湖池屋ペアリング専用ポテトのマーケティングトレース
ポテトチップスの老舗ブランド・湖池屋の日本酒ペアリング専用ポテトが面白い仕掛けだと思っている。
家飲み醸す日本酒と「未完成」ポテチ 越銘醸と湖池屋:日本経済新聞
新商品は「あわせて旨みがふくらむセット」。専用化粧箱仕様の日本酒「山城屋スペシャルクラス」300ミリリットルと、特製ポテトチップス「未完成 海老と牡蠣のオリーブオイル仕立て」50グラム(賞味期限は2022年3月まで)3袋が専用化粧箱でセットになっている。価格は2178円(送料別)
ミシュラン星レストランでも取り扱われる希少な日本酒とポテトチップスのコラボ…
ペアリング専用ポテトのマーケティングミックス
簡単に4P分析でマーケティング戦略を整理してみます。
商品Product
・食中酒との限定コラボレーション
・日本酒に合う、家飲みのおつまみとしてのポテトチップス
・化粧品箱仕様で贈答用にも活用できる。
・味は「海老と牡蠣のオリーブオイル仕立て」→日本酒をひきたてる
価格Price
・セットで2178円(送料別)
流通Place
・オンラインショップ限定
広告Promotion
・限定8,000セットで限定感の醸成
湖池屋の裏側の意図は何か?
このペアリング専用ポテト単体では、発想の面白さはあっても、売上インパクトは少ないな…湖池屋は、なぜこのような仕掛けをしたのだろう…と気になってきました。
湖池屋にとって、時間をかけて日本酒とのコラボ商品を生み出した背景には何があるのでしょうか?
狙うは中食市場・ご飯(おつまみ)としてのポテトチップス
調べてみると、湖池屋は中食市場を狙っていることがわかりました。
こちらは2020年の記事ですが、湖池屋がコロナ禍で新しい需要を作り出すためのアプローチをしていることがわかります。
湖池屋ハッシュドポテトの商品開発背景がまとめられており興味深いです。
スナック菓子だが料理でもある。あるいは、料理だがスナック菓子でもある。昼食でも夕食でも、おやつでもない。そんな食べ物を表す言葉や概念は、今までにはなかった。パンは食事、ポテトチップスはおやつといった固定的な考えをひっくり返し、「そういう食べ物があるんだ」という認識をゼロからつくっていく。それが「ニューノーマルおやつ」というジャンルであり、「ポテトと料理」というブランドの役割だ。
湖池屋はポテトチップスを食べる「意味」や「状況」を再定義し、新しい需要を創り出していることがわかります。
湖池屋が狙うポテトチップスの「意味転換」
お菓子としてのポテトチップス
↓
ご飯(おつまみ)としてのポテトチップス
冒頭にご紹介した「ペアリング専用ポテト」も、ポテトチップスを食べる「意味」や「状況」を再定義し、中食市場に切り込む戦略の一環であることがわかります。
新需要を生み出すための水平思考
湖池屋の新しい需要を生み出す発想は、自分たちも見習って仕事に活かしたいところです。
そこで、コトラーのマーケティング思考法という書籍を読んでみることオススメです。
書かれている「水平思考」の発想は、新需要を生み出すヒントを得られます。
基本的な考え方の流れを整理します。
ラテラルマーケティング(水平思考)の思考プロセス
①既存ターゲットやマーケティング・ミックスの中から、フォーカスする領域を選ぶ
②水平移動6つの視点によって、ギャップを生み出す
③ギャップを解消して実現可能性を高めるために変更を加える
とくに②がアイデアをつくるポイントで、既存のマーケティング戦略に下記の時点で「強制発想」をします。
参考:「ギャップを生み出す6つの技法」
①代用する
②逆転する
③結合する
④強調する
⑤除去する
⑥並べ替える
湖池屋は、既存のポテトチップスの意味を、
「代用」
素材にこだわり抜く
「結合」
日本酒とのペアリング
「強調」
料理としてのポテトチップスを強調
などを活用して新しい意味を生み出していると考えることができます。
既存のフレームワークに当てはめて考えるだけでは、当たり前のアイデアしか出てこないので行き詰まってしまいます。
アイデアに行き詰まったら、湖池屋のポテトチップスを食べながら、視点の切り替えを行なってみましょう!
以上、湖池屋の仕掛けから学ぶ、新需要の生み出し方に関してでした!
最後まで読んでくださりありがとうございました!