パクり技術では日本は中国の足元に及ばないと思われます。せっかくなので今日は、中国の個人メディアのパクリ問題について話したいと思います。
中国のメディア事情
前提知識がある程度無いと楽しめないと思いますので、まずは中国のメディアについてさらっと教えます(詳しくは別記事にしました、もっと知りたいって方はぜひこちらもご覧ください)。中国ではSNSやキュレーションメディアの発達に伴い、個人のメディア化が日本よりも大きく進んでいます(他にも中国独自の理由はあるかもしれませんがこれ以上言うとブロックされるかも笑)。
今やキュレーションニュースであっても「UGC」(User Generated Contents)コンテンツは必要不可欠で、UGCが発展するためのプラットフォームがとても成熟しています。
現在TOPのプラットフォームはTencentの「Wechat公衆号」
現在の主なUGCメディアプラットフォームはTencentの「Wechat公衆号」、ByteDanceの「头条号」、Baiduの「百家号」、微博などがあります。この他にも乐乎(Lofter)、知乎(Zhihu)、喜马拉雅(ximalaya)など知識経済と呼ばれている新興メディアプラットフォームもあります。日本のnoteやvoicyですね。
大手プラットフォームのUGCメディアアカウント数は昨年で3155万を超え、中でも最もユーザーが多い「Wechatの公衆号」は市場全体の6割を占め、2000万以上のUGCアカウントがコンテンツを発信しています。
そして盗作記事が生まれる
このようにUGC市場が大きくなっていく過程で生まれたのはコンテンツの盗作です。
記事を盗作され、「パクリ記事」が作られた場合に、オリジナル記事の作者は権利の主張をすることはできますが、盗む側が気にするかどうかは微妙なところです。また、著作権の争いについては、大手メディアならまだしも個人がコンテンツを作ってるような場合は難しいのが現状です。そんなわけで、次から次へと記事の盗作が行われるようになります。
こうした環境を改善するため、先ずTencentがWechatでオリジナル保護の機能をリリースしました。2017年5月から、「Wechat公衆号」では、オリジナルとして認定されたコンテンツを他人が無許可で転載する場合、転載記事であることがわかるように記事下にオリジナルの作者のリンクが強制的に表示されるようなりました。
上の例だと、この記事は「深响」から転載された内容が含まれてると強制的に表示される、「Wechat公衆号」にあるデータベースから自動で、凄い技術。。
記事盗作システム「洗稿」の開発
しかし、そのWechatの新機能に対抗して「洗稿」という文章のロンダリングが現れます。「洗う」・「原稿」です。そして現在これが巨大ビジネスになっています。
他人の文章に対して巧妙に表現や言いまわしを変えることによって、プラットフォームのオリジナル保護システムを欺き、回避することが可能となります。これにより、他人が作った優秀なコンテンツと同等のものを短時間で作ることが可能になり、より影響力のあるアカウントでは「洗稿」の盗作行為により簡単にオリジナル以上のPVを集め、収入をあげることができます。
この「洗稿」、恐るべきことに専用のウェブやアプリも開発されました。キーワードでロンダリングしたい素材を検索することができ、あとは素材を選んでワンクリックでロンダリングすることが可能。わずか数秒で偽のオリジナルコンテンツが生産できます。
「洗稿」さらなる発展と対策
その後もさまざまな「洗稿」の新サービスが生み出され、より良いサービスを提供する有料アプリが続々と公開されました。某ロンダリング用アプリでは、年間198元のサービスで、自動的に文章のロンダリングをするだけではなく、元の原稿と被ってる内容と被ってない内容がひと目で分かるように表示することを可能にします。被っている内容の直しやAI作成の文章に見られる不自然な表現の調整も素早く行えます。
また、「洗稿」ビジネスを生業とする会社では、100文字を1元の値段でサービス提供するところもあります。オリジナル作者が何日間も、調査報道の場合は何年間もかかって書いた文章。それが数分以内に新たなパクリ記事として提供されます。
こうした状況に、2018年7月、中国国家版権局は国家インターネット情報弁公室、工業情報部、公安部と提携し、初めて個人メディアの「洗稿」を版権侵害取締行動「剣網2018」の仕事の要点にしました。そして2019年の中国インターネット版権保護と発展大会でも、「洗稿」への取締を「剣網2019」の最も重要な仕事とし、厳しく処罰すると発表しました。国をあげてこの問題に取り組む意思を政府が掲げたのです。
このパクリ記事問題については、具体的な取り組みとその成果についてを今後紹介していきたいと思います。
ちなみに「中国情報局@北京オフィス」の文章は完全オリジナルですよ笑
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