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「ビジネスパーソンのおもしろさを見つける」という私なりの社会貢献の話

 Potage代表取締役 コミュニティ・アクセラレーターの河原あずさです。あらゆる仕事は社会貢献である、そう考えて日ごろ仕事をしています。

 こちらの日経COMEMOお題で記事を書き始めたら、いきなり結論から書いてしまいました。Potageという会社を経営して、様々な会社や個人の困りごとを解決するお手伝いをしていますが、私は自分の仕事を通じて「世の中がほんの少しでも良くなっているな」と実感できることが、いい仕事かどうかの基準になっています。やっぱり、時間は有限ですし、やるからにはいい仕事したいですよね。

 そんなわけで公式サイトにも掲載していますが、Potageは以下の4つの事業領域を持っています。

事業内容01
事業内容02

 どの事業も大事にしていて弊社のイチオシなのですが、その中でもちょっとみなさんが違和感を感じるのが「04」かもしれません。

 にんげん・あそび ってなんだ???

 その響きに、ちょっとおふざけな空気を感じる人もいるかもしれませんね。どの事業も大事なのですが「自分なりの社会貢献」を表現するときに、実はこの「にんげん・あそび」がものすごくスタンスを表している気がするのです。

 その自分なりの社会貢献がどんなものかというと「おもしろさをちょっと忘れかけている、だけどおもしろさの種を持っている人たちのおもしろさを引き出して、解き放っていくこと」なのです。今回はそのお話ができればと思います。

自然な前向きさを引き出す「ナラティブインタビュー」

 「時代の変化に戸惑いを覚えているビジネスパーソンの話を聞いて、おもしろがる。その結果、ビジネスパーソンに自信を持ってもらう」それが私が今実施している、イチオシの社会貢献です。

 なんだそれは?と思う方もいるかもしれないのでもうちょっと丁寧に表現すると「ビジネスパーソンの仕事のエピソードや今考えていることを掘り下げる対話をして、その人の持っているおもしろさのエッセンスを抽出する」という取り組みをひそかにはじめています。

 私はこの対話を「ナラティブインタビュー」という仮称で呼んでいます。従来のコーチングは、個人の壁打ち相手になってその個人の新しい気付きを促すことで成立をしていますが、ナラティブインタビューは、対話を通じて聞いた話からその人の「仕事にまつわるストーリー」を一緒に組み立て、「何が仕事をする上でもっともモチベーションになる要素なのか」を一緒に言葉にし、そのストーリーをその人の口から語ってもらう動画インタビューを収録するところまで実施する、そんなプロセスです。

ナラティブコーチング(サンプル)
ナラティブコーチング(フォーマット)

ナラティブインタビューで使用するオリジナルフォーマットです。シートを埋めるのではなく、私がファシリテートする対話の中身から該当する情報を抜き出して転機していくスタイルをとっているので、当人も意外な言葉やエピソードがまとまっていくという特徴があります。

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上はクライアントさんに提供する「ストーリーページ」のサンプルです。対話の終わりに、10分間の動画インタビューを収録し、対話を通じて言語化されたその人のストーリーを語って頂き、その内容を掲載します。
※現在は当人のみへの公開。希望者のみ一般公開予定。

 所要時間は、最短でたったのコーチング60分、収録30分の計90分。往復通勤時間くらい、CD2枚通して聴くくらいの時間で、精度高く自己認識を深めたり、ストーリーテリングの手法に則った語りを通じて自分自身の価値観の表現の仕方を体得できるのが特徴です。

 既に10名を超える方のナラティブインタビューを終えていて、みなさん様々なメディアで取材を受けているような著名人やインフルエンサーではないのですが、どなたのお話を聞いていてもめっぽう面白いのです。

 おもしろがって話を聞いていると皆さん一様に「え?こんな話でいいんですか?」と反応されます。けれども、そんなクライアントさんの心配をよそに、収録されるインタビューではその人らしさがしっかりと現れます。みんなちがってみんなおもしろい。

 何より素敵なのは、対話をしている最中は迷いが出たり、悩みが吐露されたりすることもあるのですが、最後のアウトプット動画では「無理をしていない自然な前向きさ」が表れていることです。対話を通じて、自分の考えていることや価値観が整理されて、仕事をする上で、生きていく上で、何を大切にしたいかを、自信をもって、しかも演技がなく語れるようになるんですね。(ちなみにこれは、メディア取材に慣れているようなインフルエンサーさんだと、むしろできない方も少なくなかったりもする部分です。)

 私自身はプロのモデレーター・ファシリテーターとして活動をしていて、そのスキルを伝えるオンライン講座も持って100名近くのモデレーター・ファシリテーターを育成しています。イベントではインフルエンサーに出演いただくことも多いですが、まだ世の中に知られていない、はじめてイベント登壇するような方にも多数登壇いただき、生でその人の魅力的な話を引き出したりしています。

 そのため、人の話をおもしろく聞いたり、人の話からその人のおもしろさを見抜いて、言語化に導くことには慣れているのです。そんな自分の特性を通じて「自分はおもしろく生きられているだろうか?」と悩んでいるクライアントさんの背中を押して「こうすればおもしろく生きられそうだ」というヒントを提供しているというわけです。

人は望めば誰もが「おもしろ人材」になれる

 なんでこのような活動をしているのか。その理由は、先ほど記した「にんげん・あそび」という項目の解説を通じて、ひも解くことができます。

本人や周りも気づいていない「おもしろ人材」をみつけだす活動。自分たちの興味のある分野をあそびながら探求することで、これまでにないモノ・コト・事業を生み出します。

 事業説明の「にんげん・あそび」では、このような説明文をつけています。意識高く見られたくなくて、あえてくだけた表現にしていますが、ちょっとおおげさな表現をするなら「遊び心を通じて、かかわる人たちのポテンシャルを引き出す」ということになります。

 そもそも「おもしろ人材」ってなんぞや、という疑問がまず読んだ方には出てくると思います。自分はそんなに面白くないから、対象外だって思うかもしれません。

 けど、ちょっと待ってください。自分が面白くない人間だなんて、いったい誰が決めたんですか?

 もしかしたら、自分が面白くない人間だと思っているとしたときに、それは自分自身に自信がないがゆえの思い込みという可能性はないのですか?

 というわけでちょっと禅問答みたいになってきましたが、少し戻って「おもしろ人材」ってなんぞやという問いに答えるなら、私なりの答えはこうなのです。

 おもしろ人材とは「人生や仕事を面白がっている人」である。もしくは「面白くしたいと思っている人」である

 ということはですよ。私の定義からすると人は「自分の人生を面白くしたい!」と願った瞬間に誰しもが「おもしろ人材」になれるということなのです。ここがとーーーっても大事なポイントになります。大事なことなので繰り返します。「自分の人生を面白くしたい!」と望みさえすれば、誰でも「おもしろ人材」になれるんです。

企業と「おもしろくなることをあきらめかけてる人材」に生じたギャップ

 しかし、世の中のビジネスパーソンがみんな「おもしろ人材」になりきれているかというと、残念ながら現状はそうはなっていません。窮屈そうに仕事をしていたり、激動の世の中で、会社で生き残れるのかどうかびくびくしたりしながら生きている人もたくさんいるように見えます。

 いわば「おもしろくなることをあきらめかけてる人材」がたくさんいること。ここが、とても問題だと私は思っています。

 新入社員研修やリーダー研修など、様々な人材育成研修の講師をすることがありますが、端的に言うと、新入社員のうちはみんな「おもしろ人材」です。ビジョンコーチングのエッセンスを取り入れたトレーニングをすると、生き生きと自分のビジョンについて語りだしますし、その目線には嘘がなく、キラキラとしています。

 しかし、残念なことに、年次が上がるにつれて、なかなか生き生きと語れるようになれない受講生さんの割合が増えていくのです。夢を語る量は減って、その代わり愚痴や迷いの言葉の量は増える。「仕事も人生もおもしろくなりようがない」という雰囲気はまさしく「おもしろくなることをあきらめかけてる人材」そのものです。

 定年間近のシニア層がそういう状態なのだとしたら「仕事とは宮仕えであり奉公である」という価値観で育った方も少なくないので、仕方ない面があるかなとは思うのです。しかし問題は、30~40代の脂ののっているはずの世代の方が、会社員生活を通じて「おもしろくなることをあきらめかけてる人材」に変化してしまっているケースが散見されることです。

 しかし、世の中全体としては「働きがい」を企業が重要視するようになっていて、働き方改革も進み、多様性も重んじられるようになり「おもしろく働ける環境」に変化しつつあるはずです。「おもしろ人材」が増えてしかるべき環境変化なはずですが、そんな中でも企業の中にいる「おもしろ人材」の割合は大きくは変化していないというのが感覚としてあります。

 企業側は「仕事を面白くできる環境を充実させているよ」とアナウンスする。しかし社員側は「面白くなんかならない」と反応する。そんなコミュニケーションギャップが起きているのではないかという仮説が、ここでわいてきます。

 この仮説について考えるときに思い出すのが、JR品川駅で起きた、ちょっとした事件です。

  2021年10月、アルファドライブ社が品川駅に出したサイネージ広告の「今日の仕事は、楽しみですか。」と表示されたメッセージ広告に対して「見た人を傷つける」というクレームがSNSで殺到し、出稿の取り下げに発展しました。同社には知人もたくさん在籍しているので、同情的な見方もしつつ眺めていたのですが、この事件は先ほど書いた「企業側と従業員側のギャップ」を考える上で、非常に示唆的だと感じています。

迷えるビジネスパーソンが気軽に「自分のおもしろさ」に気づける場をつくりたい

 このギャップがなぜ生まれているのかという説明をしだすと話が逸れていくので割愛しますが、こんな時代を反映してか、コーチングが非常に注目されています。企業で導入が進んでいて、私も研修を企画・提供している「1on1」もコーチングの一種です。

 こちらの記事の事例で出てくるのは、けっこうコミットメントが強くて、フィットネスの分野に例えるとRIZAPのようなキャリアコーチングサービスです。それはそれで素晴らしいですし、間違いなくニーズがあると思うのですが、対象となるのはおそらく、相応に意識を強く持っている「おもしろさを勝ち取ることにコミットしたい予備軍」のみなさまなんですよね。

 しかし若いころの私はもともと「おもしろくなりたいけどなるためのとっかかりがつかめないしうまくふみこめない、そしておもしろくあろうとするとからまわる人材」でした。そして、世の中のビジネスパーソンの多数派は、若いころの私同様に「うまくふみこめない人たち」だし、強く意識を持てば持つほどから回ったり、自分のおもしろさを見失いつつあったり、自分のおもしろさに自信を持てない人たちではないでしょうか。私は、かつて自分がそうだった経験から、そういう人たちにこそ寄り添いたいのです。

 なので、フィットネスに例えると、RIZAPまではいかない、ゆるく参加できて時には離脱もできる「皇居ランコミュニティ」のような存在とか、楽しむうちにたくさん歩いて結果健康になっている「ポケモンGO」のような存在が必要だと思っているのです。別にみんながみんなRIZAPやゴールドジムに通う必要はなくて、皇居ランやポケモンGOだって、うまく活用すると、むりなく、健康を取り戻すことだってできますし、それぞれの人たちが自分にフィットする手段を選べばいいわけです。

 それと同様に、気軽に、迷いのあるビジネスパーソンが自身のおもしろさに気が付けたり、おもしろさを取り戻せたり、おもしろさに自信を持ったりできる、そんなサービスがあっていい。けど世の中にないな、それなら自分でつくってしまえ。そんな気持ちで冒頭に紹介した「ナラティブインタビュー」を開発しました。

 まだまだ構想段階ではありますが、将来的にはナラティブインタビューを受けた人同士がコミュニティ化して、そのつながりを通じてお互いの「おもしろさ」を引き出せるような関係性をつくれないかと妄想しています。みんな自分のおもしろさを表現できているから、精度高く人同士のマッチングが起きると思うし、お互いの実現したいことを支え合ったり、価値観会う人同士が一緒に価値創造に動いたりということが、おこりうる気がしているのです。

誰しもが「働きがいのある人間らしい仕事」ができる環境を実現するために

 さてお待たせしました。いよいよ、このプロセスがなぜ「社会貢献」かという話です。人の話を聞いているだけじゃないか、河原の思い込みじゃないか?と思う方もいるかもしれませんが、実はちゃんと国連が、私のやっていることは社会貢献であり、近い将来実現しなくてはいけないことだ、という風に決めて下さっているのです。いわゆる「SDGs(持続可能な開発目標)」で。

 SDGsの8つ目の目標にはこう書かれています。

8.働きがいも経済成長も

すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する

8.5 2030年までに、若者や障害者を含む全ての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する。

 そう、実現したいことは、まさしく、こういうことなのです。

 特定のプロフェッショナルたちや、目に見えるスキルを持っている人だけが「仕事をおもしろがれる」、いわばおもしろさを寡占するような状態ではなくて、おもしろさを最適分散して「誰しもが仕事をおもしろがれるようにする」こと。それが終身雇用が終焉を迎えつつあり成熟期を経て劇的変化が起きつつある日本の労働市場において「働きがいのある人間らしい仕事」を実現するための、大事な要素になってくると思うのです。

 そのために今の世の中に欠けているのは「個人の目線に立った対話」だと感じています。誰かが突然決めて落としていくのではなく、組織に参画するそれぞれの人たちが納得感ある状態で変化は本来起きるべきなのに、そうはなっていない現状にじゃっかんの危機感を覚えています。

 そんな世の中に自分にできることは、しっかりと個人と対話しながら、それぞれの人たちが秘めている「おもしろさ」を見出して、引き出して、自信をもって語っていただくことだと考えています。それが個人のよりどころになっていくし、何かあったときにも乗り越えられる「しなやかさ」につながっていくと思うんですよね。2030年まで残り9年、どこまで実現できるのかはまだ分かっていませんが、ひとつずつのプロセスを「おもしろがり」ながら、着実に歩んでいければと考えています。

「ナラティブインタビュー」は現在人数限定でトライアル実施中です。トライアルなので割引料金で提供しています。お問合せは上記リンクの会社ページのフォームよりどうぞ。

こちらのTimeticketからもお申込み可能です。(2022/6/2追記!)


#日経COMEMO #仕事で社会貢献を感じた経験


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