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新しく発見された原人が投げかける人類と民族の多様性 日本は多様な民族から成り立つ国だった

新しい種類の原人が発見されたとのニュースがありました。人類を研究している方々の間で大きな話題になっているようです。

発見された新種の原人は、今後の研究により最終的にどのように定義されるかはまだわからないようですが、今回の発掘に関わっていない方も含め新種であることを確信している研究者が多いとのこと。発見は2019年4月とごく最近、フィリピンのルソン島のことです。

陸続きになっていないことや、海を渡るにしても海流を越えなければならないため船が必要なので、数十年前までアジアの人類史はかなり単純なものだったと考えられていたのが、それを覆す証拠がいくつか発見され、さらに今回の発見によって、アジアに住んでいた人類は今まで考えられていたよりも遥かに多様だったことがわかってきたとのことです。

出アフリカと人類の多様化

チンパンジーなどとの共通の祖先と分かれて、人類が登場したのが700万年くらい前。そのことも21世紀になってから化石が見つかり判明したなど、この20年ほどで新たに大きな発見があったようです

その「初期の猿人」が生まれた700万年くらい前から200万年くらい前まで、人類はアフリカにだけ生息していたのが、あるときアフリカを出て同時に多様化がはじまりました。

それからしばらくして、いまから5万年くらい前から人類は世界に爆発的に拡散し、それぞれの土地で色々なグループが出てくる。インドネシアのフローレス島では、それまでの人類よりも身体が縮小した人類が存在したことが明らかになり、今回はそれに続く驚愕の発見で、学会では大騒ぎになっているようです。

『サピエンス全史』を読み、人類は直線的に進化してきたわけではないということや、同じ時代に「複数の人類」が存在していたということを知り、自分の中で今まで持っていた人類史のイメージが大きく変化したのはつい最近のことですが、また新たに別のタイプの人類が発見され「系統樹の枝がひとつ加わる」とは、人類はさらに多様性に富んでいたのかもしれません。

21世紀に入り相次ぐ発見

ナショジオの記事にも登場する海部陽介氏は、21世紀に入り東南アジアで「ヒト属の新種」の発見が相次いでいる理由として、①発掘の技術が進化したこと、②発掘のためには費用が必要でありアジア各国の経済発展により人類史を研究する余裕が出てきたこと、③新たな発見が相次ぎ面白い分野になっているので多数の研究者が関わってきていること——と言っています。とくにアジアではわかっていないことが多すぎたようですが、最近ようやくアジアにも研究の目が向けられ、多数のことがわかるようになってきているそうです。

そうなのであれば、今回のような発見はまだまだ続く可能性があり、一般人がなんとなく持っている人類史のイメージが(『サピエンス全史』を読んだときのように、またはそれ以上に)、ここ数年のうちに覆っていく可能性もあるのでしょう

多民族国家日本

初めて日本列島に人類が到達した頃には少なくとも3つのルート(対馬ルート:3万8,000年前・沖縄ルート:3万5,000年前・北海道ルート:2万5,000年前)があり、その後にも縄文時代と弥生時代の間に多数の人類が日本に入ってきているなど、日本人というのものは各ルートから集まってきた様々な民族が、この国の中でさらに混ざり合ってできた民族であるので、そもそも日本は立派な多民族国家といえるということです。

新しい人種の発見などもエキサイティングな話ですが、人類は多様であったこと、日本という小さな(と言われている)島国でも、長いスパンで見ると明らかに多民族国家といえることを、各種調査により見つかった遺跡をもとに証明していく人類学というものに興味津々です。


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