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好きこそものの上手なれ。 愛好の輪がヒットを生む時代

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

人々の生活や趣味嗜好が多様化し、またインターネットサービスの広がりに伴いメディア接触も多様になりました。昔はマスメディアで話題になれば即ヒットでしたが、今ではメディアミックスの宣伝とネットでの口コミ施策などを組み合わせてアプローチする手法が当たり前になりつつあります。

しかし、人の欲求というのは今も昔も変わらないもので、同好の士が集って情報交換をしたり交流をすることは、ネットがある今のほうが盛んになっているのかもしれません。自作の漫画を中心とした同人誌の愛好家が集うイベント、コミックマーケット(コミケ)は2日で20万人以上(2023年夏)ですし、SNSなどオンラインのコミュニティもあります。明治時代の文学結社を源流とした日本の同人文化は、時代が変わっても文化として根付いているのだと思います。

そのような時代に、異例のヒットとなった商品があります。自動生クリームホイッパーです。

刃物メーカーの貝印が3月に発売した自動生クリームホイッパー「生クリッチ」(8800円)が好調だ。電子商取引(EC)サイト「マクアケ」では3日で300個販売した。手軽に生クリームを泡立てられることが、愛好家の心を射止めた。自他共に認める生クリーム好き社員の執念が異例のヒットを呼んだ。
(筆者略)
生クリッチは貝印の企画アイデアコンペで発案され、商品化に至った。自他共に認める生クリーム愛好家だという小林甫研究部次長が中心になり、発案から開発をした。

日経電子版

貝印といえば、「かにはさみ さばき名人」などのニッチだけどユニークなアイデアの商品を出しています。社内に企画アイデアコンペがあって、ちゃんと商品化まで持っていけるんですね!アイデアコンペはあるけれど実用化されたものがない、という会社も多く聞きますので、しっかりとした仕組みがまわっているのだと想像できます。

この「自動生クリームホイッパー」ですが、単機能かつものすごいニッチな商品。正直、わたしが承認者だったらGoを出せる自信が全く無いです(笑)。発案者の方の本職は研究開発部門で、刃物の切れ味の評価法の開発などをされているそうです。しかし、「自他ともに認める生クリーム愛好家」であることから、愛好家のニーズの理解には深いものがあったのでしょう。ちょうどよいところで自動で止まる、というのは愛好家ならではの発想だと思います。

今は推しカルチャーも一般化してきていますので、特定の愛好家に向けた商品・サービスというものも増えてくるでしょう。その場合に鍵となるのは、企画側にインサイダーである愛好家をしっかりと取り込むことではないでしょうか。


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タイトル画像提供:M・O / PIXTA(ピクスタ)

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