そのデザインは本当に必要なのか?ヨーロッパで感じたデザインへの向き合い方の変化
ドイツ、デンマーク、スウェーデンと、ヨーロッパを回る中で、デザインに対する捉え方が変わってきていることを強く感じました。
ヨーロッパは、中国・アメリカ型の企業方針や考え方に対して、「本当にそれで良いのか?」「未来にとって良いデザインなのか?」を牽制する動きが強くなっていると感じました。
具体的に聞いてきた話と学びをまとめていきます。
倫理的な問題に対して向き合うフレームワーク
デンマークでは、AIやデジタルの体験設計には、倫理的な観点で考えることが大切にされているとのこと。
紹介してもらったのは、The Digital Ethics Compass(倫理的にデジタル体験を設計するコンパス)のフレームワーク。
上記のThe Digital Ethics Compassの開発に関わっている、コペンハーゲンに拠点を構えるデザインコンサルティング会社Charlie Tangoに話を聞くことができました。
倫理的なデザインの4原則
The Digital Ethics Compassの背景にある原則は4つ。
この4原則を踏まえて、デジタル体験を考えていると。
さらに自己中心的なデザインからの脱却を
さらに…
話の中で、今までのフレームワークは、人間中心に考えることが当たり前だったが、この考え方は改めていかないといけないと話をされていました。
User-Centered Design(人間中心) → Humanity-Centered Design(人類・地球中心)に考え方が変化していっているとのこと。
デザインの考え方の変化を理解するには、読んだ方が良いよとお勧めされた書籍がドナルド・ノーマンによる「Design for a Better WorldMeaningful, Sustainable, Humanity Centered」
UXデザインの権威であるドナルド・ノーマンも、User-Centered Design(人間中心のデザイン)からの脱却を強く訴えています。
書籍で紹介されている、システム思考、インクルーシブデザイン、サステナビリティなど、日本ではまだ一部の人・組織が使い始めている用語ですが、ヨーロッパでは本気で根付かせようという動きになっていると感じました。
背景にある危機感
背景には、急激なインフレ・地球温暖化などコントロール不可能な事象が続いており、今までのデザインの在り方を見直そうとする動きが強くなってきていると語られていました。
ヨーロッパは、デザイン系の展示もサスティナビリティをテーマにしたものが多かったです。
スウェーデンのマルメにあるForm/Design Centerの展示も、営利的な要素の追求だけで良いの?という問いが根底にある企画でした。
世界でデザイン領域の価値観の変化がある中で、マーケティングの領域も「短期的な売上をつくれればOK」という思考から抜け出していきたいと感じながら、今から日本に帰ります。
ヨーロッパの潮流を踏まえて、日本らしいデザイン、ブランディング、マーケティングなどの可能性を探っていきたいと感じた旅でした。