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ファミリービジネスから学ぶ、継承と変革のバランス感覚について

戦略を考える上で、今までやってきたことを継続すること、新しく取り組むこと、この2つのバランスを取ることがとても重要です。

継承すること、変革すること、このバランスが取れたときに、ブランドは力を発揮するのだと思っています。

自分は、家族経営をされているクライアントと仕事をする機会が多く、ファミリービジネスから学ぶブランドづくりの視点について書いていきます。

ファミリービジネスについては、星野社長の「星野佳路と考えるファミリービジネスの教科書」が、同族経営の強さ(だけでなくドロドロとした部分も含めて)を理解するのに役立ちます。

ファミリービジネスの強さについて

世界的なエクセレントカンパニーにはファミリービジネスが多いことは有名な話です。

国内でも、
・星野リゾート
・ユニクロ
・スノーピーク
などがファミリービジネスの代表例ですね。

こちらのフォーブスの記事には、世界の同族企業ランキングが紹介されています。

ファミリービジネスの強さについては、研究も進んでいます。

「同族企業の方が非同族企業よりも業績がよい」という研究結果も出ています。

日本では「婿養子を迎えた同族企業」が最も業績が高くなる

(中略)
多くの実証研究で、同族企業の方が非同族企業より業績が高くなる、という傾向が示されているのだ。例えばアメリカン大学のロナルド・アンダーソンらが2003年にJOFに発表した論文では、1992年から1999年の間に米国S&P500にリストされた企業403社を分析し、うち3割を占める同族企業の方が、非同族企業よりもROA(総資産利益率)が高くなる傾向を示している(※3)。

 オランダ、エラスムス大学のマルク・ファン・エッセンらが2015年に『コーポレートガバナンス・アン・インターナショナル・レビュー』に発表した論文(※4)では、米国企業を分析した55本の実証研究をまとめたメタアナリシスより、「同族企業の方が非同族企業よりも業績がよい」という総合的な結論を得ている(※5)。

うまくいく同族企業の経営者が持つ共通点

なぜファミリービジネスは強いのか?

なぜ、ファミリービジネスが業績が良い傾向にあるのか、強さの秘訣から自分たちが学べることは何かを整理していきます。

キーワードとしては「戦略を考える時間軸の長さ」だと捉えています。

ファミリービジネスは、
1. 100年単位で継承する理念・物語をもつ
2. 次の代に継ぐ、さらにいくと永続を経営目的にする

ことが前提となって経営されやすい。

日経新聞の、老舗の教えシリーズのインタビューを読むと、各社長が時間軸を長くもって思考・行動していることがわかります。

長い時間軸で戦略を考えながら、継承すること、時代の変化に合わせて変革することをバランス良く意思決定できると、経営に芯が通るのだと感じています。


時代をはるかに超えて、いくつもの商品のライフサイクルを通じて繁栄しつづける会社を築くのは、 「時計をつくる」ことである。

ファミリービジネスから学ぶこと

ファミリービジネスでなくても、時間軸を伸ばした問いをもつことは重要だと感じています。

100年前から継承したいことは何か?
100年後に何を残せるか?

MITの副所長石井さんの言葉が自分は好きなのですが、まさにこの思考をもてるかが、深い戦略を考える鍵になると思うのです。

「2200年の世界に何を残せるか。それを考えて僕は毎日を生きている」

最近流行りのSDGsでは持続可能性といった言葉が使われますが、ファミリービジネスで当たり前に考えられている「次世代に良い形で承継する」視点が、持続可能性の本質なのだと考えています。