「オフィスはどこですか?」と聞かれたら、「その時、自分のやる気が出る場所」と答えたい。

日経のnote「comemo」の今回のテーマが、「オフィスは必要ですか?」ということで、それについては、ここ数年考えていたことが「点」として頭の中にあったので、ここでつないで「線」にしてみたい。(線になるかな!?やってみよう)

まず、他人のこともさることながら、自分のことがいまだに全くわからないなあ、と、最近つくづく思う。

なぜ自分の指は5本なのか。(自分で決めてないのに)

なぜ自分の心臓は動いているのか。(自分で動かしてないのに)

なぜ眠くなるのか。(寝たくなくても。寝るのは好きだけど)

なぜご飯を食べないといけないのか。(どうしてお腹は減るのかな〜♪ の歌も最後は、お腹と背中がくっつくぞ!で終わり、答えは出ていない)

なぜ好きな人と嫌いな人がいるのか。(嫌な奴との出会いは最近カウントしないことにした)

なぜ生まれてきたのか。(死ぬまでにわかるのだろうか?)


そんな全くわからない自分という存在。そんなわからない存在に、どうやってやる気を出させるか。これがまた難しい。

なぜやる気が出たり出なかったりするんだろう?

その解はわからないながらに、やる気をコントロールして、仕事を進めていかなくてはいけない。

やりたい仕事、好きな仕事だけど、そこには事務やら何やら、ヤンなきゃいけないことがどうしても発生するから、やる気を出させないといけない。

コーヒーを飲む。音楽を聞く。手をつけやすい仕事から始めてみる。

などなど、皆さんも色々と自分に向き合いながら、騙し騙ししながら、お仕事されていることと思う。


コロナになって、2月頃からテレワークが増えた。その頃はまだ会社員だったが、「21世紀のブラブラ社員」と自称して、リサーチをし、人と会い、ま、とにかくあまり会社に行ってるような、行ってないような感じを見せていたのだが

(実際は、プロジェクトを多数同時に進めるために、一番効率的なのが打ち合わせだから、結構会社に、いた)

コロナになると、とにかく「会社に行ってはいけない」となった。

初めの頃は、行くなと言われると行きたくなるなあ、とか思って、天邪鬼な性格が覗いているんだと思っていたが、しばらくして気づいた。そうではないと。

考えてみると実はとにかく1日中、移動しつついろんな場所で仕事していた。

自宅でまず起きてメールをチャチャっとさばけるだけ、さばく。 → 駅に向かう直前にあるスタバに入る。数件、連絡やら指示やら電話やらでさばく。 → 会社に行く。打ち合わせ数件。 → お得意さんや仲間の事務所に行って打ち合わせなどする。 → 途中の喫茶店でまたさばけるものをさばく。 → 会社に戻って打ち合わせ。 → 夜、誰かと会って、いつかやりたいことをお互い語り合ったり、語り合わなかったりする。 などなどなど。

ポイントは、なぜ、移動していたか。だ。

それは、その時、一番モチベーションが上がる場所でやっていた。からだった。

何にもわからない自分という存在を、環境を変えながら、目に入ってくる景色を変えながら、飲み物を変えながら、会う人を変えながら、気分を変えて、コントロールしていたのだ。

だから、「オフィスは必要ですか?」と聞かれるならば、そこがやる気が出る場所なら必要と答えたい。そうでなければ、やる気が出る場所を持つこと。それが今後より大事になってくると思う。そこが「オフィス」なのだ。

4月末、退社し、7月1日、新しく会社を作り、9月1日から実は、場を持った。

生まれて初めて、オフィスを借りた。世の中の流れと全く逆で。

コロナが一度落ち着きそうに見えた頃、全部で5件、内見した。自分の城と思うと、思いもしなかったくらいに、感覚が働いた。

ここは儲かりそうにないな。ここは仕事したい気分にならなそう。内装がおしゃれだとしても、何かしっくりこない部分が、肌でわかる。

最終的に選んだ場所は、みんながたむろしにきてくれそう、かつ、自分がここはやる気が出そう、と思った場所だった。

場所は秘密にする。とっておきの場所で、中の本棚もとっておきの建築家に頼んであるから、おそらくメディアも取材したくなる場所だと思う。でも、あえて非公開にすることにしている。とっておきの仲間たちのテンションが上がると思うから。

本田宗一郎さんのパートナーだった藤沢武夫さんも秘密の場所を持っていたという。銀座のマンションで、壁を黒に塗った茶室だったという。そこは戦略を練る場所で、チャーチルが書いた「第一次世界大戦」を読みながら、ホンダの戦略を練ったという。(余談だが、ビジネス書やら経営書は、数冊読んで、これの逆をやればいいと思ったとかなんとか読んだ気がする。現代の、西洋のモデルをすぐ鵜呑みにするビジネスマンに読んで欲しい箇所だ)

ついでに言うと、やっぱり「いつ」働くか?についてもいつか触れたいですね。

日経朝刊8/15 瀬戸内寂聴さんの文化面より、一言切り抜き。

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99才の寂聴さんがこうおっしゃる。自分がノッてる時に仕事する。それは深夜かもしれない。20時以降は残業禁止、とかだと、なんか効率的なアイデアや仕事しか、出ない気がするんですよね。


話をオフィスに戻す。

だから、オフィスは必要かと聞かれれば、いわゆるオフィスは不要。自分をノせられる環境が必要。そこが勤めている会社ならそれでもいいし、会社じゃないならそこではない。借りてもいいし、借りなくてもいい。家でもいいし、外でもいい。秘密でもいいし、秘密の場所じゃなくてもいい。

自分という訳のわからない存在のやる気を出させる場所を、持つべき。ただそれだけだと、ぼくは思う。ニューノーマルとか、VUCAとかそういうのに踊らさせれずに。自分がいい仕事をできる環境を選んだり作るのが、人類始まって以来の、仕事をする上での、ベリーノーマルだと思う。



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