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岸田首相のウクライナ訪問に思う

 いろんな意見があっていいし、本件に正解はない。ということは、僕もスタンスを明確にしておいた方がいいかなと思って意見を述べる。

 まず、普段は岸田首相の首相としてのリーダーシップはあまり評価していない。様々なイシューに対し、国民をリードしていい方向に導いていこう、というスタンスが見えない。まあ、裏側でどんな想いを持ちどんな政権運営をしているか、実際にはよくわからないので、なんとなく表に出てくるところで感じていることにすぎないのだが。

 しかし今回のウクライナへの「電撃」訪問は、岸田首相の意思も見え、偶然ではあろうがタイミングもよかったし、いい仕事をされたと高く評価したい。

 まず、当たり前ではあるが、こういうケースでは「行くこと」自体が極めて重要だ。G7のリーダーたちがウクライナに訪問している中、岸田さんだけ行かない、というわけにはいかない。
 危険を伴いながら、実際に現地に訪問し、戦地を見学し、ゼレンスキー大統領と会談し、記者会見に臨む。それは国際社会を生きるリーダーに求められる当然の姿勢だ。だから行った。
 ましてや、G7の議長国であり、その開催地が平和の地広島である。議題のメインはこのロシアの侵攻になるだろう。そんな中、議長である岸田首相が
 「実は行ってません。伝聞情報でしか現地のことを知りません」
では済まない。

 もちろん、行っただけで全てがわかるはずはない。しかし一方で、全ての情報に触れなくても、行って言葉を交わすだけでわかることはとても大きい。これは私たちが仕事をする上でもそうだろう。足を運ぶだけでわかることは本当に大きい。それを岸田首相がやった、ということだ。

 これは偶然だろうが、タイミングがドンピシャだった。習近平氏がプーチン容疑者のところに行き会談しているまさに同タイミングで、西側のリーダーがゼレンスキー大統領と会っている。そして、共同声明を出してロシアを猛烈に批判している。これは習近平氏に対するプレッシャーにはなるだろう。

 そして、殺傷能力がない装備品ほかの支援を表明した。これも、ゼレンスキー大統領に直接伝えるのは重要なことだと感じた。金額が多いとか少ないとかという意見はあろうが、今はしっかりと「具体的な支援のスタンスを示し、支援する」ということが大切だ。日本は、戦争が終了した後の復興支援ではリーダー的立場をとれる。時間をかけて支援していくスタンスは、きっと世界に受け入れられる。

 ニュースへのコメント等を見ていると、「岸田さん、ここに金を使っていないで、国内に金を使って」という意見が多かった。
 言いたいことはわかるものの、国際協調、という意味で、海外の主要各国がウクライナを支援する中で、日本だけが支援しない、という理屈はない。さらに、ロシアが万が一この戦争で勝ってしまったら、ロシアはさらに日本を含む周囲の国に対するプレッシャーを強めるだろう。北方領土も二度と帰ってこない可能性が高まるし、何より軍事侵攻を仕掛けてくる可能性がある。
 そしてここで万が一ロシアが勝ったら、中国も、そうか、そうすればいいのだ、と台湾に軍事侵攻することにつながる可能性がないではない。だから、ロシアを勝たせてはいけないのだ。そのために、支援するのは当然のことだろう。

 まあ、コメントを見ていると、とにかくうまくいこうがうまくいかかなろうが、なんでもかんでも岸田首相を批判しよう、というfixed mindsetなスタンスの人が時々混じっていたように感じた。もちろん、この外交にも様々な評価がされるだろうし、それはうまくいかなかった、という主張もあると思う。しかしそれと「なんでもかんでも岸田さんはダメ」ということとは大きく違うのだよな。
(繰り返すが、僕は岸田首相の政治スタンスは基本、評価していない)

 お土産の「しゃもじ」については色々意見があるし、僕も、外装箱に使っていた「うまい棒」の方がよかったのでは、と当初感じていたが、ロシア側がしゃもじにネガティブな反応をしていた、ということで、目的は果たしたなと感じた。何を贈るか、というのはメッセージなのだから、G7になぞらえて広島の必勝しゃもじを贈ったのは、結果的によかったのではないか。

 岸田首相は、G7の議長国の首相として、ゼレンスキー大統領にG7へのオンライン参加を招聘し、ゼレンスキー大統領はYesの返事をした。そして共同記者会見に臨み、共同声明を出した。

 この外交は成功だったと僕は考える。そして本件を機に、国内を盛り上げるのは当然として、改めて日本はG7、そしてウクライナの復興支援を通して、世界に対する貢献スタンスを再構築していくべきだと思う。 

 お疲れ様でした。

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