ベーシックインカムは人を幸せにするか?

グラミン銀行でノーベル平和賞を受賞したユヌス氏がベーシックインカムについて語るこの記事は大変読み応えがある。目の前の霧が晴れて、物事が見えるようになった印象がある。

ベーシックインカムは全ての人を社会保障の対象にするものであり、むしろ目指すべきは、全ての人を起業家にすることによって、社会保障を不要にすることである、と主張する。この議論は、ベーシックインカム論より遙かに説得力がある。

  このような社会では、それぞれが置かれた場所と持っている潜在力を発揮することで、多様性を大いに育む社会になると予想する。

  今の社会は、真逆である。私は中央線沿いに住んでいるが、どこの駅前も、吉野家とセブンイレブンがあり、マクドナルドがあり、と標準化され一律化されている。これまでは、店舗チェーンという考え方に基づき、標準化した店を、大量に横展開することで効率化するという仕組みが構築されてきた。しかし、町の魅力も、そこに働く人、住人、個々人の魅力も発揮されなくなってきている。これはお店にかぎらず、会社での働き方でも標準化と横展開こそがよいこと、という考え方が普及し、一人一人の創意工夫が発揮されにくい仕組みが幅広く展開されているからだ。

  しかし、これは正直言って、魅力ある社会の姿ではなくなっている。私は、顧客としては全く魅力を感じないし、お金も払う気が起きなくなっている。

  むしろ、標準化を超えて、それぞれの地域や人の実情や強みを活かした社会をめざすべきだ。それには、それぞれの場所で、一人一人の持ち味を活かして、多様な試行錯誤が行われる必要がある。それこそが、ユヌス氏がいうように、全員が起業家になることによって可能になるものである。

  今の日本の停滞は「標準化こそがよいことである」という誤った考え(一時的には正しかったが今では時代遅れな考え)に、皆がとらわれ、起業家精神を失ったからではないか。

https://newspicks.com/news/2991429?ref=pickstream_826653

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