「ジグソーパズル化する世界」 BCGが読む2024年の経営の論点とは
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
いよいよ2023年も終わりに近づきました。明日が仕事納めという方も多いのではないでしょうか。近年では世界的なパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとハマスの戦闘など、これまで予想し得ないような不測の事態が相次ぎました。最近でも紅海での戦闘の影響から、迂回経路をとる商船が増えました。
こうなると当然運賃に跳ね返ることとなり、長引けば結果として末端の価格にも影響が出てくることでしょう。このように、経済安全保障はサプライチェーンと密接に関連しており、経営としてもリスクの見える化やいざというときのための意思決定を仕組み化する必要があります。
これ以外にも経営において検討すべき論点は数多くあります。BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)が2018年頃から毎年発刊している「経営の論点」の2024年版が出ましたので紹介したいと思います(ご恵投ありがとうございました!)。
まず、本書は重要な「論点」を提示している点に注意してください。それぞれについて正解らしきものを求めて読むと、おそらく期待外れに終わるでしょう。それは各企業の戦略によって異なりますし、まさに経営陣が自ら策定すべきものです。そうではなく「なぜこの論点が重要なのか」を読み解くために本書を活用するのが良いと思います。
もちろん各章には、日本企業への提案や検討ポイントが例示されています。例えば第2章の生成AIでは、企業が検討すべき5つのポイントとして「戦略」「学習/トライアル」「組織」「トラスト」「技術」が挙げられています。生成AIのような急速に進化しているテクノロジーは、どのタイミングでどこから着手すればよいのか等々、経営者の頭を悩ませる要素が多いものです。そして、初期の過剰期待や後の過小評価に陥りやすく、結局お試しでなんとなくPoCはしてみたものの戦略や組織は整備せず終わってしまうという残念なことになり得ます。そうではなく、最初からこの5つの要諦を押さえた上でスタートを切ることが望ましいでしょう。
もはや正確に予測をすることは不可能な時代においても、潮流の変化を察知することはできます。これをいち早く感じ取り、事業機会を自社に引き寄せることで将来の成功確率を高めていく。そのために本書で挙げられた論点は多くの企業にとって(濃淡はありつつも)すべて関係があるものです。
経営者や管理職の方はもちろん、多くの学生・社会人にとって「良い論点の立て方」を学ぶために一読をおすすめします。
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タイトル画像提供:tadamichi / PIXTA(ピクスタ)