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世界中のコンテンツが「何でも見れる」より、画面の外で、今出会いに触れたい。

人間に与えられた時間は、平等に1日24時間。そのなかで皆さんどのような内訳で、コンテンツと付き合ってますか?動画、SNS、TV、ゲームや音楽などなど沢山ありますよね。

下のデータは、分類としては「メディアとの接触時間」ですが、1日約445分。7時間越え。このくらいは自分もそうだろうなと思いつつ、数字のインパクトはなかなかです。

メールにSNSあれこれ…「チェック”しなきゃいけない”ものがいっぱいある」と思ってしまう今の私は、この仕事をしながらも、脳みそが少々溢れそうになっています。そんな私がコンテンツたちと今後どう付き合っていきたいか、今回は書きたいと思います。

NETFLIXの会員数が減っている?!

きっかけはこのニュースでした。

様々な要因があるとされ、いよいよ終焉かと一概にも言えなさそう。競合が増えたり、ビジネスモデルが次のステージにも来ているのでしょう。でも圧倒的王者と思っていたので意外でしたし、少し時代の風が変わってきてるのかもと思いました。

何でも見れる。だからこそつらい。

といのもこの2,3ヶ月、私は1本も配信を見れておりませんのです。
私平日夜は、束縛系の5歳からヘッドロックされながら22時過ぎに気絶しておりまして、そもそも視聴チャンス自体が週に1回あるかないか。
全く元を取れておらず、解約20万人、次の候補の1人。でもここで解約したら、私の文化とのつながりがなくなってしまう。映画館になかなか行けず、おふとん上にしか自由がない我が身には、動画配信はありがたい救世主であるのです。

けれど一度離れてしまってから久々にログインすると、何でも見ることができると、逆に何を見たらいいか分からなくなる。
注力している作品や、優秀なパーソナライズで強弱はつけてくれても、同じフォーマットのサムネイルは、自分に語り掛けてくる熱量も均一に見えてしまい、コンテンツの海で途方に暮れるのです。そんなとき、こんな本に出会いました。

『映画を早送りで見る人たち』

「つまらないと感じたら1.5倍速」「会話のないシーンは即飛ばす」
作る側の末席にいるものとして衝撃的ではあったのですが、私のようなコンテンツ飽和状態になっている人たちのライフハック術だと思うと否定もできないのです。
冒頭にも書きましたが、1日24時間しかないなかで、動画だけでなく、メールやSNS、大量のコンテンツをいかに「さばいていくか」ということが現代人の命題になってしまっている気もしていて。

コンテンツは「出会い方」も大事かも。

さらにコンテンツとの付き合いを考えるきっかけになったのは、ずっと見たかった『イン・ザ・ハイツ』という映画がNETFLIXで配信が決まった時のことです。すぐ見始めたのですが、開始10分でそわそわ。なぜなら映画館で見るべきで、スマホの画面で見てはいけない作品と気づいたからでした。

1年前、たまたま土曜の朝につけたテレビで、LiLiCoさんが熱量込めてこの作品を勧めていた勢いで私は映画館を探し、無理やり時間作って見に行くべきだった。偶然の出会いから、衝動を行動に移すまでが、感動のワンセットだと気づいたのでした。

勧めてくれた人の熱を受け取り、見に行けそうな日を予定とにらめっこする。どうにか仕事を終わらせ、急いで席に飛び込む緊張感、刺さるような音と映像の迫力、余韻を連れて外に出たときの体温。映画館の街の匂い。鑑賞に至る行動すべてが、ひとつの作品であり、特別なものにするのだと。(でも作品は全て映画館で観ましょうという話ではないです)

いつでも、どこでも、何でも見れるは本当に有難い。自分に心地よい環境でみたいときもある。均一平等になったことは、どんな作品にも試聴のチャンスが広がったと思います。

画面の外に出て、熱量のある出会いに触れたい。

でも今私は、多様なコンテンツよりも、心動かされる出会い体験に飢えているのかもしれません。

「世界中とつながることができる」というのは理論的にはそうだけど、私自身に関しては、特にコロナ禍以降、自分の興味や好きの範疇のなかでだけ動いていて、世界は実はどんどん狭くなっている気がしているのです。 

だからこそ今、熱量のある出会いや偶然の生の出会いに触れたいのかもしれません。多分そろそろたまには画面の外から出たいんですね、私は。
コロナ禍3年目。五感のうち、視覚の感動だけではいよいよちょっと足りなくなってきてる。結果、チェックできるコンテンツが減っても今はよしとしよう。

動画配信は完全に習慣化されたと思います。それにコンテンツを見てもらう上では、誰が見ているのか分からないマス広告よりも、パーソナライズして告知していくほうが圧倒的に効率がいい。

でも時代もまた変わる。コンテンツとの付き合い方の新たな流れも生まれる気がしています。
人間という生き物は、時に予想通りに動くと限らないから。
生の熱量やそこでしか味わえない体験を通して、「コンテンツ」そのものをとらえ直す動きも出るような気もしています。

まず一歩。偶然の出会いの練習。


で、私の小さな一歩として、日経新聞は新聞の形のビューアーで見るようにしました。通しで全部の面をチェックしています。(サーっとですが)
サイト版だと、自分の気になることしかクリックしなくなるから。
なんだか今はAIに歯向かいたい気分です。私という人間は、クリックしたものだけで構成されてる訳じゃないんだぞと。

いっそコンテンツとの接触が減ってもいいと今回言っておきながら(!)、ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。
さてまた来月。もしよろしければお立ち寄りください。




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近森 未来(資生堂クリエイティブ コピーライター)
ここまで読んでいただきありがとうございます。 読んで、少し心がゆるんだり、逆にドキッとしたり、くすっとしたり。 おやつ休憩をとって、リフレッシュする感じの場所に ここがなれたらうれしいです。