AIやデータの時代に、従来のIT関連人材とは求められることが、大きく変わってきているので注意が必要です。

 まずAI人材には全く異なる二つのタイプの人材が求められます。第1は、AIというエンジン自体のアルゴリズムを創る人で、第2は、AIのエンジンを使って社会の問題を解決するシステムやソリューションを創る人です。

 第1のエンジンを創る人は、数理に強い人ですが、期待できるのが、理論物理や数理生物などの人材です。

 第2のソリューションを創る人は、全く異なり、むしろ建築家のように、AIやデータという建材を使って、現実の目的や制約に沿ったモノを創り上げる人です。ただこれはこれまでのSIより、AIとデータによって自由度が大きく拡がっている分、従来のSIの発想が染みついているとむしろそれは障害になると思われます。これをリセットする学習が必要でしょう。

 人材のプールとしては、明らかに第2のソリューション人材が大量に求められます。

 この手の議論で間違いやすいのは、AIやデータだから数学ができる人材だ、というような誤解です。むしろ第2のタイプでは、従来のSIよりも社会のことをより深く理解する必要があります。さらに社会をいかに変えるか、にも関心が必要です。数学を深めるのとはむしろ逆の方向だと思います。

 第2のAIソリューションがつくれる人材を育てるにはどうすればよいでしょうか。建築の教育が参考になると思います。建築では、学部でも、具体的な立地と目的の制約のある課題を与え、数ヶ月掛けてコンセプトから設計までをさせ、それを評価していきます。例えば、私の知り合いの大学生は「目黒川沿いのこの形状の敷地に、カフェ付の本屋を設計する」という課題を与えられていました。AIについても、同様に具体問題と具体データを与え、これをどう解くかにとり組ませることで人材が育つでしょう。

 今の若い人は、ウェブから情報を取り入れるのは大変上手なので、ウェブでも得られることの教育に割く時間は最小限にして、上記のように具体問題と具体データで格闘させる教育を若い時から行えば、一気に人材を増やせると思います。高校生からこのようなAI教育なら可能だと思います。

 新しい発想で日本をアップグレードすることが必要です。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180603/k10011462791000.html

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