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「富貴なものにのみ美を認める見方は、極めて貧しい習慣にすぎないのです」 by 柳宗悦 ~ 一言切り抜きfrom日経#215

日経の1面で、今年前半で一番飛び込んできた一言を紹介したい。

それは全然、見出しとかになっていた言葉ではない。文中の小さな文字だったから、目を留めた人も多くないと思う。

5月21日の日経朝刊、春秋のコラムの中から一言切り抜き。

一言切り抜き 柳.001

「民藝」運動で有名な柳宗悦さんの言葉。

好きだから繰り返しちゃおう。

富貴なものにのみ美を認める見方は、極めて貧しい習慣にすぎないのです

民藝は、

万人のために、人々の手で作られた、土や木や鉄などどちらかと言えば自然に近い素朴な素材で作られた、温もりのあるものというイメージがあるが、

世の中の流れに対する、世界の美意識に対する、

伝統に紐づいたカウンターカルチャー、

反骨の哲学が込められた運動だった。

(この記事の全文はこちらで)


時代の要請か。

毎日、日経を全部読んでるいると、ここ半年、柳宗悦さん、息子の柳宗理さんが出てくる記事が異様に多いことに気づく。

他の記事からも切り抜いて、以下にシェアする。

日曜日の文化面からだと思うのだが、、電子版で出てこない。。

まずこちら。

一言切り抜き 柳.002

評価されるべきものが不当に扱われることへの憤り、正しくないことに声をあげる正義感。それは柳家に流れるものだったように思います。


具体的な例として。このような「異」を唱えることも紹介されていた。

一言切り抜き 柳.003


一言切り抜き 柳.004

民芸とはつまり、「平凡な日常=非暴力」への願いであり、世界を一色に染める近代化の負の側面に警鐘を鳴らす、周辺部から中央権力に向けた批判の眼差し

どう生活するか?どう生きるか?

コロナ、オリンピック、政治。

納得のいかない様々な、世の中の大きな流れについてのこと。

モノ、そして、それを使う生活を通じての、メッセージ。

上記の切り抜きを見て、昨今、柳家のお二人が誌面へ登場する回数が増えているのはよくおわかりだろう。


最近つくづく思う。「大は小を兼ねない」と。


大から考えすぎ。大を取ろうとしすぎ。

大は幻想にすぎない。大は、小の集合体の大でしかない。

小あっての大である。

この乱世、小からもう一度始めるべきだろう。


柳さん関連の切り抜きを続けてみたい。そこに現代へのヒントがある。

一言切り抜き 柳.005

深沢さんとここで書いてあるのはプロダクトデザイナー深澤直人さんのことである。

一言切り抜き 柳.006

自分の手はすべての人々の手の一つ。

自意識を消し去り、頭で描かないように。

一言切り抜き 柳.007

みんなの無意識と共鳴して。

人間の生活に有用なものを作るスタンス。

どんな仕事でも、どんな活動についても、自分の仕事になぞらえられる、有用なヒントではないだろうか。

久々に、本棚にあったこの本を手に取る。

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この本から、少し引用する。

「用の目的に誠実であることを、その本質に据えたい」
「近年は人間の美意識に曇りが来ました」
「利が眼目であるため、用が虐げられている」
「(日用品が)粗悪な限り、工芸による美の王国は成就される事がない」
「特殊なごく少量のものが美しくなったとて、世界に救いは来ない」
「民芸は職人たちの領域です。ここは一人の世界ではなく協力の世界なのです」
「協力は一人よりも、もっと大きな結果を齎すでしょう。それは将来の人類の理想にも適う事なのです」


頭ばかりでなく、作為ばかりでなく、

手を使って、体を使って、使う人々を想像して、

リアリティーを持って、協力して、

生活に有益なものを作る。

コロナ対策、オリンピック、政治、ビジネス、教育、etc。

すべてに共通して、今必要なことが、「民芸」の精神の中に含まれている気がする。



本文は以上で終わりですが、追伸として…。

日経がらみなので、ついでに、、先週広告が出ていましたが、

毎年やっている「日経Discover Japan アカデミー」が今年も開催されます。

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このセミナー、そもそもは、

雑誌Discover Japanで、「日本古来のコンセプトで、現代のイノベーションに応用できるものがたくさんあるので、集めてみよう」と連載をし始めたところを、(ここに少しまとめてあります↓)

某プロデューサーがそれをより拡大されたものです。

あるんですよ。たくさん。先人の知恵が。

今年はそれを、「SDGs、ダイバーシティ、デザイン思考に繋がることは、すでに日本のコンセプトにたくさんあります」というものを紹介します。

僕の出番は4日目で、

「新規事業部の作り方を、日本古来のコンセプトに学ぶ」

のコマで、少しだけ前バラシすると、

電通Bチームの作り方は、実は出島や奇兵隊の作り方を参考にしていたので、それをお話しするのですが、

要は、Bチームも出島組織もカウンターカルチャーなので、

「民芸」も、少し加えようかと思います。

企業ごとの参加になりますが、、ご興味あれば、ぜひ、会場でお会いしましょう。

そんなことばかり、皆さんと話すのは、毎回楽しいです。

(去年のサイトしかないようですが、↓)




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