ディズニーが高すぎる問題
アメリカのディズニーランド、そしてディズニーワールドのチケット・ホテル・パーク内のグッズやフードの高騰化がここ数年話題になっている。現在、2人で2日間のパークチケットを買うと、ピーク時期においては10万円以上は(特に円安の悪化により)余裕でかかってしまう。それに加えて、パークと提携しているホテルでしかつかない特典(1時間早く入園できる、ライトニングパスが購入できるなど)のために公式ホテルに泊まり、かつては無料だったファストパスがGenie+というシステムに変わったことによる追加フィーなどを加味すると、アメリカの家族はディズニーでバケーションを過ごすためだけに数千ドルを使うことになる。
"ディズニーランドのチケット代は、2000年の43ドルから2023年には194ドルへと351%上昇。ウェブサイトLendingTreeによる最近の調査によると、フロリダかカリフォルニアのパークを訪れた人の18%が、(パークを訪れるために)借金をしたという”
"家族4人でディズニー・ワールドに行く場合の平均出費は、7泊の旅行で簡単に6,000ドルを超える。
しかし、ディズニー・ワールドへの1週間の家族旅行が15,000ドルを超えることはありえないことではなく、特に思い出に残るキャラクター・ミールやテーマパークに近いホテルで散財する家族にとってはなおさらだ。"
https://www.nerdwallet.com/article/travel/disney-family-vacation-cost
https://www.washingtonpost.com/travel/2022/03/07/disney-world-disneyland-ticket-prices-fees/
以下のグラフを見ると、いかにチケットやホテルの値上げが賃上げよりも加速しているかわかるだろう。
米ディズニーのGenie+システムは、最低でも約3000円がかかり、最も人気のアトラクションは別途それぞれのライトニングパスを購入する必要がある。この一個のパスが約3000円を超えることも珍しくない。
そんなことを考えると、東京ディズニーランドの2000円の有料パスはお手頃にさえ感じてしまうが、同様に「お金さえ払えば問題が解決する」という心理に漬け込んでいることに違いはない。
また、日米ともに公式アプリに多くのサービスが集約されていることで、ゲストがスマホに釘付けになってしまう問題も発生している。「まるでデイトレーダーのように」、いかに効率よくアトラクションを回れるか、いかに競争に勝つためにパスの入手や列の並び方を最適化できるか、昔よりもはるかに「データ化」と「有料化」されたことによって、スマホを見ないといけない不安は増しているだろう。さらに、「これだけ高いお金を払ったのだから、できるかぎり回らないと損をする」という焦燥感も、パーク全体のムードの変化に間違いなく影響を与えているだろう。
しかし同時に、パークの人気は衰えることなく、むしろ混みすぎていることが問題になっている。需要と供給のことを考えると、「お金を払ってでもディズニーのパークで楽しい経験や思い出づくりをしたい」と思う人の数が減らない限り、このような有料サービスの問題は無くならないだろう。特にアメリカでは「子供を連れてファミリーで出かける」こと自体が、映画館であろうがディズニーであろうが高騰化していることに加え、車社会であることによって「歩いてどこでも行ける」場所が非常に少なく、安全にファミリーで楽しめるディズニーのパークの人気は無くなることはなかなかないだろう。