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百度(Baidu)が赤字に。BAT時代は終わるのかも

先週末に日本でも報じられたように、百度(Baidu)の1~3月期決算が2005年の上場以来初めて赤字となりました。

中国のGoogleと一般的に思われているBaidu(百度)は5月16日に、本年第1四半期(1〜3月)の決算報告を発表した。近年同社は人工知能などの次世代技術への支出が多く、その成果がマスマーケットにまだ届いていないので、それはあまりうれしくない結果だ。
同社は、3月31日に終わる四半期に4900万ドル(約54億円)の損失を計上し、それは2005年に上場した同社の初めての損失の四半期になった。同社の前年同期の純利益66億9000万人民元(約1062億円)に対し、今四半期は3億2700万人民元(約52億円)の純損失となっている

BAT(Baidu、Alibaba、Tencent)と呼ばれる中国のインターネット御三家のBに一体何が起こったのでしょうか。

まずは百度について知ってますか?

百度は中国のGoogleだという認識している方はたくさんいるかと思います。実際には百度のビジネスの領域はグーグルよりもっと豊かです。

↑中国語では「生態系」と表現されます、Baiduのビジネス領域図

事業内容からいうと、検索エンジンやその広告ビジネスはもちろんですが、それ以外にも

「ECサイト」「動画サイト」「音楽やゲーム」「地図」「電子決済や金融・保険」「ネット文学やオンライン教育」「医療関係」「航空券やホテルの予約プラットフォーム」「出前配達やレストランの予約システム」「人工知能」「ビッグデータ」「クラウドサービス」など

中国のネットユーザーがよく利用しているものを全てカバーしていると言っても良いです。

中でも僕らが一番注目しているのは動画サイトの愛奇芸(aiqiyi)。中国のNetflix的な存在で(実際にはもっと凄い)、ビジネスもかなり好調。そして一番凄いところは、「ネットのサービスといえば無料」に慣れている中国ネット民の有料会員を8700万(2019年現在)にしたからです。これもまた今度詳しくお話ししたいと思います。

実は、すでに「BAT」は前から崩壊してましたよ

上記の通り、ネットサービスにおいて百度はたくさんのサービスを展開しており、文字通りのBigカンパニーだったのですが、実際のところ「BAT」と言いながらも「B」は「A」と「T」に比べてかなり前から企業評価値の桁が違ってました。下の図を見てください。

↑中国信通院が発表したデータ

このデータによると、2018年の市場評価値が最も高いのはテンセントで、アリババが2位です。(上場企業だけ、アリババの関連会社スーパーユニコーン企業アントフィナンシャルが統計されていません)百度はテンセントやアリババの10%程度の額しかありません。

ただ企業としては成長しています。話題になっている2019年Q1の財務報告書を見てみると、第一四半期の売上げは241億人民元(約35.9億ドル)で、同比21%増でした。ただ、純損失が3.27億人民元(約4900万ドル)でした(2018年Q1だと純利益67億人民元)

どうして百度は赤字に転落?

評価額がテンセントやアリババより大きく劣っていることはわかりましたが、中国での百度の存在感はまだまだ健在です。そして売上も大きく、前年比で成長していることがわかりました。ではなぜ赤字に転落なのでしょうか。

日本語でのたくさんの報道を見ましたが、主に挙げられていたのは

・百度は「検索エンジンに頼る一本足打法のビジネスモデルに限界が来た」
・中国での検索サービスの競争が激化、百度のシェアが9割から7割に低下
・愛奇芸(iQIYI)は43%の増収を確保したものの、コンテンツ費用が47%増え、営業赤字幅が増えた
・自動運転技術に注力しているが、収益化まで程遠い

といったところでしょうか。これらは正しくはあると思いますが、今回の赤字の直接的な原因ではないと思います

ではこの四半期に一体何があったでしょうか。

 ⬇︎に続きます!



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