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“オンライン”と“対面”の併用による、採用の未来 ~当社が選考基準で重視するポイント~


皆さん、こんにちは。

今回は「採用活動」について書かせていただきます。

企業の採用説明会が1日に解禁され、2022年卒の学生の就職活動が本格的に始まった。新型コロナウイルス禍のもとでも対面で接触したいとのニーズが学生と企業の双方にあり、大規模な合同企業説明会も再開された。優秀な人材を確保するために企業の採用活動が早まり、政府が定める就活ルールの形骸化も進んでいる
リクルートキャリアは同日午前から、全国各地で合同企業説明会を開いた。千葉市の幕張メッセの会場には約220社が参加する。同社は20年2月下旬以降、就活関連イベントをオンラインに切り替えていた。実際の会場に人が集まる合同企業説明会は19年3月以来2年ぶりだ。就職情報大手のマイナビも同日、横浜市のパシフィコ横浜などで合同企業説明会を開催した。
リクルートキャリアはリアルな場のイベントの意義について「学生が製品をみて事業内容を学んだり、企業の熱意を感じたりできる」とみる。会場に向かう男子学生は今回が初めての対面での説明会でもあり「直接声を聞け、ネットよりも質問しやすそう」と期待する。別の女子学生からも「人事担当者とじかに話せる」との声が聞かれた。
もっともリクルートキャリアとマイナビともに感染対策のために学生の参加者数には制限を設けている。リクルートキャリアの説明会では新型コロナ感染対策のため参加者には企業の説明ブースに入るための整理券を配り、参加人数を抑えた。会場にも出展企業と事前登録した学生、リクルートキャリア関係者以外は入れないようにした。
この1年間で企業説明会やインターンシップなどの就活はオンライン化が進んだ。マイナビのインターン参加者への調査によると、1月にウェブのみのインターンに参加した学生は85.6%だった。マイナビは1日、オンラインでの大型の説明会も開いており、当面はネットと実際の会場を併用した活動が続きそうだ。
就活ルールに沿わない採用活動も進んでいる。政府は3月1日に説明会、6月1日に選考活動を解禁するルールを定めている。ただ就職情報大手のディスコ(東京・文京)の調査によると、2月1日時点での22年卒の内定率は13.5%と、前年の同時期の調査と比べ3.5ポイント上昇した。新型コロナ下でも早期に優秀な学生を囲い込むために、インターンなどによる採用活動の前倒しが加速している。
リクルートホールディングスグループのリクルートワークス研究所によると、大卒求人倍率は21年卒が1.53倍で前年から0.3ポイント低下した。新型コロナの影響で下落したものの、依然として高水準が続いている。


記事にある通り、今後、採用活動においては、「オンライン」と「対面」の併用が進みます
併用スタイルがスタンダードになっていくため、どちらが良いかという二者択一ではなく、どんな目的でどの場合にどちらを使うか、という視点に切り替えることが必要だと思います。

■今、採用担当に求められている力とは


サイバーエージェントではこの1年間で、緊急事態宣言中を除いて、基本的にはオンライン採用をベースとしながらも、必ずどこかのタイミングで一度は対面で直接お会いする、というルールを作り選考活動を行ってきました。

それは、選考において、オンラインでは分かりにくい部分、たとえばその人の雰囲気であったり、言葉のニュアンスであったり、話す時の表情やジェスチャー、立ち振る舞いなどの情報が伝わりにくいという点がネックだったからです。

どの企業も、採用においてはそれぞれの採用要件があり、選考基準があります。
その基準に満たしているか、入社後の活躍確率が高い人を採用できているか、ミスマッチをいかに抑えられるかなどは採用の成果を測る上でも非常に重要で、オンライン採用だけではどうしても懸念点を払拭できません
ただし、それはオンライン採用に慣れていない、成功のためのノウハウがまだ溜まっていないからこそ出てくる懸念点かもしれない、ということもお伝えしておきます。

これは選考を受けていただく候補者側も一緒で、自分が話した内容が十分伝わったのか、相手の反応からはこの面接がうまくいったのかいかなかったのかが分からず不安だという声が多く聞かれます

企業側も候補者側もお互い不安要素がある状態のため、当然「オンライン」と「対面」をどう組み合わせていくのかという話になります。

この組み合わせ問題を、自社にあった形で機能させるための『プロデュース能力』こそ、今採用担当に求められているのです。

■オンライン面接が上手な人の特徴


少し話が逸れますが、対面面接との違いも多々ある中で、オンライン面接が上手な人の特徴を記載します。

① 印象が良い(笑顔、明るい、人柄のよさ、前向き、熱量など)
→これはオンラインでも対面でもどちらにも言えることですが、面接者は限られた時間の中で、候補者のことをしっかり理解した上で判断しないといけないため、第一印象が良いに越したことはないです。特にオンラインだと伝わりにくい点が「熱量」です。新卒採用においては、入社後に「育てていく」ことを前提に、学生の能力よりも“人となり”や“人柄”を重視するため、自分の思いや、将来実現したいことなどを淡々と伝えるよりも、ワクワクした感情で伝える方が評価は高まります。
もちろん、感情を表現するには様々な方法があり、一概に、前のめりで熱く語ることが正解というわけではありません。いつもの自分を、自分らしく、前向きにポジティブに表現する。その上で“言葉に感情を乗せた”方が、相手に伝わりやすいのではないかと思います。
② 視覚的に伝えられる情報を多く取り入れる
→候補者の中には、面接があまり得意ではない人や緊張しがちな人ほど、本来の自分を知ってもらおうと様々な工夫をして面接に臨む方もいます。
「言葉で伝える以外の手段で自分を表現する」ということなのですが、私自身が面接をさせていただく際も、事前に自己PRの資料を準備したり、イラストを描いて自分を表現したり、オンライン面接なのにスーツを着て立って待っていたり、画面の後ろにうつる自分の部屋にその人を象徴するもの(たとえばギターやスポーツのユニフォームなど)をわざと置いていたりなど、多種多様な工夫をされている方が多いです。
③ 言葉の精度が高い
→対面の面接において面接者は、候補者が発する“言葉”以外にも注目すべき情報(雰囲気、細かい表情や視線、ジェスチャー、立ち振る舞いなど)があるため、話す内容を聞きながら、別の情報も取りに行こうとします。
一方、オンラインだと、言葉以外の情報が少なくなるため、話す内容そのものに、より注目します。
そうすると、言葉のチョイスが秀逸であったり、しっかりとした思考の上に言語化された話であればあるほど、評価が高まる傾向にあります。


3つご紹介しましたが、総じて、オンライン面接では「伝える努力をどれだけ惜しまずできるか」がポイントだと思います。
先ほど触れたように、対面での面接よりも伝えられる情報量に限りが出てきてしまうので、その制約の中で、伝えるパフォーマンスレベルをどれだけ高められるかが重要です。


■選考基準で何を最も重要視するのが正解か


結論から言ってしまうと、「カルチャーマッチするか」は、当社では特に重要視しているポイントです。

「カルチャー」=「企業文化」という意味で使っていますが、採用活動のうち、「面接」という選考手段は、「会社の社風や文化に候補者がどれくらいマッチするかを見極める作業」と言っても過言ではありません。

「なぜカルチャーマッチが大事なのか」ですが、マッチ度が高い人ほど
・仕事のパフォーマンスが高まりやすい
・会社や組織に対するロイヤリティが高まりやすい
・自分のことだけでなく、チームでの助け合いが生まれやすい
・社員間で信頼関係が構築されやすい
・定着しやすい
・仕事への満足度、充実度を得られやすい

などの傾向があるからです。

ではその「カルチャーマッチ度をどう見極めるか」ですが、少なくとも採用担当者は、「自社のカルチャーとは何か」を要素分解しておかなければいけません。
会社のカルチャーと候補者の価値観や考え方、性格などが合っているかを推し量るには、自社のカルチャーがどんなものかを分かっていなければ始まりません。
その上で、面接者側は、候補者が入社したとして企業文化にフィットした状態で活躍してくれそうかどうかを想像していくのです。少しだけネタバレしてしまいますが、私自身も面接で「〇〇さんとサイバーエージェントのカルチャーは合っていると思いますか?その理由も教えてください」とストレートに聞いたりもします。

また、候補者側も企業を選ぶ上で、自分の価値観や考え方に合っている会社かどうかを見極めながら選考に臨むと良いと思います。
この一年間でオンライン面接が急増したことで、十分に会社の魅力が伝わらなかったり、職場の雰囲気や社員の雰囲気が伝わりづらくなってしまっています。
候補者にとっても自分が本当にその会社にマッチするのか不安が募っている状態ではないでしょうか。

その懸念を払拭するには、実際にオフィスに足を運び、社員と対面で会う、社員と直接話すことが一番ですが、オンラインでの情報収集やオンラインでのOB訪問などでも十分理解を深められると思います。情報開示や広報が十分でない会社もありますので、志望している会社のカルチャーに関する理解が不足している場合は、足りない情報について企業側にリクエストしてみると良いかもしれません。


最後に、言うまでもなく、この一年間で、採用手法をはじめとした“採用”そのものが大きく変化しました。
面接・面談・インターンシップなど全ての採用活動において、オンラインベースで考えざるを得ない企業が大幅に増え、従来の対面での採用活動との違いに直面し、やりにくさを感じている企業は多いはずです。

一つ言えることは、アフターコロナ時代に突入しても、採用活動の在り方は、完全に元に戻ることはないということです。
それは、働き方の変化と同様、リモートワークのメリットデメリットを誰もが実感し、良いところはそのまま残そうと各社取り組んでいる動きと似ています。
対面で行う採用活動のノウハウはこれまでの勝ちパターンもあり、ある程度各社に蓄積されているものがありましたが、対面以外での採用活動の“正解”は、まだまだ模索中と言っていいと思います。

これからの採用の“正解”を追求していくために、この転換期をチャンスと捉え、一つ一つの問題、壁をクリアしていくことが、改めて今、企業側にも候補者側にも求められているのではないでしょうか。



#日経COMEMO #NIKKEI

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