
中南米コロンビアのユニコーン企業ラッピ(Rappi)をマーケティングトレース
今後、定期的に海外スタートアップのマーケティングトレースを発信していくことにしました!
「海外スタートアップトレース」
と仮で名付けています。
あまり情報が出ていないけど、海外でユニークな取り組みをいているスタートアップをトレースすることで、新しい事業・マーケティングアイデアを獲得することを目指しています!
早速ですが、本日は「中南米で最も資金調達額が多いスタートアップ」をトレースしていきます。
中南米は、ブラジル、コロンビア、アルゼンチンなどですね。(勝手にサッカーを想起してしまいます)
中南米の資金調達ランキングをチェック
日経CBをチェックしてみます。
記事によると、中南米の資金調達ランキング上位
1位ラッピ(資金調達額14億ドル)
コロンビアの宅配代行アプリ
2位ヌーバンク(資金調達額11億ドル)
ブラジルのチャレンジャーバンク(ネット専業銀行などの新興企業)
3位ウアラ(資金調達額1億9400万ドル)
アルゼンチンのスマートフォン決済
2009年以降の中南米カリブ地域のテクノロジースタートアップへの投資件数は1800件、投資額は120億ドル以上にのぼる。19年は360件以上、50億ドル強と過去最高を記録した。
中南米のスタートアップ投資はかなり盛り上がっているいるようですね。
本日は調達額1位のユニコーン企業「ラッピ」のマーケティングトレースを行います!
実はソフトバンクのファンドが10億ドル(約1,080億円)投資をしているのです。
ラッピのサイトはこちらです。
ラッピのビジネス概要整理
最初にラッピのビジネスモデルを整理していきます。
全体イメージは下記の記事がわかりやすいです。
イメージはUberEatsですね。
ラッピのUberEatsと異なる点は、飲食だけではなく、ドラッグストアの医薬品や、なんと現金までも届ける宅配サービスとのことです。
サービス特徴
・レストランの料理以外にも、あらゆるものが注文できる
・ドラッグストアと提携して薬も宅配
・現金も宅配してくれる
・RappiPayという決済サービスも展開
顧客体験
・エンドユーザーはアプリで注文
・Uberと同様に一般の登録配達員
先進国で根付いているビジネスモデルを中南米の国々にローカライズして提供しているサービスと言えます。
さて、競合はどこか?
当然UberEats、Amazonなどが競合にあたりますね。
特にUber Eatsとどのように差別化を図るかがポイントになってきますね。
外部環境分析
続いて、中南米の市場や社会環境はどうなっているのかを整理していきます。
なぜ、ラッピのビジネスがユニコーン企業となるレベルまで評価が上がっているのかを考えていきましょう。
ジェトロの中南米レポートを見ると、ラッピの本拠点コロンビアは、人口増・消費需要増と中南米の中でも市場の魅力度が高いことがわかる。
・ラテンアメリカでは中流階級が急激に増加
→国民の可処分所得が増
・隣国ベネズエラではハイパーインフレが起きて400万人とも言われる移民がコロンビア国内に流入
→貧富の差が拡大
・公共交通機関や物流インフラは未整備
→バイクや自転者移動は早く移動するときは有効的
・スマートフォン普及、インターネットやEコマースが発展する一方で、「銀行口座を持たない人が多い」
→ネット決済や送金マーケットが発達しやすい環境
ラッピにとっての機会
・労働者の増加→配達員のネットワークを拡大できる
・宅配インフラのポジションをとれれば参入障壁を高めることができる
ラッピにとっての脅威
・グローバルに事業展開するFintechやプラットフォーマーが参入してくる可能性あり
顧客ニーズと紐づく打ち手分析
続いて、ラッピの顧客は誰で、どんなニーズに基づいたサービスを提供し、どのような課題を解決しているのかをトレースしていく。
顧客は3者に分けることができます。
①エンドユーザー
②配達員
③加盟店舗
この3者をバランスよくグロースさせることが大切ですね。
それぞれのニーズや打ち手を整理していきましょう。
顧客1.エンドユーザー
インフラが整っていないことから、中南米特有のユーザー課題があり、その課題解決をしていることが価値につながっている
課題解決イメージ
・交通インフラが整っていないため買い物がスムーズにできない課題を解決
・物流インフラが整っていなく、宅配を依頼しても届かない不安を解消している
現在のエンドユーザー(アプリダウンロード数や利用者数)を増やすための打ち手は、シンプルに下記のようなものを実施しているようです。
・加盟店との共同プロモーションで認知拡大
・リファーラル(紹介)で新規獲得
・割引などのリテンション施策
顧客2.配達員
貧富の差があり、下流階級の働き手需要が高い。雇用を生み出す役割をになっている。
顧客3.加盟店舗
レストランやドラッグストアのような小売店舗が加盟店舗となる。
店舗ニーズは宅配サービスを導入することでシンプルに商圏拡大・新たなチャネル整備・売上拡大をしたいことにある。
店舗側は売上の22%を手数料として支払うとあり、UberEatsは日本の場合売上の35%であるため、比較すると高くはないですね。
全ての顧客にとって「インフラが整っていないことによる不満」を、ラッピは解決していることがポイントです。
ラッピがユニコーン企業まで評価されている要因
ここまでラッピの分析を行ってきました。
中南米のローカル市場に新規参入しているメリットを生かし、下記のマーケティングを行っていることが評価されている要因ではないでしょうか?
①中南米のローカルニーズに応える
②新規ユーザー獲得→顧客ネットワークの密度を高めてサービス体験価値を上げる
ここまで整理して、いやUberEatsでも同じことできるのでは?
と思われた方も多いのではないでしょうか。
UberEatsはグローバルでサービス提供をしていますが、例えばインドでは事業撤退をしています。
宅配シェアリングのサービスは、エンドユーザー⇆宅配員⇆店舗の各ニーズに応える複雑なモデルであるため、ローカルニーズを理解していないと市場シェアの獲得が難しいことを示しています。
ラッピはローカルニーズに応えています。
中南米特有の、現金を宅配するや食以外のカテゴリーも宅配する・・といった打ち手がわかりやすい例ですね。
ラッピのマーケティングトレース学び
GAFAが進出できないサービス領域や地域にフォーカスして事業アイデアを考えると、新しい切り口が見出すことができるかもしれません。
ポイント整理
・既に強いプレイヤーがいても、セグメントを工夫する
・そのセグメント固有の顧客ニーズや課題を特定する
・固有ニーズを解決するシステムを構築する
ラッピが次にどのような仕掛けをしてくるか、今後も注目していきたいと思います!
ラッピに関してはこちらの記事が、簡易ユーザー調査も行っておりオススメです!
以上、 #海外スタートアップトレース でした!
最後まで読んで頂きありがとうございました!