「ズル」はショートカットに見えて、実は人生の損にしかなっていない
仕事でも、プライベートでも、あちこちで「ズル」の誘惑はあるものです。人が見ていないような場所だと、「ちょっとくらい… これくらい…」と、ついつい自分の弱さに負けそうになったことは誰しも経験があるでしょう。
ズルをすると、正しいやり方よりも少ない時間やリソースで目的を達成できると思い、いつもそういう道を選んでしまう大人も残念ながら少なくありません。そして、「自分はうまくやっている、得をしている」とほくそ笑むのです。
しかし、です。そういう人たちは、本当に「得」をしているのでしょうか？自分の中では瞬間的な「利益」を得たつもりでも、長い目で見れば、人生の中では大損になっていることも多々あります。実際、そういう例をたくさん見てきました。
僕がかつてパートナーシップを組んだ会社の社長。面白いキャラクターですし、話もうまい。一見、とてもビジョンに溢れた経営者に見えます。実際、周りの人もそのように思っているように見えました。
しかしながら、いざ一緒に仕事を始めてみると、一部の社員からとても評判の悪いことが分かりました。それどころか、いくつかの取引先からも悪い話が聞こえてきます。総じて、その社長と関係が近ければ近いほど、評価は下がる傾向にあるようです。
ほどなくして、その理由が見えてきました。付き合いがまだ薄かった段階では問題なかったのですが、実際にその社長と一緒に仕事をすると、細かいことにとてもセコいことが気になるのです。そして何よりの問題は、微妙にいつも「ズルい」行動を取るということです。
別に、その社長は大悪党というわけではありません。なにか大きな不正を働いてるということも恐らくないのでしょう。ただ、関係する人に対し、「相手からちょっとでも得をしたい」という意識が強すぎるのです。そして、ギリギリの、グレーな感じの「ズルい」やり方で、相手から少しでも利を得ようとするのです。自分だけが、です。
彼は、自分のことを評して、「オレは交渉がうまいんだ」と言ってました。本心からそう思っていたのだと思います。なんせ、交渉事においては必ず何かしらの細かい「利」を得るというゴールを達成するので。（もちろん、相手側の「損」と引き換えに、です）
だから自分自身は、その能力（？）のおかげで、「俺の人生、いつも得をしている」と思っていたようです。実際、ドヤ顔でそのようなことも語っていました。
しかしながら、です。周りからの、特に近い人々からの評判は本当に最悪なのです。気づかないのは当人ばかり。だから特に重要な幹部社員から辞めていきますし、大事な取引先からも、「もうあの人は結構です…」と陰で言われてしまいます。
得をしていると思い込んでいるのは当人ばかりで、実際には「大損」をしていたということです。細かい利益を、セコくズルく取りにいってたばかりに、「人からの信頼」という最大のものを失っていました。そしてこういう例は、決して珍しくないということに注意が必要です。世の中のあちこちで、同様のことは普通に起こっています。
人に対しての「ズルい行動」ばかりを繰り返していると、周りからはまったく信頼されなくなってしまいます。たとえ面と向かっては言われなくとも、「この人とは一緒に仕事したくないな」と思われてしまうことでしょう。悲しい話です。
「ズル」は、自分が自分へ持つ信頼も低下させる
「自分の人生をどう生きるか」を考えるのは、とても大切なことだと思います。もし目先の物質的な利益や損得だけにとらわれてしまうと、人生で最も重要なことを失うことになりかねません。
ズルをすると、瞬間的には利益を得られるように思えるかもしれません。しかしそれは、あくまで上辺だけの、はかないものです。
他者の目をバカにしてはいけません。ズルをする人は自分の行ないはバレないと思っているものですが、 多くの場合において他者に勘づかれてしまっています。そしてその結果、信頼という、 人生で最も大切なものを失ってしまうのです。
そして何より大切なこと。ズルをすることは、他人からの信頼を失ってしまうと同時に、「自分自身を欺く」ことにもなります。ズルして何かを達成した自分に、本当の自信を持つことができるでしょうか？ズルをするたびに、自分自身を信頼する心を損なってしまうのです。
ズルをすることが常習化すると、自身への誇りを持てなくなり、自分という人間を承認できなくなってしまいます。
その結果、とてもつまらない人生を送ることになります。ズルをすることは、決して自分の得にはならないということ。そのことを忘れずに、日々の行動に気をつけ、しっかりと正しい道を選びたいものです。
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