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首相退陣で上がる株価。我々はリーダーに何を期待しているのか

菅義偉首相が退陣を表明したと伝わると、日経平均株価は大きくを急上昇しました。

最近の支持率の低さからもわかっていたことではありますが、退陣表明と共に株価が急激に上がるということは、多くの投資家は現在の首相に失望していたと考えられます。

実際、支持率は、内閣発足当時だと60%以上ありましたが、最近では30%程度まで下がり、半数以上が不支持の状態になっていました。

ちなみに、菅首相は154日間にもわたって休みを取らず、献身的に仕事をされていました。同期間に同じように仕事をしていたリーダーがどの程度いたのでしょうか。間違いなく、仕事への時間の割き方は最高水準だったはずです。

米国のオバマ元大統領は、在職中、定時で仕事を切り上げ、家族と食事をとるスタイルを貫き、仕事量が少ないと批判されていました。しかし、国民からの支持率が4割を切ることはありませんでした。

我々は、リーダに対して大量に仕事をして欲しいわけではなく、明確に異なる観点で評価をしていることがわかります。

説明責任を果たし、反対者の納得を目指す姿勢

支持率を大きく下げた時期が2回あります。

NHK世論調査 内閣支持率

NHK世論調査 内閣支持率

1度目は20年末に新型コロナの感染拡大により「GoToトラベル」を停止した時期で、2度目はオリンピックの開催を進めつつ、緊急事態宣言が発令された21年のゴールデンウィーク後です。

政府の方針を活動や政策から読み解くと、昨年は「新型コロナ抑制よりも経済優先」、今年は「新型コロナ抑制よりもオリンピック開催」という意思決定に基づいています。

両取りができれば何ら問題はないのですが、双方満たすことができず、そしてどちらを大切にするべきかにも両論あり、残念ながら国民全員を満足させることが決してできない状況に日本政府はありました。

政府がどちらに重きを置いたとしてもメリット・デメリットは存在し、どちらにしても何かは失われるので、私は意思決定の内容に大多数が失望したのではないと感じています。

むしろ、何の選択したのかを明言しないこと、その選択によって不利益を被る人たちが納得できる理由を説明しなかったことが、多くの人を不支持に回らせたのではないでしょうか。

これは以前書いた内容ですが、菅首相が以下の内容を実践されていれば、今回のような事態にはならなかったはずです。

人は、理由がわかれば犠牲を払うことができます。理由に深く納得できれば、自分の命を投げ打って死地に赴くこともできます。ただし、自分が失うものと天秤に掛ける価値があることなのか、リーダーにはその理由を伝える義務があります。そして、より良い未来を実現するために、方針が抱える矛盾を乗り越え、人々に何を諦めて欲しいのかを明確に伝えることが、リーダーの最大の仕事になるのです。


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遠藤 直紀(ビービット 代表)
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