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高度な技能を持つ外国人を歓迎している企業はどれだけあるか?

日本は高度な技能を持つ外国人定着率の高い国

昨日の日本経済新聞を読んでいたところ、面白い見出しが目に入った。

このタイトルだけを見ると、日本もまだまだ捨てたものではないなと思わされそうだ。外国人定着率が高く、5年後に4割も残ってくれているのは優秀じゃないかと。
しかし、記事の内容をよくよく読んでみると、楽観視できないことを知る。定着率が高いのは、そもそも絶対数が少なく、尚且つ、日本で働く外国人は「日本が好き」で働いているので定着しやすい背景をもつという。
加えて、欧州は特に高度な技能を持つ外国人が定着しにくい地理的な要因もある。英語が話せれば、たいていの国でビジネスができるため、地続きなこともあって複数の国で行き来しやすい。
それに対して、日本で働くには日本語のハードルが高いだけではなく、日本独自の商慣習にも適応しなくてはならない。その高いハードルを越えてまで日本で働くという選択をしてくれた外国人であるため、定着率は高まる。

外国人が日本で働くことのハードルが高い

私的な話になるが、私は留学中に渡航先の大学で出会った女性と結婚し、日本に連れてきたため、日本人の中では外国人向けの求人に触れる機会が多いと思われる。そこで感じることは、外国人が日本で職を得ることの難しさだ。
人手不足だから外国人雇用を増やさないといけないとメディアでは騒がれているが、外国人向けの求人からはそのような印象は起きない。というのも、多くの求人が外国人の目線に立って作られておらず、魅力的に映らない。
まだ、日本の大学に留学していた大学生ならまだしも、我が家のように留学生ではなく、海外から直接渡航してきたケースは猶更、難易度が高い。
特に、外国人にとってハードルを高くしている条件は以下の4つだ。

  1. 日本語能力試験N1が求められる:求人の多くがN1相当の日本語能力を求め、英語だけで完結できる仕事がほとんどない。N1の受験者の約72%が東アジア圏であり、漢字に馴染みのない国の外国人にとっては高いハードルとなっている。

  2. 海外の実務経験が応用しにくい:日本での仕事の進め方が、言語の問題も合わせて特殊性が高く、エンジニアなどの一部の専門職を除いて海外での実務経験が評価されにくく、同時に応用も難しい。

  3. 求人のバリエーションが少ない:外国人向けの求人が、外国語教師(ほとんどが英語)か、技能実習生関連、もしくは観光業か工場勤務となっていて選択肢が少ない。

  4. 普通自動車運転免許が求められる:日本人向けの求人と併用しているためか、業務内容からは自動車の運転が必要なさそうな求人でも、普通自動車運転免許が要件に入っていることが珍しくない。

この中でも特に、英語だけで完結できる仕事がほとんどないことが、留学生ではない外国人が日本で仕事を探すときに大いに頭を悩ませる。そのため、英語で仕事ができるのであれば、高度な専門性を発揮できるにもかかわらず、仕方がないからと子供英会話教室の先生として働いている人も少なくない。特に地方都市に来ると、外国人にもオープンな仕事は「子供英会話教室」「技能実習生関連」「ホテルの受付」くらいしかなくなる。

本当に高度な技能を持つ外国人に日本に来て欲しいのであれば、労働市場を整備することは急務だと言えるだろう。

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