ライフスタイルを変えるための自己投資
『30代にやった自己投資の中で何が一番よかった?』
もし、私が娘からこんな質問を受けたら、『自分にあったライフスタイルを探した1年』についての話をしたいと思う。
日経新聞COMEMOでは、1年の始まりでもある1月に #やってよかった投資 についての意見募集があった。わたし自身、娘が生まれたタイミングでもあったので、娘に話しかけるつもりで、このnoteを書いてみたいと思う。
自己投資とは何か?
そもそも自己投資とは何かというと、辞書では「自身の能力的・人格的な成長あるいは美的洗練のために資本(資金)を投じること。あくまでも前向きな(多分に中長期的な)観点に基づき自分のために金を使うことである。」とある。
うーん。もう少しンプルに言いたい。
娘にひと言で言うならば、「自己投資は”将来の自分のため”にお金や時間を使うこと」と伝えたい。
よかった自己投資とは
過去を振り返って、わたしが将来のためにやってよかったなと思う投資は『自分にあったライフスタイルを探した1年間』だと思う。
世界的ベストセラーである『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』。わたしはこの本を読んだ時、理屈はわかるし、視野を広げてくれる。
でも、この本はどんな生き方や働き方が自分にあうかは教えてくれない。結局は、自分で見つけていくしかないんだと思ったことがある。
当時の私は、企業勤めの生き方しかしたことがなかった。
この書籍にはボランティアの時間を持ったり、旅をする時間を持ったりと柔軟に生き方を変えていく人々のストーリーが紹介されていた。自分にあった生き方をするために、書籍で紹介されるよういろいろなる働き方や生き方をしてみたい。
しかし、働く場所や人を変えることはとても簡単ではない。
「わたしに合うのか試してみたい」
そう思ったとき、「服」であれば簡単に試着することができる。しかし、「新しい職場で働くこと」や「仕事をしない時間を持つこと」「ボランティアだけやってみる時間を持つこと」など、様々な生き方や働き方を「試してみる」ことは決して簡単ではない。
だからこそ、私は将来の自分のために試してみる時間を持ちたいと思った。
そして、その時間として『育休期間』を使ってみることにした。子供が生まれると価値観が変わると周りの先輩パパ・ママたちから聞いていた。また、子育ての期間は長いようで短い。自分の人生に、どのような形で「子育て」の時間と向き合っていくか、また「仕事」という時間を入れられるのかなど、実験をしてみたいと思った。
『試してみる』ことで『将来の自分にあった働き方』を見つけられるかもしれない。そう考えて、私は1年という育休期間を投資することにした。
自分はどんな働き方が心地よいのか?
子供が生まれたタイミングということもあり、わたしが試してみようと思ったのは3つの働き方だった。
「専業主婦」「フリーランス」「法人経営」
これら3つの働き方を1年間の育休期間に、それぞれ3〜4ヶ月づつ経験してみることにした。
ライフスタイル実験1:専業主婦
「専業主婦」になった3ヶ月は、家事と育児のみを行っていた。最初の2ヶ月は初めての育児になれることに必死だった。その期間を終えて、3〜4ヶ月目から落ち着いて「専業主婦」時間を持つことができた。一日24時間は子供の授乳、オムツ替え、洗濯、買い出し、片付け、ご飯の準備で埋まっていく。この期間に驚いたことは、子供との時間がとても愛おしいこと。我が子は、毎日変化していき、そのために私自身が学ばなければいけないことが凄まじく多い。私はこれまで「家事と子育て」の日々にはあまり忙しさがないと思っていた。しかし、実際に自分が「専業主婦」の時間を経験してみると、その印象は一変した。この期間が私にとって最も学びの多い時間になった。
ライフスタイ実験2:フリーランス
次は「フリーランス」として仕事をする時間を3ヶ月ほど持つことにした。慣れない子育てだけで精一杯の日々だったけれども、社会とのつながりを感じたいという思いも強くなってきた。毎日の食事も「子供のために、より母乳が出やすいもの」を考えるようになり、その結果「あなたは何を食べたいの?」と聞かれると「私はどんな食べ物が好きだったんだっけ?」と分からなくなっていた。だからこそ、子育てのスキマ時間に、わたし個人でできる範囲で仕事を請け負うことで「ミノさんは、どう思う?」「ミノさんは、何がしたい?」と聞いてもらえる時間はとても嬉しかった。その一方で、これまでは組織に属しチームで働いていたがゆえに、自分だけでできる仕事の範囲が小さいことに驚いた。
ライフスタイ実験3:経営
最後は「法人経営」を3ヶ月ほどやってみることにした。「法人経営」といっても、短期間で大きな事業を立ち上げることは難しかったので、名ばかりの会社だった。だけれども、法人登記をして税や事業について学び、協力してくれる知人や家族をパートナーとして、顧客にサービス提供を行う時間に挑戦してみた。長年会社経営をしている人からは、遊びのように見えたと思うが、私にとっては組織として仕事をするために、サービス提供以外に税金や、チーム運営で多大なる時間を注がなくてはいけないことに驚愕したことを覚えている。
3つの働き方が、その後のキャリア形成に与えた影響
これら3つの働き方を経験して、私は仕事に対して「社会にインパクトを与えたい」と強く思うことが分かった。
しかし、「社会にインパクトを与えたい」と思った場合は、子育てに多くの時間を取られる中で、自分ひとりだとできることには限界があることを痛感した。また、限られた働く時間での自身のパフォーマンスを最大限にしたいと思った場合、『このチームに貢献したい』と思えるかは私自身にとって仕事での幸福度を左右するとても大切な軸になることが分かった。
自己投資をする際の注意点
自己投資をする際に、わたし自身が注意していたことは『周りの意見を全く気にしない』ことだ。育休期間という比較的短くない期間を、周りの先輩ママたちは、MBA取得に使ったり、資格取得に使っていた。
わたしにとってそれらは、とてもわかり易く、成長の成果を得られる。リターンを感じられる投資先のように思えた。そして、それらの目標を持ちたいと思えたことを羨ましいなとも思った。
しかし、わたし自身は、育休期間を『自分にあったライフスタイルを探す時間』として投下してよかったなと思う。
子供が生まれて、自分自身の価値観や、時間の使い方が大きく変わる時期に、「私はこれでいい。これがわたしが心地よいと思う働き方だ」と自信を持って言える自分になれている。
自身の選択肢に自信を持てることで、仕事にも子育ての時間にも迷いがなく向き合えている。
わたしにとって『自分にあったライフスタイルを探す1年』は、周りから見れてば、育休中に専業主婦をやったり、ちょこと働いてみていた人かもしれない。
しかし、わたしの中では『ライフシフト実験期間』だったのだ。
人生100年時代、どんな働き方が自分にあっているのかなんかやってみないとわからない。わたしの場合は、子供が生まれたタイミングで、自分の子供を大切にしながら、私自身が社会に出る方法を探すために投下した時間が、とてもよい自己投資の時間だった。
そして、今後も、そんな遊び心ある自己投資の方法を探しては、自分の生活に取り入れていけたらと思う。
参考情報
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