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Billie Eilishとクィア・ベイティング、グルーミング、そしてレイシズムについて

ビリーアイリッシュの新しい彼氏と推測されている人物(Matthew Tyler Vorse氏)が過去にホモフォビアやレイシズムを含む投稿をしていることで先週からファンから大きな批判を受けている。

Vorse氏はインスタグラムのストーリーにて、「過去にソーシャルメディアに書いたことについて謝罪したいと思います。私が使った言葉は傷つき、無責任なもので、その言葉がどれほど不快なものか理解しています。」と謝罪を記している。

そもそも、ビリーの新曲「Lost Cause」のMVが”queer baiting(クィア・ベイティング)”かどうかが議論されており、さらに火に油を注ぐように"i love girls"という投稿をインスタグラムでした真っ只中でこのことが発覚したため、ことが大きくなった。"#youlikegirls" (あなたは女の子が好きなんじゃないの?)というハッシュタグがTwitterでトレンド入りするほど発展した。

また別の問題として、Vorse氏は29歳でビリーは19歳。10歳差であること、そしてビリーが未成年ではなくてもティーンであることから「グルーミングではないか」とか「家族は何も言わないのか」とか不安視する声も上がっている。

ビリーのドキュメンタリー映画"The World's a Little Blurry"で、ブランドン・クェンション・アダムス氏と交際していたことが明らかになった。、アダムス氏は、ビリーが16歳だった2018年11月の際に初めて紹介されており、Us Weekly誌によると、彼は当時22歳だった。年齢差や未成年であったことなどを踏まえて、このときにもファン等から「グルーミングだ」という指摘が行われていた。

ビリー本人が音楽やパフォーマンスにて「クィアっぽい要素」を取り入れながらも彼氏と見られる人物がホモフォビックな発言をしていることに、特にクィアなファン層は大きく落胆した。同時に、ビリー本人がクィアではない可能性を否定するのはbi erasure(バイセクシュアルの存在の無視)なのではないかとか、様々な議論が巻き起こった。ビリーアイリッシュ本人の黒人文化の盗用も度々問題視されており、以下の記事でも黒人のティーンの視点から指摘されている。

「スタイルからアクセントまで、Billieは(おそらく)うっかりと自分のペルソナの多くを黒人から奪ってしまった。Billieのスタイルは、AaliyahやDapper Danといった黒人のスタイルアイコンを彷彿とさせるもので、フープイヤリング、チェーン、ジョーダン、オーバーサイズのバギーなデザイナー服、派手なアクリルネイルなどが特徴だ。ビリーはCalvin Klein社のビデオの中で、ファンが自分の体について意見を言わないようにするためにバギーな服を着ていると述べているが、私は彼女のスタイルを見て、80年代や90年代に黒人が流行らせ、開拓したタイプのスタイルを思い出さずにはいられかった。

服装に加えて、ビリーが自分を確立するのに活用しているもののひとつが、彼女のパーソナリティだ。ビリーの物言いやスラングは、黒人文化に由来するものと見られる。ビリーは、African American Vernacular English(AAVE)を使うだけでなく、同じ家庭で育った兄にはない、はっきりとした黒人アクセントを用いている。」

社会やメディアはまだ若いスター、特に女性の扱い方を完璧に理解しているわけでもなければ、過去の間違いをすべて反省したわけでもない。今後ビリーアイリッシュのようなアイコニックな存在のスターが成長するとともに、ファンに対してどのような社会的責任を求めるのか、そして彼女自身の表現にどのようなものを求めるのか、ファン層が非常に若い分、様々な議論が行われる必要がある。


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