時の政権が影響する景気循環の長さ
時の政権がどういう状態にあったかによって、景気回復時期の長短に大きく影響していることが過去の事例から明らかになっています。
1951年以降、観察された景気循環の中で、過去に50ヶ月を超えた景気回復期が3回だけ記録されています。一回目が、第6循環(1965年10月~1970年7月)の57ヶ月。二回目が、第11循環(1986年11月~1991年2月)の51ヶ月。そして、3回目が第14循環(2002年1月~2008年10月)の73ヶ月です。この3回の景気回復期は、いずれも戦後の長期政権の上位にランクされる安定政権の下で達成されています。
第6循環は、正に佐藤栄作元首相が政権の座にあった期間に景気回復期を迎えており、第11循環にも中曽根政権の後半に景気が上向き、後の政権にバトンタッチされています。また、第14循環は小泉政権の元で、景気回復が始まり在任中ずっと好景気を維持し続けました。
このように、政権が長期に安定すると、景気回復の期間が長く続く傾向があるのは、間違いのない事実です。背景には、長期政権であれば思い切った政策が実行しやすくなり、そのような政策を実行することで、経済が活性化し、国民の支持も獲得しやすくなるという好循環が生まれることが推察されます。
現在の第二次安倍内閣が発足したのは、2012年12月26日であり、すでに発足してから7年近く経っているため、戦後最長の長期政権となっています。そして、景気回復の期間も小泉政権時の戦後最長を超えている可能性があります。
しかし一方で、すでに10月の消費税率の引き上げ時期よりも前に景気後退に入っており、今回の消費増税が景気後退局面を長期化させてしまうという見方もあります。
そもそも、安倍首相が掲げたアベノミクスの最大の目的がデフレからの脱却です。そして政府は、消費者物価、GDPデフレーター、需給ギャップ、単位労働コスト(ユニット・レーバー・コスト)の4つの指標全てがプラスになることをデフレ脱却の定義として重視しているとの見方があります。
現状では、消費者物価とGDPデフレーターに関してはすでにプラスとなっていますが、需給ギャップは10-12月期以降マイナスに転じる可能性が高まっています。
こうした中、消費増税後に考えられる国内経済のリスクは、安倍首相が憲法改正を優先してしまうことでしょう。すなわち、経済よりも憲法改正を優先的に取り組むとなってしまうと、いろいろと難しい局面を迎えることも想定しておく必要があるかもしれません。
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