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CES2019、日本の大企業も変わり始めている

今日からCESが正式にオープンし、私も成田発ラスベガス行きのノンストップ便で昼前にラスベガスについた。CES期間の臨時便なので空いているかと思いきや、B787がほとんど満席という状態。CESの会場とその周辺でも、日本語が聞こえてくる頻度は、かつてCESに足繁く通っていた10年ほど前と比べても多いように思われ、CESに足を運ぶ日本人が以前よりも一層増えたのだな、という実感がある。

その要因には、CESが「家電ショー」から自動車やスタートアップまでを含んだ大規模な展示会へと脱皮したことが大きいのだろう。以前であればCESと関係なかった人が足を運ぶようになっている。

一方で、CESの「本家本元」ともいうべき家電業界は、全般的にあまり元気がない。日本の家電メーカーは言うに及ばず、韓国やさらには中国メーカーも成長が頭打ちと伝えられるなど、なかなか良い材料がない。

着いてまず足を運んだのはサンズ・エキスポにあるエウレカパークだったが、夜通しのフライトで徹夜明けに近い状態のため早めにホテルに切り上げようと思ったものの、せっかくなので自分にとっての「古巣」であるLVCC(ラスベガスコンベンションセンター)に寄って家電業界の展示がどうなっているかを見てから戻ることにした。

LVCCのセントラルホールは、SONYやパナソニック、サムスン、LGといった、いわば伝統的な家電メーカーが大きなブースを構える定番の場所となっていて、今年もこうした企業が出展していることは昔と変わらない。ただ、上記の4社の出展に違いが出てきていることを、非常に興味深く思った。

かつて家電業界が華やかだった頃のように、いわゆる白物から黒物までを展示している会社もあれば、いわゆる黒物に絞って展示している会社もあるのだが、大きく変わっていたのはパナソニック。デジタルカメラだけはやや昔風の出展手法だったが、それ以外は、B2Cの家電ではなく、B2Bそして社会にどのような仕組みを提供していくか、という展示に圧倒的な主力が置かれ、例えば他社が競って展示している8K等のディスプレイを出していない。

これは、ネガティブに言えば、パナソニックがそうした競争からは降りたのだという見方もできるが、一方で、会社の未来を新たな方向に見定めて舵を切ったという見方もできると思う。もちろん、そうした事業がこれまでの家電を中心としたB2Cビジネスと遜色ない事業規模になるかどうかは未知数だとは思うけれど、明らかに、上記の4社の中で1社だけ異色なメッセージを発していると感じた。

展示の核の一つには、新しいモビリティのプラットフォームとなる汎用の「台車」とでも呼ぶべきものがあり、その上に載るモジュールを、旅客や貨物、さらには店舗など、様々に交換することで新しいモビリティの形を提案するものがあった。このモジュールの上に、スタートアップのビジネスを載せていく展開ができるなら、モビリティというにとどまらず、いわゆるスマートシティの重要な構成要素を作り出すことも可能なのかもしれない。

そういう動きが出てくると、今はサンズとLVCCに分かれているスタートアップの展示と家電メーカー大企業の展示が、なんらかの形で結びつくような展示をする方が合理的、ということにもなっていくのかもしれない。そう思うと、今後の展開がどうなっていくか、とても興味深いものがある。

自社ないしグループで全てを内製することへのこだわりが強かったように思う日本の製造業が、そうしたイノベーションの起こし方を取り入れる方向にいけるのか。それが従来の事業と肩を並べるだけの規模に成長するのか。まだ詳しく今年のCESを見ていないうちから、来年がどうなるか、早くもとても気になり出したCESの初日だった。


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