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企業・組織がよりスマートなメディア運営に力を入れる時代に

コロナ禍で社会のデジタル化が進み、今まで以上にオンライン上での存在感やブランディング、マーケティングに力を入れる必要がある、というのは自然な流れかもしれません。そんなことを感じるニュースをいくつか目にしたので書き留めておきたいと思います。

世界中で広く利用されているブログプラットフォーム「ワードプレス」のエンタープライズ版サービスを提供する「Wordpress VIP」がウェブサイト分析やコンテンツ最適化サービスを提供するサービス、「Parse.ly(パースリー)」を買収したことが先日報じられてます

WordpressVIPは既にCNN、The Atlantic、Timeなどのメディア企業のCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)として広く利用されてますが、同時にマイクロソフト、Slack、Spotify, Facebookなどのコーポレートサイト運営にも利用されています。パースリーのサービスを既存、将来のクライアントに提供することでサイト訪問者の閲覧履歴をより把握して、エンゲージメントを高めることを目的とした買収のようです。

WordpressVIPとParse.lyの直近3年間の新規クライアント(400社)の内訳のが米ニュースサイトAxios(アクシオス)に掲載されています

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注目したのは過去3年間において伝統的なメディア企業ではなく、マイクロソフトやSlackのような企業のマーケティング分野での利用が増えていることです。ワードプレスの運営会社である「Automattic(オートマティック)」に2019年に3億ドルの出資をしているセールスフォース、また「インバウンドマーケティング」という見込み顧客に見つけてもらうための「コンテンツ・マーケティング」を推進する「ハブスポット」という会社もこうした分野での事業の拡大を推進している代表例として知られています。

*オートマティック社はリモートワークを推進していることでも広く知られていて、そうした文脈でも国内では知られているかもしれません。

企業が広告等の従来のマーケティング施策のみではなく、自社のメディア運営を通じて見込み顧客に見つけてもらい、その上でeメールのニュースレターを購読してもらい、さらには顧客や開発者などのコミュニティをSlackなどのオンラインフォーラムやオンラインイベントを通じて醸成し、プロダクトやサービスを購入してもらう、という取り組みが今後ますます加速するのではないかと思われます。

こうしたコンテンツ・マーケティングの潮流が広がっていることを、コンテンツ・マーケティングを提唱する世界的な団体「Content Marketing Institute」のファウンダーであるJoe Pulizzi氏をゲストに迎えたポッドキャストでも詳しく紹介されてます。

社内コミュニケーションに力を入れる企業に対し、効果的な社内ニュースレター配信サービスを提供する企業も

対外的な情報発信のみならず、社内での効率的なコミュニケーションにも注目が集まっていると感じます。SlackやTeamsなどのチャットツールによって生産性向上が高まっている事例は既に耳にしたことがあるかもしれませんが、先日新しくサービス開始したのは、最近注目が集まっているメール・ニュースレターを社内報的に利用するサービスです。

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AxiosHQは2017年に創刊した米ニュースサイトですが、「Smar Brevity(スマートな簡潔さ)」を売りにしていて、長い文章を読ませるのではなく、短く、ポイントを簡潔に伝えるためのレイアウト、ニュースレターを活用するフォーマットを洗練させていることで知られています。AxiosHQも実は大企業に所属するニュース購読者から社内でも簡潔に伝えるべきことを伝える手法に関しての問い合わせが多く寄せられたことでプロダクトとして外部に提供することを決めたそうです。

Axiosのニュースを目にすると、「One big thing(重要な話題)」、「What’s next(今後の展開)」、「Why it matters(それが重要である理由)」、「Go deeper(掘り下げる)」というような小見出しとともに、箇条書きのポイント記載、チャートなどが要約されていることに気づきます。

個人がクリエーターとしてブログ、ポッドキャスト、YouTube等にコンテンツを発信することで独立をする人が増えるように、企業にとっても新しいマーケティング活動、社内コミュニケーションの文脈でメディア運営の視点、具体的な実践が必要とされる場面が今後更に増えていくことと思います。米国内でもまだ小さな兆しかもしれませんが、こうした取り組み、事例等はぜひ参考にしてみたいと思ってます。

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