急速に増える外国人労働者に現場のマネジメントは変化に追いつけるのか?

人口減少で深刻化する人手不足

日本の人口減少に伴い、労働人口が減る中で不足する労働力の供給源として外国人労働者に期待が集まっている。残念なことに、日本の少子化対策の効果が出ているとは言い難い状況が続いている中で、即効性のある代替策としては海外からの労働者に頼らざる得ない現状がある。

その結果、研修制度であるはずの技能実習制度が実質として労働力確保のために使われることになるなどの問題もはらみながらも、なんとか労働力不足を補おうと目の前の課題に向き合っているのが現状だ。

人口減少に伴う労働力確保に対して、問題解決のビジョンが明確に打ち出されていない以上、現状のように対処療法的に「目の前のやれることからやる」という対策に変化はないだろう。そうすると、技能実習生か特定技能か、または留学生採用の拡充かはわからないが、不足する労働力を外国人労働者で補うという図式はより一層進展していくことになると思われる。

ここで問題になるのが、現場のマネジメントの問題だ。

多国籍状況のマネジメントはただでさえ難易度が高い

現状でも、多くの企業で頭を悩ませている問題が、現場のマネジメント能力をどのように強化するかだ。マネジメント能力の向上は、支援するための組織作りとサポート体制の整備、人材育成によって、ある程度の効果を出すことができることは、過去の経営学の歴史が教えてくれている。
人材育成に投資をしている組織とそうではない組織では、現場のマネジメントレベルには大きな差がある。それは、近年、注目を集めている人的資本経営でも言われていることだ。
一方で、人材育成に投資ができるほどの余力をもった企業というのは限られる。加えて、日本企業は歴史的に業務から学ぶことができる経験学習以外の人材育成の手段に対して消極的な姿勢を持つことが多い。
そのため、体系だって学ぶことで解決可能なマネジメント上の問題に対しても、有効な解決策を取ることができないケースがみられることが多い。勘と経験からの学びは、過去の経験が生きる場面ではないと通用しないという応用力のなさが限界だ。

この話は通常のマネジメントの話だ。しかし、外国人労働者が増えると、ただでさえ困難な現場のマネジメントの難易度が跳ね上がる。しかも、社内で誰も経験がしたことのないような状況が多発するため、勘と経験で学んで得た知見が役に立たない。

実際に、外国人労働者が多く入っている欧州では、このような問題から現場でのオペレーションでトラブルが生じたり、外国人労働者の生活が不安定になる現象も多くみられる。

そこから、外国人労働者に対する忌避的な感情につながると目も当てられないことになる。

日本の現状では、外国人労働者に頼らないと経済活動を維持することが困難だ。であるならば、現場のマネジメントを強化するための人材育成の投資を強化する方向に社会全体で進んでいく必要がある。

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