「希望退職45歳」時代に考えるキャリアオーナーシップの話
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
コロナ禍が長引く中、業績不振による希望退職を募るニュースをよく見るようになりました。実際に2020年に早期・希望退職募集を開示した上場企業は93社(東京商工リサーチ調べ)。前年の35社から2.6倍に急増そうです。
2021年は前年からは減少しましたが、2年連続で1万5000人超と高い水準になっています。
これらの大半は業績不振によるものですが、新しい形の希望退職も出てきました。「仕事内容や役割を見直す中、キャリアの再スタートを切らないといけない」。パナソニックの楠見雄規社長は21年10月の記者会見でこう語っています。同社は事業戦略の転換を推し進めるにあたって、従来のハードウェア売り切り型のビジネスから、ソフトウェア継続課金型ビジネスと大きくシフトしようとしています。それに伴う組織変更と配置転換により減給となる社員も出てくる見込みで、留まるか外の機会を掴むかの選択肢を提示したとのことです。
日本は解雇規制が厳しいため、会社都合によるいわゆる「黒字リストラ」は行われてきませんでした。実際には事業転換によって旧来業務を担ってきた社員を削減する目的での希望退職が年々増加傾向にあります。その場合には単なるリストラは許されず、退職パッケージ(割増退職金、転職先の斡旋サポート、リスキリングなどへの投資)がセットで行われるべきです。ここに関しては国(厚生労働省)が主導で一定の基準を設ける必要もあるかもしれません。
いま盛んに叫ばれている「ジョブ型雇用」においては、上記がダイナミックに行われます。人にジョブをつけているわけではなく、ジョブ(ポジション)に対して人を雇用しているためです。事業転換によりそのポジションがなくなれば、自動的にそこにいる人は不要になります。極端な例でいうと「日本撤退」です(極端といいつつ結構あります)。この場合は日本で勤務する社員全員が次の会社を探すことになります。もちろん外資系日本支社に勤務する方々はジョブ型前提なのでこのような自体も想定はしているのですが、実際に自身が体験するとなると結構心にくるものはあるでしょう。
日本におけるジョブ型雇用の実装がグローバル・スタンダードなものになるのか、魔改造された「日本的ジョブ型雇用」になるのかはまだわかりません。上記のような事例を我々がどう捉えるかという、社会的コンセンサスの問題なのだと思います。今後、労使で落とし所を探していくしかない部分でもあります。
時代の流れとしては確実にジョブ型になってくるという前提で言うと、全社会人が「明日転職できる状況」に自身を磨き込んでおくことが重要だと考えています。現代版の「いざ鎌倉へ」ですね。考えるきっかけとして良い記事がありましたので、以下にリンクしておきます。
明日1月24日(月)の12時に、この記事の執筆を担当されたルーセントドアーズ代表 黒田真行さんと対談するライブを行います。人生100年時代、ジョブ型雇用制度、新型コロナ…。日本の雇用環境は、様々な要因によって、大きな節目を迎えているのは間違いありません。今回のライブでは、日本の人材市場を最前線で見てきた黒田さんに、その変化の本質、そして自分自身の価値を知ることの重要性について伺いたいと思っています。時間になりましたら以下のページからご覧いただければ幸いです。
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タイトル画像提供:Ystudio / PIXTA(ピクスタ)
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