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英独などで出た良好な経済統計に対する3つの指摘

英国、ドイツなどでは、5月を起点に小売売上高指数の回復が進み、既に新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで回復してきていることが見られ始めた。経済を再開させたことで、指数の回復が見られているのだとすれば、それはそれでよい判断だったと考えられなくもない。

だが、こうした指数が全体的な経済活動の強さを測る優れた指標になっていない可能性がある。その理由として三つ指摘できる。

第1に、ほとんどの国ではロックダウン期間中、生活必需品以外を扱う商店が休業していたため、最近の急激な回復には消費財の累積需要が開放されたことが反映されている。欧州全土で幅広く導入された一時帰休の縮小に伴い、今後、正式な人員解雇が増加する可能性は高く、その場合、これまでみられた個人消費の回復は息切れすることになると考えられる。

第2に、家計はレストランや接客サービスなど、概算でGDPの3~5%を占める消費者向けサービスに対する支出を減らしており、こうしたサービスが小売売上高指数に含まれていない英国を始めとする国でみられた指数の回復は、個人消費の構成が変化していることを示唆していると考えられる。

第3に、この小売売上高の伸びの大部分はオンライン販売によるものであり、伝統的な実店舗は来客数の減少による売上高の落ち込みを依然として克服できていない。Visaのデータによると、6月に英国では対面での小売売上高が前年同月比▲20%の減少となる一方、eコマース売上高は同+15%と急増している。オンライン小売業者の売上高が軒並み急増していることは我々の生活を見回すだけでも合点が行く。こうした形の競争が続くことになれば、小規模小売業者は失った市場シェアを取り戻すことができない可能性が高い。

 以上から、小売売上高指数を見て世界経済が回復しつつあると見るのは難しいと言えるのではないだろうか。欧州は共同基金が出来て以降、マーケットの材料にならなくなっているのは確かだが、景気回復は果たせていない。しかも欧州では第二波懸念が高まり、感染増によるコロナ対策が再び厳格になりだした。今が嵐の前の静けさでなければいいのだが。

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