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イマドキ就活は「早期化」「長期化」「個性化」


皆さん、こんにちは。

今回は、「就職活動」について書かせていただきます。

文部科学、厚生労働両省は17日、来春卒業予定の大学生の10月1日時点の就職内定率が69.8%で、前年同期を7.0ポイント下回ったと発表した。この時期に70%を下回るのは5年ぶり。1996年の調査開始以来、リーマン・ショック直後の2009年調査(前年比7.4ポイント減)に次ぐ下げ幅となった。
近年は上昇傾向が続いていたが、新型コロナウイルスの影響を受けた業界を中心とした採用意欲の低下などが背景にあるとみられる。厚労省の担当者は「就職説明会が中止になるなど情報収集や相談の機会が減っている」と指摘している。(中略)
調査は全国の国公私立大62校の学生4770人を抽出して実施した。卒業後に就職を希望する学生のうち、既に就職先が決まった割合を内定率としている。就職希望率は0.8ポイント減り、79.2%だった。新型コロナ感染拡大の影響で、採用人数を絞ったり、内定を取り消したりする業界もある。文科省など関係省庁は経済界に対し、コロナ下で卒業する学生を3年間新卒として扱うよう求めている。

記事の通り、来春卒業予定の大学生の就職内定率が前年割れしています。リーマンショック直後に次ぐ下げ幅のようです。

当社も含め採用活動時期が早い企業の場合は、2021年卒の新卒採用は、コロナ期よりも前にほぼ終了していましたが、ちょうどコロナ期と採用選考時期が重なってしまった企業は、すべての選考を後ろ倒しにせざるを得ず、選考スケジュールの大幅な変更を余儀なくされました。中には再開の見通しがまだ立っていないところもあると聞きます。
この傾向は2022年卒も同様で、むしろ各企業がコロナショックによる業績予測を踏まえ採用計画を変更したことにより、22年卒学生の方が採用人数の大幅減などによる影響を大きく受けるかもしれません。


リクルートワークス研究所によると、2021年度の大卒求人倍率は1.53倍で2年連続の低下、かつ、全国の民間求人総数は、前年の80.5万人から68.3万人へと12.2万人減少となっており、企業の求人意欲が低下している状況です。

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ただ、リーマンショック後は新卒採用を完全にストップする企業が多かった中、今回は一部の業種を除き採用数を減らすところはあっても、ストップするところは多くはありません。

ですが、日々「就活市場は売り手市場から買い手市場へ」というニュースを耳にしたり、前年割れした内定率の数字を見たり、会社説明会やインターンシップ、面接など全てが急速にオンライン化して先輩から聞く就活の話とのギャップに直面している中、今の就活生は不安や焦りを覚えていることと思います。
大学生の皆さんが、これまでとは急変した就活を乗り越えるために、今だからこそ意識すべきことをいくつか挙げてみます。

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① 情報過多&オンライン化が進む時代だからこそ、情報は「自分の目で」「自分の足で」

私が就活をしていた頃はまさに「就職氷河期」と言われていました。不安だった私は、実に300社ほどの会社にエントリーし、1日4~5社の面接を受けるなど、非常にアクティブに活動していたように思います。(これほど数を受けることはオススメしません。)
今はこんなに非効率なことをしなくても、簡単に情報が手に入ります。ホームページ上の情報だけでなく、現場で働く社員の様子や会社のカルチャーを発信しようと、オウンドメディアや公式SNSでの発信を頑張っている企業が多いです。
さらに今は、採用活動において、グループ面接、個別面接など全ての面接がオンラインに移行しています。当社の場合は、選考過程において必ず一度は実際にお会いさせていただくことが多いですが、基本的にはオンラインでの面接、オンラインでのインターンシップがメインになっています。
オンラインならではのトラブルやデメリットもありますが、オンライン選考は、「移動コストがない」「日程調整が楽」「居住地がどこであっても効率的により多くの企業(学生)を知れるようになった」など、企業側、学生側双方に様々なメリットをもたらしており、今後も一つの採用手法として、間違いなく定着していくことと思います。
一方で、だからこそ、オンラインで受け取る情報以外に、「実際に足を運んで自分の目で確かめる」ことの重要さが増しているように思います。
「知る」「理解する」こと以外に実際に雰囲気を「感じる」ことが、“就職”という、人生の中でも大きな決断をする際に必要で、現時点ではその方が、自分の決断に確信を持つことにもつながります。

② 決算は隠しようがないファクト。成長産業を見極める。

会社選びの軸は、人それぞれです。百人いれば百通りの選び方があって然るべきですが、こういう時期だからこそなおさら、「成長産業であるかどうか」は重要な軸の一つになり得ると思います。
その市場が10年後20年後に伸びるかどうかを想像してみて、少なくとも衰退産業になる確率が高いのであれば、それでも就職先として選ぶ理由がない限りは選択肢から外してみてもいいかもしれません。
成長産業であることを前提に、その上でその会社は自分にとってチャレンジが生み出せる環境かどうか、そこで働いている人は自分にとって良い刺激を与えてくれるかどうかなど、それぞれが大事にしている軸を加えていくと良いと思います。
企業の採用ページ上の情報や採用担当者は、たいてい「うちの会社は成長できるよ」と言うので、本当に成長産業か、成長企業かを見極めるには、ありきたりですが決算を見ると良いと思います。

③ 最後は直感を信じる。違和感があったら、それがクリティカルかどうかで判断。

よく言われることですが、就職活動は企業が学生を選ぶだけではなく、学生も企業を選ぶ活動です。仮に「不採用」となった場合でも、能力が足りなくて落とされたわけではなく、「自分には合わなかっただけ」と前向きに捉えれば良いと思っています。自分に合う企業を見つけるという意味では、最後は自分の直感を信じることが非常に大切です。
どんなに条件が良くて、親や周囲の人から「この会社に行きなさい」と言われても、自分自身が違和感があるのであれば別の選択肢を模索した方が良いと思います。
その違和感がクリティカルなものでなければ、多少の不安からくる違和感は多くの人が感じるものなので、自分の直感を信じて進めば良いと思います。
「何をしたいか」よりも、「なぜしたいか」を考えると、その違和感を払拭する助けになるかもしれません。「手段」で会社を選ぶのではなく、「目的」を持って会社を選べると、後悔のない選択ができるはずです。


最後に、当社でも感じている今の就活のトレンドは以下の3つです。

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『早期化』『長期化』はそのままの意味ですが、2022年卒学生の就活開始時期は例年よりも2~3カ月程度前倒しになっている感覚です。例年は早い人でも大学3年生の夏頃から就職活動を始める人が多かったのですが、今年はかなりのボリュームで春からスタートする人が増えました。コロナ禍での就職活動を強いられていることによる焦りもありますが、サークルやゼミ、インターンやアルバイトなどの活動が中止や休止、または時間短縮になっていることで、

「時間があって暇」「人とリアルに会う時間が減ったことでつながりを求めている」「不景気になるから早く1社でも内定をもらって安心したい」

という声が多く聞かれます。
また、内定をもらったとしても、

「本当にこのまま決めてしまっていいのか不安」「内定をもらった会社には言っていないが、第一志望の会社が新卒採用の募集を再開するかもしれない」「万が一今内定をもらっている会社の業績が悪化して、内定取り消しにされた場合に備えて就活は継続した方が良い」

などの理由から、内定を保有したまま就職活動を続ける学生が多くなることが予想されていて、『長期化』することになりそうです。

『個性化』というのは、いわゆる黒いスーツ、黒い髪にリクルートバッグという一昔前の就活スタイルが、私服でも茶髪でも金髪でもOKになってきました、という話ではなく、学生がこれまでの人生で経験してきている内容が非常にバラエティに富んでいて、個性豊かになってきているということです。
学生起業をしている人、海外留学をしている人、インフルエンサーとしてSNSで発信をしている人、学業とプロアーティストの二足の草鞋を履いている人、企業の長期インターンシップ中に正社員以上に大きな実績を残した人など。同じような経験がある人でも、なぜその道を選んだのかの理由は様々です。
共通しているのは、行動しようとさえ思えば、誰でもいつでもそれを形にできる時代、ということです。
なぜそうしたのか。なぜそうしなかったのか。 
大げさかもしれませんが、社会人になることを待たずとも、学生時代の一つ一つの決断に、自分の人生の責任が既について回っているのです。

通年採用の導入により、「新卒一括採用」が終わりを迎えつつある中、学生にとっての生き方や働き方の選択肢が今まで以上に広がり、積極的に情報を集め行動に移せる人とそうでない人の差がどんどん大きくなっている印象を持っています。
あくまで個人的な見解ですが、就職活動を経てどの会社に入るかで人生が決まるわけではなく、就職活動を通して、どう考え、何を選択していくか、どう向き合っていくかという姿勢そのものが、自分の生き方を決めると言っても過言ではないと思っています。


#日経COMEMO #NIKKEI

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