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複業人材を活かすには、自律分散的な人的ネットワークとパーパス重視の経営が不可欠だ

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

※ 本記事は日経本紙「働き方イノベーション」面との連動企画への寄稿です。

昨今、日本の雇用システムが大変革を迎えています。従来の終身雇用と言われる日本型(メンバーシップ型)雇用は崩壊しつつあり、新卒採用においても通年採用への移行がはじまっています。日立製作所や富士通といった代表的な日系大企業も、メンバーシップ型からジョブ型へと大きく舵をきっています。

これらの違いについては、以前の記事でも紹介しました。

同時に、人材不足、特にデジタル・トランスフォーメーション(DX)を担うIT人材については慢性的に不足しています。経済産業省の委託を受けたみずほ情報総研の調査によれば、2018年時点でのギャップは22万人の不足、2030年には最大で78.7万人不足と試算されています。

不足しているのであれば、人材そのものの母数を増やすか、限られた人材を社会でいまより効率的に活用する他ありません。後者のために脚光を浴び始めたのが、副業解禁です。

社外人材をうまく活かすためには、自社に足りない人材がどういうものなのかを正確に把握する必要があります。そのため、副業人材と相性がよいのはジョブ型の会社だとも言えます。既存の業務を担う人材のジョブ・ディスクリプション(職務定義書)が明確になっており、また各ジョブの間で一緒に働くための仕組みがすでに備わっているからです。このような会社は現在でも契約社員や業務委託社員と言った形で、機動的な組織運営ができているでしょう。

ここまでだとあまりこれまでの働き方と変化がありません。いま社外人材に求められているのは、単なる下請け、もしくはコスト削減だけではありません。

ダイハツ工業は10日、社外の人材に副業で働いてもらう制度を始めると正式に発表した。国内自動車大手8社では初めて。自動車業界は「100年に1度」と言われる変革期を迎えており、スマートフォンで予約する相乗りバスなど次世代移動サービス「MaaS」の事業開発が重要だ。自社による人材育成には限界があり、働き方を柔軟に見直して外部の知見や発想を取り込む。

社外の知見や発想を積極的に取り込み、それをテコに自社の変革を果たす。ひいては自社の新規事業の創出などにも役立てようという期待があります。

しかしながら、引く手あまたの人材を惹きつけるには、企業側にも努力が必要です。これは高額の報酬を提示したから選んでもらえるという話でもなく、事業の発展性や地域への貢献、スキルアップの可能性(その方のキャリアになるか?)を明確に示すことが、魅力的な人材の確保につながります。

以前、日経COMEMO KOLの矢野さんが「パーパス型」について言及されていました。

パーパス重視の経営スタイルは、2015年ごろから米国で言われ始めたように記憶しています。

自社は何のために存在するのか、在籍する社員は何のために働いているのか――企業や組織、個人の存在意義を意味する概念、「パーパス」を重視する経営スタイルが、海外のビジネスシーンでトレンドになりつつあります。

ビジネス特化型SNSを運営する米国のLinkedInが、2016年7月に3000人のビジネスパーソンを対象に実施した調査によると、「人々の生活や社会に対してポジティブなパーパスを掲げる企業で働くならば、給与が下がってもいい」と答えた人は全体の49%と、ほぼ半数を占めるという驚くべき結果が出ました。そのうち「給与が1~5%下がってもいい」は20%。「5~20%下がってもいい」は19%。残りの10%は何と、「20~100%下がってもいい」と答えたのです。

仕事を通じて自らの存在意義を持てること。言い方を変えれば、やりがいや生きがいを感じられる仕事かどうかが重要でしょう。まずは企業が自社のパーパスをしっかりと語れることが何より大事です。そして、それを伝えていかなければなりません。そのために必要不可欠なのが、自立分散的な人的ネットワークです。

伝えるのにもっとも効果的なのは、言うまでもなく実際に働いている社員の声です。実体験からくるストーリーに勝るものはありません。私が働いている会社では、仕事をしていて楽しい瞬間を、積極的にSNSに(専用ハッシュダグ付きで)投稿することを推奨しています。これにより社員の生の声が広く拡散されることになり、多くの人に「やりがいがあり楽しい会社」であることや「ビジョンに向かってお互いがサポートしながらも高め合う文化がある」ことなどを知ってもらうことができます。その結果、中途採用での志望理由のトップが「会社のカルチャーに惹かれて」になるのです。

SNSを最大限に活用することで幅広い人材にリーチし、マッチングの機会を最大化する。そしてそれらの人材を惹きつけるためには、会社のビジョン・ミッションからなる「パーパス」が何より大事であると言えるでしょう。



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タイトル画像提供:metamorworks / PIXTA(ピクスタ)

#日経COMEMO #NIKKEI #複業人材を生かす組織とは

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