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コミュニティを中心に〜Facebook グループの新しい存在感

フェイスブックが毎年開催している開発者向けのカンファレンス、F8が4月30日と5月1日、カルフォルニア州サンノゼで開催されました。以前から話題になっていたように、この日の主なテーマとして掲げられたのは「プライバシー」重視の姿勢、そしてメッセンジャー、グループ、VR、ペイメントなどの新しいプロダクトのアップデイトの発表でした。

多くの人が行き交う「タウンスクエア」から少人数で親密な交流が行われる「リビングルーム」へ、という方向性を象徴する大きな取り組みとしてスポットライトを浴びたのは「グループ」機能でした。新しくリニューアルされたアプリでは文字通りアプリの中心に位置づけられていて、今まで以上に自分の好み、地域、目的にあったグループを見つけやすくして、グループ内で投稿されたコンテンツがフィードに表示されやすくなるなどの大きな変更が施されています。

フェイクニュース、フィルターバブル、ヘイト投稿などで批判にさらされた「ニューズフィード」のことは一言も触れられず、今までフェイスブックを通じたニュース消費に期待していた出版社、新聞社にとっては悩ましいと感じられるかもしれません。とはいえ、時代の波は「コミュニティ」であり、プライバシーに配慮した少人数のグループにある、ということが明確にに打ち出されているようです。

Facebookグループの紹介動画はこちらからご覧いただけます。月間アクティブ利用者は14億人、「意義あるコミュニティに参加している人」(定義はともかく)は4億人いるそうです。Meetupのような老舗サービスが長年描いていたようなビジョンをFacebookが圧倒的なスケールで実現させようとしていることが感じられます。リアルなイベント、ミートアップへの導線としてはFacebook Eventとの連携が更に改善されそうです。

いくつかのサービスは米国市場で先行リリースされ、日本語で利用出来るのに時間がかかるものがありそうですが、既にスマートフォンのアプリや、ウェブサイトでの検索機能などは一新されていることが分かります。

https://www.facebook.com/groups/

興味ある方はぜひ一度眺めてみて、ご自身が所属している、或いは運営しているグループ、コミュニティでどのように活用出来るか、考えてみるきっかけにしてもよさそうです。少なくともFacebookからの「おすすめ」ということで「グループに参加する」 という流れは今まで以上に強くなっていきそうです。

F8の個別セッションのアーカイブも既に公開されていて、グループに関してのプレゼンテーションもこちらから閲覧可能です。アディダス社のランニングコミュニティが事例として紹介され、ブランド企業がどのようにFacebookグループを活用すべきか、という内容が紹介されています。

一つ新鮮に感じられたのは医療関係の支援コミュニティで予定されている匿名投稿をグループの管理者が代わりに投稿する、という新機能です。ただでさえグループの中では「投稿ハードル」が高い、なかなか投稿しづらい、と感じている方が多いことを考えると、今後は医療コミュニティのみならず拡がっていきそうな機能なのでは、と感じます。これは大事、と思える情報やアイディア、意見を広くすくい上げる手段として、このような匿名代理投稿機能のニーズは潜在的にあらゆるコミュニティにありそうです。

まだまだ深掘りしてみたい新しい機能発表が満載のF8。マークザッカーバーグCEOによる冒頭33分のキーノートプレゼンテーションに加え、Facebook アプリの新しいプロダクト責任者であるFidji Simo氏によるグループ機能のプレゼンテーション(52:00頃から)も視聴可能です(5/3時点で既に900万人が視聴)

12分間にまとめられた動画はこちら↓

Facebookに対しては常に懐疑的、批判的な意見、コメントがなされることが多いものの、こうした新しい戦略、プロダクトが大きなスケールで繰り出され、データに基づいて長期的に改善を試みている姿勢は学ぶ点が多いと感じます。

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