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原油価格が下がっても、エネルギーコストが下がりにくい日本

火力発電の燃料となる天然ガスの価格が世界的に低下する中、日本の天然ガス価格は前年比で4%弱程度しか下がっていません。

この背景には、日本がLNGを「ジャパンプレミアム」と呼ばれる高値で購入していることがあります。

これに対して、EUの天然ガス価格は、前年比で55%以上低下しています。

この背景には、シェールガス革命の進む米国等で大型プロジェクト稼働が相次ぐLNGの余剰分を、高い貯蔵能力を誇る欧州が主な買い手となっているためです。

このため、米国で増産が進むシェールガスの存在から、日本でもLNGの価格を下けられる可能性があり、価格面でも注目すべき材料となるでしょう。

日本が貯蔵能力の強化などにより北米等からもっと大量にLNGを直接買い付けることができるようになれば、化石燃料全体の価格を抑制する効果が期待されます。

更に、世界レベルで見て十分な供給があれば、原子力発電所の停止によって高い価格でLNGを買わざるを得ないジャパンプレミアムのような事態も解消されやすくなるかもしれません。

日本のLNGの割高感が今後解消に向かえば、コストや環境性の高さから、日本の火力発電は競争力の高い電源となり、発電業が有望な成長産業となる可能性があります。

特に、我が国での発電市場を再建するに当たっては、電力制度改革を通じて自由化に耐えうる強い発電市場を日本に築く取り組みも必要でしょう。

なお、我が国のLNGは電力・ガス会社が個別に調達することで、これが日本のバーゲニングパワーを弱める大きな要因になってきました。

このため、業界の垣根を越えてLNG調達をできるだけ一元化することがより一層求められます。

すでに、中国や韓国は国を挙げて産ガス国と交渉しています。

このため、優位に価格交渉を進めるには需要を取りまとめが重要であり、そのためにも共同購入の強化やLNG火力の代替手段の確保をしつつ、日本近海に眠るメタンハイドレートの開発や効率の良い石炭火力の利用も検討すべきでしょう。

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第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。あしぎん総合研究所客員研究員、跡見学園女子大学マネジメント学部非常勤講師を兼務。総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事。専門は経済統計、マクロ経済分析。
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