大・休廃業解散時代
後継者不足、高齢化・・・、待ったなしの事業承継問題。
事業承継問題が叫ばれ始めてからかなりの年月が経っていますが、この問題は「経営者の高齢化」が原因なので、「人口動態」とほぼ同じ精度で深刻化の一途を辿っています。まさに、予測できていながら避けれていない大問題となっているわけです。
社長の平均年齢と後継者不足
記事によると、1990年以降、社長の平均年齢は31年連続で過去最高を更新していて、2021年は60.3歳(前年比+0.2歳)、休廃業・解散を行った企業は70.3歳となり、初めて70歳を超えたそうです。
すさまじい高齢化。
人生100年時代のいま、「歳をとってもまだまだ現役」ということの必要性は十分に理解するところである一方、世界の変化に後れを取り、凋落の一途を辿っている我が国を象徴する「衝撃の統計」でもあると思います。
同じく、記事によると、それだけ高齢になっていながら、後継者がいないという合併症患っているそうです。(後継者がいないから高齢化している、ということでもある)
じつに、60代では約5割、70代では約4割、80代以上では約3割が後継者がいないという、「休廃業、解散が濃厚」となる結果となっているそうです。
何を、どう、引き継ぐか?
その状況に手を打つとき、国全体の問題として「すべてに対して救済の手立てを打つ」という考え方はあるかもですが、スタートアップとしてこの問題に立ち向かう場合は、それではあまりに「的(マト)」が大きすぎ、また、経済的にも成り立たなそうです。
上述の惨状のなかに、スタートアップとしてこの問題に立ち向かうとしたら、どこに商機や勝機を見出すか?
たとえば、その一つに、「機械代替できない領域の職人技の伝承」があると思っています。
分かりやすい部分で言うと、「伝統の技、伝統的な工芸品」あたりでしょうか。大半の業務が、AIや機械化によって置き換わられていく未来においてもなお、個人のスキルや技術で価値が創造される分野です。
機械代替できない(≒機械で代替すると逆に経済的に成り立たない)という合理的な側面だけでなく、「伝承し守るべき」という情緒的な側面も含めて、成り行きのシナリオ(高齢化、後継者不足による消滅)に立ち向かう意味や意義があるのではないかと思います。
DO with XR
だとしたら、それらを、どう実現させるか。
その一つの可能性は、「残すべき独自技術を、デジタルアーカイブ化し、AIで整理分類して、非対面でも習得できるようにVR化する」ということだと思っています。
もちろん、そのチャレンジは、すでに世界中で行われており、所謂「伝統工芸」ではなく、「中小企業の匠の技」などにも広がっています。
ただ、それでどうにかなるかと言ったら、個人的には、もう一工夫必要な気がしています。
なぜなら、「残す」や「知る」というレベルでは十分だとしても、「する」や「出来る」というレベルにおいては、不十分だと思っているからです。
「する」「出来る」まで、そのレベルを引き上げるには、
①「手本となる動き」を3Dデータ化して蓄積、活用できる「動きのデータ」にする。
②「習う人の動き」をリアルタイムで3Dデータ化して可視化できるようにする。
③①と②のデータをリアルタイムで重ね合わせて比較分析するなど、自由に扱えるようにする。
の3つが必要だからです。
この3つが揃えば、たとえば、「匠の技をバーチャル空間でスロー再生しながら自らの動きを重ね合わせ、慣れに従って再生速度を上げて、やがてはリアルにも出来るようになる」ということが実現するわけです。
単に動きのデータをアーカイブするのではなく、現実にも作用する、身体性を伴うバーチャルにより、残すべき独自技術に寄与するスタートアップの活躍を、期待をしたいです。