『生命とは何か?』シュレディンガーの誤り

現在の分子生物学が隆盛する原点になったのが、シュレディンガーによる『生命とは何か』。

この本は、DNAの存在を、顕微鏡やデータではなく、理論物理的な考察から導いた画期的な本である。ある意味で、量子力学の基本となったシュレディンガー方程式の発見以上に画期的な主張とも見られる。遺伝情報が安定的に伝わるためには、物理学的には非結晶的な物質(DNA)の存在が必要であることを導き出している。これを私が初めて読んだ時には、物理の適用範囲を飛躍させた本当に凄い人だと思った。

もう一つこの本で有名な主張が、生命はエントロピーを外に吐き出して、自らの秩序を保っていること。これをシュレディンガーは、負のエントロピー(ネゲントロピー)と呼んだ。

いろいろな幅広いデータ解析の経験し、これにエントロピーの概念を活用した今、このシュレディンガーの主張に私は、疑問を持っている。というより、シュレディンガーは間違っていると考えるようになった。まず、シュレディンガーは、エントロピーを一様な乱雑さと捉えている。しかし、定義を素直に見ると、エントロピーは、多様な可能性を秘めた状態のことである。一様でランダムであることは意味しない。生命は、多様な可能性を常に探索する存在であり、これはエントロピーが増える方向である(簡単な計算で確認できる)。

むしろエントロピーとは生命そのものの原理である。我々は、常に多様な可能性を探索することで、進化し、多様性を生み、そして、持続性を高めてきた。エントロピーは、生命を生み出した原理そのものである。

とても、この場では書き尽くせないが、いつか、これをいつかきちんとまとめて論証したいと思っている。

https://www.amazon.co.jp/生命とは何か―物理的にみた生細胞-岩波文庫-シュレーディンガー/dp/4003394615/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1542464967&sr=8-1&keywords=生命とは何か

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