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英企業が老舗ニュースレターサービスの「SmartBrief」を買収〜古くて新しいeメールニュースレター

「eメールニュースレターがどうやら注目されているらしい」というトレンドは折に触れて、最近では常に言われているような気がします。そんな中、今日目にした2つのニュースはそうした「トレンド」がじわじわと拡がりつつあることを感じさせるものでした。

一つめに驚いたニュースは、英国を拠点にする専門メディアの運営企業であるFuture社が創業から20年を数える業界向けのemailニュースレター配信サービス企業である「SmartBrief(スマートブリーフ)」を4500万ドル[約48億円](から最大6500万ドル[約70億円])で買収したというものです。

SmartBriefは少し地味なB2B向のニュースレター配信サービスとして知る人ぞ知る老舗企業です。金融、教育、ヘルスケア、広告などの幅広い業界ごとの無料ニュースレターを250以上配信し、合計580万人以上のビジネスパーソンに購読されている、というものです。私もSmartBriefのほぼ創業時から気になって購読していたこともあり、かつては折に触れて気になる記事をSmarBrief経由で発見していたことを懐かしく思い出します。配信されるニュースレターの内容は業界毎の主要ニュースの中から編集者が選別したタイトルとリンクに、簡単な要約を添えて毎朝、毎週などに送られるというものです。主な収益源は広告で、直近の年間売上は3500万ドルとのことです。

買収したイギリスのFuture社はあらゆるジャンルのメディアを130以上有している総合メディア運営企業ですが(メディアブランド一覧)、米国のB2B市場への進出のきっかけとして今回の買収に至ったとリリースで紹介されています。ニュースレターは単なるプロモーションツールではなく、急速に成長しているメディアチャンネルの一つである、ということを感じさせる出来事でした。

もう1つの気になったニュースは7月中旬に報じられていたこちらのニュースです。

ニュースレター有料購読サービスの「Substack(サブスタック)」が著名ベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)主導による1530万ドル(約16億5000万円)の資金調達に成功した、というものです。

ニュースレター配信サービスとしては老舗の「mailchimp(メールチンプ)」などが有名です。Substackが際立っているのは、①有料課金決済サービス、②メールアドレスの登録プロセス、③eメールの配信、④ポッドキャスト送信などの機能が一つのパッケージとして含まれている点です。

社員数はまだ3人でオフィスも創業メンバーの1人の自宅で運営している、とのことです。が、記事の中で紹介されている同社のビジョンには共感する点があります。『ライターやクリエイターが自分自身の「パーソナルメディアの帝国」を運営することを目指している』とのことで、最近のnoteの躍進と理念に相通じるものを感じます。

個人による創作活動、或いは気になるトピックについての記事をまとめて共有することで、持続可能な個人メディアを簡単に運営することが可能になりつつあるようです。今後国内でもどのような変化が起きていくのか、注目していきたいと思います。

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市川裕康 (メディアコンサルタント)
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