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アルゴリズムフェアネス ~ もっと自由に生きるために

世界や技術の変化を捉えながら、より良い未来を考察し続けているIT批評家の尾原さんが新たな書籍を出版されました。

アルゴリズム フェアネス もっと自由に生きるために、ぼくたちが知るべきこと(KADOKAWA 2020年1月31日)

GoogleやFacebookなどの巨大な情報技術企業は、国境を超えて多くの国で利用できる共通の活動基盤となり、我々の生活に大きな影響を与えています。

先日、東京のコーヒーショップで、自分の前に注文している日本語のできない観光客の方が、Googleの翻訳機能を使って注文をしていました。

GAFAなどのプラットフォーマーの影響範囲は日増しに拡張し、日々の生活はどんどん便利になっています。一方で、その便利さを享受している結果として、世界は多様性が失われ、分断されていく危険性もあります。

例えば、Googleは複数のサービスを提供していますが、各サービスの利用時には誰が使っているのかを特定し、利用状況が記録されていきます。その結果を受けて、Googleはその人により興味のある情報や適したサービスを提供しようとします。そこに悪意が存在するわけではなく、より良い体験を提供しようとする企業努力が行われているだけだと思われます。

例えば、Googleの提供するインターネット閲覧ソフトであるクロムのトップページに表示されるニュースは、過去に検索で利用したキーワードに関連するものが優先的に表示されます。動画サービスのYouTubeでは、過去の閲覧行動から、より興味に近いコンテンツを提示します。

つまり、サービスを利用すればするほど、自分の思想や興味に近いものが提示され、触れ続けることで、元来の思想や興味はより先鋭化され、異なる考えや別の観点の情報と分断されていくことになります。

Facebookで提示される情報が友人と自分では異なるものが出ていることに、まったく気付いていない人が、沢山存在すると言われています。

知らず知らずの内に、我々の行動は特定のアルゴリズムに規定されていき、見た目の自由はあっても、現実的には縛られる時代が来ているとも考えられます。

10年後、20年後、こんな暮らしを求めてはいなかった、こんなはずじゃなかった、と後悔しないためには、ユーザである我々自身が、より選択的な行動をしていかなければなりません。

「アルゴリズムフェアネス」は、プラットフォーマーの裏側にあるアルゴリズムの構造と矛盾を紐解き、新しい国と企業と個人の関係性の気付き方を描いた作品になります。

もっと自由に生きていくための必読書です。

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