「AIがAIを創る」技術の意味

自動的に、機械学習エンジンを作る研究(ここでいうAutoML〕は、我々は7年前に開始着手し先行して実適用を行って来た(その途中成果は、「Hitachi AI Technology/H」として、60件を超える実案件に適用されている)。先週は、これを評価され、この分野のトップ国際会議の一つ、GECCOでは基調講演をさせていただいた。

 この経験を踏まえて言うが「AI技術がどんなに発展しても、原理的に、AIや機械学習が人間を超えることはない」。

 なぜなら、どんなに進んだAIもそれを作った人がいて、その作成者はAIよりも賢いからである。これはこの記事のAutoMLの場合にも同じである。AutoMLを作った人は、原理的に自分の作ったものより賢い。作った人は当然ながら、その原理や詳細をすべて分かっている。その他の選択肢をなぜ採らなかったかも知っている。さらにどこに発展しそうかもしっている。自分が作ったものなので、あたりまえである。

 大事な点は、我々は、人工知能や機械学習技術を作りながら、我々自身が賢くなっている点である。作った機械以上に我々は必然的に賢くなっている(そうでないと作れないです)。だから原理的に機械は人間は越えられないのである。

 AIの能力が加速度的、飛躍的に高まる現象(シンギュラリティ)がおきるとすれば、それはそれ以上に、人の能力は加速度的に高まっているということである。

 そもそもAIをマシンの一種と捉えるのは実態とは異なる。AIとは「方程式」の発展版である。人類は、ニュートンによる運動の方程式からスタートし、量子現象を表すシュレディンガー方程式に発展させた。このようにして、未知の現象を理解する能力を高め、それによって、10億個もの素子をチップ上に集積したり、DNAを解析できるようになった。AIというのは、上記の方程式をさらに発展させたものである。

 我々人類の未知の現象に対する科学的な理解に関する進歩そのものなのである。

https://diamond.jp/articles/-/174990

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