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右肩下がりの時代をどう生き抜くか? 〜デジタル技術が作り変える経済

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。本業がHRに関わることから、普段から働き方改革関連のニュースはよく見ています。その中でよく目にするのは「残業時間削減」「生産性向上」といった言葉です。

■ 豊かさを測る基準

一方で「世界経済は減少局面に入る」という話や「オリンピック、万博を契機に、日本はまだまだ伸びる!アベノミクス!」などというニュースも見ます。なにがなんだか、、、という気持ちですが、共通しているのは経済力をGDPで見ているところです。もっとも、これまで国家は豊かさを測る基準を定め、税制や社会保障を通じて富を分配してきました。ですので、GDPを利用するのは別におかしくはないでしょう。

では、人口減少時代において、GDPを伸ばしていくことはできるのでしょうか?

GDPとは国内で1年間に生産されたモノやサービスの付加価値の合計数のことで、大雑把には「労働力人口×労働時間×労働生産性」と考えることができる。つまり、労働者が増えるか、労働時間が増えるか、労働生産性が増えればGDPは上がる。逆に減れば、GDPは減少する。
 これまでの予測から生産年齢人口が大幅に減るのは確実であり、対策がないままでは、労働力人口も減ると考えるのが自然である。さらに言えば、生産年齢人口率が減るのだから、人口減の割合以上にGDPが下がってもおかしくない状況だ。

労働者も労働時間も大幅に増える見込みはないので、現状維持を目指すだけでも生産性を大きく増やさなければ難しいということがわかります。これが、働き方改革の中で「生産性向上」が謳われている背景でしょう。

しかし、この指標は産業革命以降の工業がベースであった時代には合っていたと思いますが、デジタル・エコノミーが主流になると測れないものの影響が大きくなってきます。

■ デジタル化で増える「見えざる資産」

インターネットには検索やSNS(交流サイト)など無料サービスがあふれる。米調査会社コンファレンス・ボードのキャロル・コラード氏らは17年の米国のGDPで無形資産への投資が12%を占めたのに、うち6割は公式統計が把握していないとみる。値段のない豊かさはGDPという尺度では測りきれない。

無料サービスを利用することで得られる豊かさやお得感。スマートフォンで写真をとるのも無料だし、友達にあげるのも無料。以前は存在した現像やプリントにかかるコストはナシ。つまり、写真屋さんの売上はなくなったということです。

「GDPは豊かさではなく、モノの生産量の指標にすぎない」。米コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授は「各国はGDPにこだわり、08年のリーマン危機後に誤った政策を選択した」と断じる。国力を測る取り組みは17世紀の英国で始まり、戦争遂行能力を調べるために発展した。GDPはかねて専業主婦の家事労働が計上されない欠点などを指摘されるように、値段のない豊かさをとらえることは不得手だ。

■ 変化する豊かさの形

世界がインターネットサービスに覆われるにつれ、今後の時代の評価軸はGDPの外側になっていくでしょう。そして、我々の感じる豊かさもその外側から得られるようになります。人口減少分をロボットが埋めるのだとすれば、今よりも便利になるかもしれません。

経済も人口も右肩下がり」と聞くと、将来が不安になる方も多いでしょう。しかし、それが何をベースに語られているかをよく見極め、雰囲気に流されない自分の軸を持つことこそが、これからの時代を生き抜く力なのだと思います。

これに関連して、最近売れているビジネス書である『ファクトフルネス』。データを元に正しく見るスキルをつけるには、もってこいの本でした。

みなさんにとっての豊かさはなんですか? 将来のことを考えるときは、このことについても思いを馳せてみるとよいかもしれませんね。

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タイトル画像提供: Melpomene / PIXTA(ピクスタ)

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