見えた「利上げのゴール」

この期に及んでB/S縮小をしないという選択肢はなく、また公表された計数関係もそれほどショックを呼ぶものではなかったです。それよりも物価で弱い計数が続いてきたにもかかわらず年内1回を据え置いたこと自体、「頑張ったな」という印象は抱きました。むしろ、「利上げのゴール」たる中立金利がはっきりと下げられる中で、利上げは終わりが近いのだと捉えるべきなのでしょう。

現状から将来にわたっての相場を見通す際、そもそも年初来の米イールドカーブが何故ベアフラット化してきたのかを今一度、考えてみることが重要だと思います。年初から起きていることをラフに言えば、インフレが実績・期待共に盛り上がらない中で米債市場はFedの正常化プロセスに殆ど信認を抱かず、むしろ猜疑心の方が強まる様子が窺えました。ピークから半値押しとなっているドルインデックスはそうした米債市場に沿って動いてきただけであり、途中、ドラギのシントラスピーチを受けたユーロ急騰こそあったものの、やはり今次ドル安も「ディスインフレ下での正常化は続きそうにない」という思いの表れだと私は思います。

ブレイナード理事が直近の講演で述べていたように、B/S縮小の効果や副作用は未だ検証されておらず、「何が起きるか分からない」のが実情でしょう。そうした認識に立てば、余程物価が騰勢を強めてこない限り、現実問題としてB/S縮小&利上げの同時並行は困難(というかリスクマネジメント上、推奨されない)と考えます。

https://www.nikkei.com/article/DGXLASGN20H1X_Q7A920C1000000/?dg=1

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