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FIRE卒業のバズりに対する一意見

最近「FIRE卒業」なるワードがTwitterのトレンドに上がった。日経でも下記のような記事が出されている。

僕も「FIREした」と公言し、FIREに関する書籍まで書いている一人として、このトレンドを見過ごすわけにはいかない。

だが、この「FIRE卒業」に対するTwitter上での反応は興味深いテーマである一方、そのTweetの中核を成すであろう誹謗中傷を覗き見ることは、僕の心をざわつかせるかもしれないという一抹の不安もあった。

Twitterでの反応

あんまり見たくないので、薄目を開きながらTwitterのトレンドをクリックしてみる。

「無職が再就職するだけ」
「金が無くなってFIRE卒業かw」
「FIRE卒業じゃなくてFIRE失敗だろw」

まあ、薄目だからよく見えないが、思ったとおりの罵詈雑言が並ぶ。よっぽど「一度FIREと称して会社を辞めた人」がもう一度働くことを選択したことを「失敗」としておとしめたいんだろう。可哀想な人たちである。

FIREをした人の実態

若くしてFIREできるまでの数千万お金を貯められるような堅実な人が、いくら米国株が下がったとはいえ、たった数年仕事をしなかっただけでお金が無くなるまで散財するわけはない。

合わせて言うと、今までTwitter上で繋がったFIREしたという人たちにも会ってきたが、資産の運用益を取り崩して生きていくような選択肢を選んでいる人など一人もいなかった。

全員がYoutubeや自分のビジネスなど、資産運用/配当とは別の収入源を持ったうえで、会社員生活にピリオドを打っているのである。

それゆえ、FIREをした人がお金が足りないから働くわけじゃないというのは感覚的に分かるのだ。

今回のことは、「FIREとは運用益を取り崩して実現するものだ」という誤った認識を持った、FIREの実態を知らない人たちが騒いでいるだけに過ぎない。

FIREとは、選択の自由を持つこと

FIREをした人が誰かに「一緒に働かないか」と誘われて、面白そうだから働くというのは、まさにウキウキする人生の選択肢を選んだんだなという印象。

これから「生きるためのお金を稼ぐために社畜に戻る」のではなく、「人生に活力を与えてくれる面白いことをやる」ためにその会社に入るのだろう。人生で面白いものを追いかけられるって、ある意味最高じゃない?

僕だって、もし同じような状況で、めっちゃ面白そうな仕事だったらやってみたいなと思うし、もしそれが意に反してノルマノルマ残業残業……というブラックな環境だったら、「あ、これは違うな」と思ってまた違う選択肢を探すことになるだろう。

要はFI(Financial Independence)をある程度達成したら、RE(Retire Early)の部分は結構どうでもよくて、あとは残りの人生で自分が「楽しい」と思える環境を選択し続けるだけの話。

会社で働いてもいいし、働かなくてもいい。夢を追ってもいいし、のんびりした人生を送ってもいい。FIREの本質とは、自分がどんな環境でどのように生きていくかの選択の自由を持てるということなのだ。

FIREのREは、人生のRestart

僕は著書の中で「僕が思うFIREのREは、一般的なRetire Earlyではなく、人生のRestartのREだ」と述べている。

皆さんには、次の質問の答えを考えてみてほしい。

質問
「もしあなたが定年前にある程度の資産を積み上げたあと、1から新しく第2の人生を新しく送ることができるなら、何をしますか?」

きっとこの質問の答えは、人によって様々だろう。
実はこの質問に対する答えが、まさしく個人個人のFIREの定義そのもの。

だから僕のように執筆をしながら過ごしたいと考えるのもFIREの1つの形だし、資産形成後に再度興味のある仕事を始めたその人の生き方も立派なFIREの形と言えるのだ。

大切なことは、「FIREに決まった形などなく、先ほどの質問のひとりひとりの答えが違うように、FIREの形も十人十色、百人百色、個人によってまったく違う」ということ。

だからTwitterで攻撃的な発言をしてる方々も、こうしたFIREの多様性を理解したうえでツイートしてほしいと思う。

薄目だからちゃんと見えないけどね。

参考

FIREに関する書籍を何冊か書いています。Kindle Unlimitedで無料で読めるので、ご興味があればどうぞ。


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寺澤伸洋@FIREしたビジネス書作家
最後まで読んでくださって、ありがとうございました! これからも楽しみながら書き続けていきます!