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ヴィーガンおもてなしに眠る商機

大学生時代、環境倫理学の講義にベジタリアンの学生が参加していました。今から20年近く前でしたので、学生食堂でも食べられるものがほとんどなく、戸惑っていたのを思い出します。時代は変わり、ベジタリアンやビーガン対応のレストランやメニューが増えてきましたが、それでも2020年の東京五輪が迫り、日本の「おもてなし」に向けた取り組みはまだ道半ばだといえます。日経電子版のコラム「Nikkei Views」では、そうした現状を指摘しています。

世界的に見れば、宗教や個人的な思想によって何らかの食のルールを持つ人は34億人いるといわれています。世界人口の4割にのぼり、訪日外国人観光客で見ても無視できない規模といえます。こうした人々への対応を進めることは、飲食業にとって巨大な潜在市場を取り込むチャンスといえるでしょう。

「出汁などで動物性調味料を使う日本では対応が難しい」という声もありますが、日本の歴史をさかのぼってみれば、「精進料理」というものがありました。肉や魚を湯葉や大豆などの植物性の素材で模した料理は見目麗しく、味も遜色ありません。日本人の工夫の精神が大いに発揮されています。

世界的にも、環境負荷に配慮した脱動物性素材の動きが大きな潮流になりつつあります。牛のゲップなどの地球温暖化の原因を抑制するなどの理由で、肉食代替の素材開発を進める「フードテック」の動きです。

日本でのフードテックの動きは、ハイテクとは言えないまでも進んでいます。例えば絶滅危惧種に指定されたウナギを代替する「なすのかば焼き」などが市場に登場したことも記憶に新しいかもしれません。「窮すれば通ず」の精神がイノベーションを生むのではないでしょうか。

「Nikkei Views」の過去記事はこちらから。

(デジタル編成ユニット プランナー 二瓶悟)