40代は人生の最悪期
中年と言えば、若い時と比べてちょっと収入が増え、苦労も重ねて人として少し成熟してくるのに余命はまだまだ残されていることで、人生を謳歌できる最高の時期だと考えることもできます。
しかし反対に、これは50年以上前になりますが、1965年にカナダの心理学者エリオット・ジャックは、30代後半から40代にかけて、うつ状態の人が多く発生することを発見し「中年の危機」と名付けました。
それから科学的には実証されていませんでしたが、最近実施された世界132カ国における幸福感と年齢の関係を調べた最新の論文によると、人生における幸福感が最も薄れるのは先進国で47.2歳となり、すべての国で中年層が最も強く憂鬱を感じる傾向を示すことがわかったそうです。「中年の危機」は実在していました。
人生の幸福感、47~48歳が最低 米研究(日本経済新聞 2020年1月20日)
40代で幸福感はなぜ減少していくのでしょうか。一般論としては以下の理由が挙げられます。
・仕事の負担や責任が重くなり、プレッシャーが強まる
・自分自身の体の不調を感じ始め、健康面での不安を抱える
・親の介護や子どもの進路など家族を取り巻く環境の困難さが高まる
・人生に期待してきたことと、現実との乖離が明らかになり、絶望を感じる
・精神的に成熟しきっておらず、他者と比較して自分の立場に不満を覚える
多くの方が体感するこの中年の危機を克服し、有意義に過ごすために参考になる書籍があります。
ハピネス・カーブ 人生は50代で必ず好転する (CCCメディアハウス 2019年6月14日)
人生の幸福感はいったん下がった後に上昇するハピネス・カーブを描くことが調査で明らかになっており、50代で好転を始めることがわかっています。
まず、長いトンネルの中にいるようで落ち込んでいる時には、その後の回復の可能性を把握できれば、絶望感を減少させることができます。
また、現代は幸福に関する研究も進んでいます。他者の所得や地位と自分を比較して、そればかり気にするよりも、周囲の家族や友人との関係性を大切にしたり、自分の特性を生かして誰かの役に立って生きることが、もっと重要であることがわかってきています。
不安や焦燥感に飲み込まれず、この危機を本当に大切なことを見つめなおす人生の良い機会とすれば、反対に幸福感を高めることもできるでしょう。
また、これは本人の問題だけではなく周囲の影響もあります。40代の人たちは働き盛りで元気なイメージもありますし、成熟した大人だという認識もあるため、気軽に「おじさん、おばさん」と馬鹿にしているような状況を見かけることがあります。
45歳の自分が言うのは少々気が引けますが、人生の最悪期を過ごしていること、悩みを抱えている人たちだと、周囲の人たちは再認識をして、暖かく支援していくことも必要ではないでしょうか。
若い人たちにとってはいつか行く道ですし、年配の方にとってはいつか来た道です。40代の悩みは人類共通の傾向であることを把握し、本人たちの対応力を上げていくとともに、周囲もサポートしていけると良いですよね。
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