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自分の仕事もデジタル・トランスフォーメションできるーフローチャートのすすめ(日本を強靭化するDX #3)

デジタル・トランスフォーメーション(DX)で、働き方が変わる

 この3か月程度で、私たちの働き方は大きく変わり始めた。テレワーク、リモートワークの導入が本当に進み、そして出張は激減した。そして、この働き方も、悪くないのではと思い始めた方もいるだろう。

 私も、多くの会議をVideo会議に変えたことで、一日さまざまな地域の方と会議ができるようになった。本当にテレワークの導入は働き方改革の「きっかけ」になっている。

 ところで、これはデジタル・トランスフォーメーションなのだろうか?答えは「はい」、そして「いいえ」となるだろう。確かに、会議の方法が変わった。しかし、私たちのデスク・ワークは、まだデジタル・トランスフォーメーションできていないのではないだろうか。そのことについて、今回は考え、むしろデジタル・トランスフォーメーションの重要な部分、それは仕事の整理、ルール化であることについて、考えたい。

フローチャートを知っていますか?

 私は、事業構想大学院大学で教鞭をとっている。そこでは、社会人の学生に情報技術を教えている。簡単なプログラムも教える。そして、その前に、「フローチャート」を、教えている。

 フローチャートとは、業務の流れや、その時に使う判断などのプロセス(業務の過程)を図式に書くものである。そこには、その仕事で登場する人物と、縦に時間をとって、どのように業務を行うのか、書くのである。

 私は、事業構想大学院大学の授業で、こんな質問をする。「『お客様が、180円の商品を購入して、200円を店員に払う。そして、店員がoお釣りをお客様に渡す』このフローチャートに書いてください。」

 皆さんは書けるだろうか?

(1) お客様が、200円と、180円の商品を店員に渡す。
(2) 店員は、もらったお金200円の確認をする。
(3)商品を確認して、商品の価格が180円であることを確認する。
(4) 店員が200-180円を計算して、お釣りを20円と理解する。
(5) 10円硬貨を2枚取り出し、180円の商品と20円をお客様に渡す。

これを、図に書くのである。これがフローチャートであり、実はコンピューターに仕事をさせる時に必要な、業務のプロセス化である。

子どもも、学ぶフローチャート

 実は、このフローチャート、今の小学生はプログラミングの授業で学んでいる。

 この記事に出てくる、Scratchというプログラミングは、まさにフローチャート通り、プログラムをする教育用プログラミング言語であり、私も社会人に大学の講義で、実習させている。実は、この体験こそが、デジタル・トランスフォーメーションの1丁目1番地だと考えている。。

 つまり、業務をきちんとフローチャートに書ければ、その業務は部下に依頼することも、コンピューターで自動化することも可能なのである。ところが、いままでビジネス・パーソンは、自分の仕事をあまり整理してこなかった。ビジネス・パーソンの間で、仕事の引継ぎにてこずる理由も、属人的な仕事のやり方が多く、誰が行っても良い状態、つまりフローチャート化されてこなかったのである。

段取り8分、仕事2分

 この「段取り8分、仕事2分」とは、昭和のサラリーマンであれば、聞いたことがある言葉であろう。いきなり仕事に取り掛かるのではなく、その仕事をどのように行うのか、まず考える。そして、準備をきちんと行う。そして、実際の仕事に取り掛かる。

 ところが、新人のビジネス・パーソンが行ってしまうことは、仕事を依頼されると、すぐに仕事に取り掛かり、あるところまで進んでは壁にぶつかり、そしてまた進んだと思ったら壁にぶつかる。仕事全体の見通しと、準備が不十分だからである。

 上司の、仕事の指示にも問題がある。仕事の指示がとてもあいまいなまま、部下に頼み、結果、頼んだことと、行われた仕事の姿に差が生じるのである。

 実は、この両方とも、「フローチャート」を使えば、準備は丁寧に行え、部下への指示も明確になるだろう。フローチャートは仕事全体の俯瞰図であり、誰が関係者かも明確にしないといけないからである。

デジタル・トランスフォーメーションの(DX)は、自分の仕事の再定義

 「デジタル・トランスフォーメーション=AIの導入や、高度なコンピューター技術の導入」ではない。仕事をフローチャートに書き起こし、自分の仕事を再定義することこそが、デジタル・トランスフォーメーションへの入り口だ。自分の仕事をフローチャート書き出す。書き出せる仕事は、明確な業務プロセスになっているので、その仕事はコンピューターに任せて、自動化する。それにより空いた時間は、フローチャートにできない、もっと創造的な仕事、未知の仕事に使う。これが、デスク・ワークにおける、デジタル・トランスフォーメーションなのではないだろうか?

 外形的に、テレワークをすることは、まだまだデジタル・トランスフォーメーションの入り口に過ぎないのである。もっと、デスク・ワークは知的生産性の高い仕事に変えることが必要だ。

 ぜひ、自分の仕事をフローチャートに起こして欲しい。経費精算は自動処理できるだろう。契約書の確認だって、フローチャートに書き出し、きちんと判断基準などを明確化すれば自動化できるだろう。

 私たちはこのようにデジタル・トランスフォーメーションを進め、誰も考えていない、10年後のビジネスを考えこと。そのことが、重要なのだろう。デジタル・トランスフォーメーションがGoalではなく、その先のビジネスの強化がGoalである。


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