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「恩返し」でつなぐ未来へのリレーを「ふるさと納税」と「連帯貢献金」から考える

お疲れさまです。uni'que若宮です。

今日は「ふるさと納税」と「連帯貢献金」を参考に、「恩返し」の仕組みについて考えてみたいと思います。


「ふるさと納税」ってやってる?

12月、所得もだいたい確定し、年内で「ふるさと納税」を利用しようと返礼品を探している方もいらっしゃるのではないでしょうか?


「ふるさと納税」という仕組みは直接納税ではありませんが、寄付を通じてその地域にお金を送ることが出来、その分の税金控除が受けられます。上限はありますがいま居住している地域への税金から引いて、その分好きな地域にその分のお金を回すことができるわけです。また、寄付する際にその地域の環境保護や産業振興、子育て支援など使いみちも定めることもできたりします。

地方出身者は、医療や教育等の様々な住民サービスを地方で受けて育つが、進学や就職を機に生活の場を都会に移し、現住地で納税を行うことで、地方で育った者からの税収を都会の自治体だけが得ることになる。そこで寄付先を納税者自らが選択できるようにし、各自治体が国民に返礼品となる地場産品・取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、地方自治体間の競争が進むことで選ばれるにふさわしい地域のあり方を考えるきっかけとなるよう、総務省が設けた制度である

wikipediaより

「地方出身者は、医療や教育等の様々な住民サービスを地方で受けて育つが、進学や就職を機に生活の場を都会に移し、現住地で納税を行うことで、地方で育った者からの税収を都会の自治体だけが得ることになる」とあるように、収入を得るまでの期間、自分を育ててくれた自治体のサービスに対して「恩返し」しようというのがそもそもの発想で、だからこそ「ふるさと」納税という名前がついています。

僕も地方の出身ですが、たしかに地方では収入を得て税金を払うタイミングを前に転出してしまう事が多いため、地方自治体からすると、様々な行政サービスで子育てを支援しても「結局税金は帰ってこない」という苦しさがあります。

こうした(市民サービスと税収との)時間と地域のズレを是正できるように、税金の一部を本人が選択できるようにする、というのはなかなかいい仕組みですよね。

一方で都市圏からみるとふるさと納税分が「税収減」になりますから、あまりうれしいことではありません。とはいえ、考え方によっては「頑張って育ててくれた地方都市の恩にいままでがタダ乗り(フリーライド)していた」と言えなくもないので、本来の目的通りに自分のふるさとや恩のある地域に税金が振り分けられる分には、一定の公平性があるはずです。


ただ現状で言うと、「ふるさと納税」の本来の目的の「恩返し」ではなく「返礼品のおトクさ」で寄付先が選ばれてしまっている、という課題もあります。

返礼品の人気とマーケティングの上手い下手で税収が偏ると本末転倒なので、返礼品合戦があまり加熱しすぎるのも考えものかもしれません。その地域の農業を応援したい、という気持ちに対してその特産品が返ってくる、とかであればまだよいのですが、地域にまったく関係ない市販品であることもありますし、そもそも本来「恩返し」なので、返礼品なしでもよいのかもしれません。(「オトクさ」で選ぶマインドセットになると「恩返し」の逆ですね…)



「連帯貢献金」って知ってる?

突然ですが、「連帯貢献金」ってご存知でしょうか?

↓こんな感じの仕組みで、育成をしたクラブに対して「恩返し」のような形でお金が回る仕組みですごくいいですよね。

移籍金のある移籍で、かつ国外のクラブに移籍をした際には「連帯貢献金」が発生する。連帯貢献金はFIFAが定める国際ルールで、所属元クラブに支払われる移籍金のうち5%を、12~23歳を過ごしたクラブが請求できる制度のこと。国内移籍では発生しないため、Jリーグ間やプレミアリーグ間など、同一リーグでの移籍には適用されない。
連帯貢献金には、国際的な移籍をする優秀な選手を育てたクラブが対価を得られたり、国を越えた青田買いに対し育成したクラブを金銭的に保護したりという目的がある。

この仕組みでは「12~23歳を過ごしたクラブ」に権利が発生しますが、「ふるさと納税」ももしかしたら同じくたとえば「高校生までを過ごした地域」など、住民票などを元になんらか地縁があった自治体に対して選択できる、としてもよいかもしれません。個人が申告するのは煩雑かもしれないので、地方自治体が転出した若者の人数を数年後に申請し、国から税収貢献分として請求し配賦されるという仕組みもあり得るかもしれませんね。

育成のためのコストとそれに対してのリターンには時間的なズレがあるため、所属先が変わると貢献度に応じたリターンの適正な配分がされない、という状況は、社会の流動性や移動容易性があがるにつれ実は色々なところで起こって来ていそうです。

たとえば企業でもこうした問題はあります。NTTなど日本の大企業ではコストをかけて育成をしているのですが、育成したあとにGAFAを含む外資やベンチャーに人材が流出してしまう、という問題があり、「GAFA予備校」と呼ばれていたりします。

「この前はグーグル、今度はアマゾンか」。NTTグループのある管理職社員は頭を抱えた。1年で約30人、退職面談をした。技術者としての基礎を学んだ後に「GAFA」に代表される海外IT大手へ転職していく。「GAFA予備校」――。NTTはネットでそう揶揄(やゆ)される。

とくに日本の学部卒の採用では、プロとしてすぐ使える専門的な技能はあまり身についていない状態から始まります。大企業はそれをいわゆるメンバーシップ型で一括採用して、研修やジョブローテーションを通じて育成をしていくわけですが、一定育成してさあこれから活躍、という時に人的資産が外にでてしまう流れはたしかに頭が痛いかもしれません。

とはいえ、他の条件がよい企業や魅力的なベンチャーがあれば転職するのは個人の自由ですし、社会全体としてみてもスキルを身に着けた人が、グローバル企業やベンチャーでさらに活躍する機会を得るために新たなでチャレンジするというのは(ふるさとを出て都会で活躍する人と同様)よい面もあります。そういう意味ではただ「囲い込み」をしてもあまり意味がないでしょう。


こうした時にFIFAの「連帯貢献」のような仕組みがあれば、仮に転職で流出しそ外で活躍している分のうちのいくらかを「ふるさと」企業に「恩返し」する仕組みもできるかもしれません。(お金のリターンに限らず、人脈やナレッジでの恩返しも含め)


あるいはもう少し大きな規模で考えるなら、これは国と企業の関係でも言えるかもしれません。地場で育って拡大成長し利益を伸ばした企業が、タックスヘイブンに拠点をうつしてしまい税金を地元に払われない、というような問題もあるからです。


「恩返し」で未来にバトンを繋ぐ

「恩返し」というのは本来は本人の気持ちの問題なので、制度がなくとも自発的にされればそれが一番です。

ただ、我が身を振り返っても、お世話になった「ふるさと」のことを思い出す機会は(日常過ごしている街に比べると)圧倒的に少なかったりするので、なにか仕掛けがあるとよいかも、と思います。

就職のための転出や転職、タックスヘイブンへの移転にも(現時点においての)経済合理性がありますし、その選択をそれをただ責めるのはちがうでしょう。しかし、現在の活躍や成果は過去からのつながりの結果な部分が一定あります(もちろん、ふるさとに嫌な思い出こそあれ全く「恩」はない、というケースもあるかもしれませんが…)。その意味では育ててくれた「ふるさと」は「原産地」だとも言えます。ないがしろにしているうちにもしそこがなくなってしまえば、そこから生まれるその後の人材の活躍の機会も根本からなくなってしまいます。

「恩返し」というのはいわばリレーのバトンです。すでに自分たちはそれを受け取って走っています。それをちゃんと「恩返し」していくことは未来にバトンをつないでいくことではないでしょうか。


もちろん、税金などでなくとも色々な「恩返し」の方法はあります。たとえば僕がアートとビジネスの結び目をつくる活動をしているのもある種「恩返し」の想いで自分のお金や時間を投じています。アートや美学芸術学という学問に出会ったおかげで今の自分があると強く思うので、その芽を絶やしたくないですし、これからますます盛り上がっていってほしいなと思うからです。

そういう意味では、文化や教育に対しての成功した大人からも「恩返し」ももっと増えていくといいなと思っています。欧米に比べると大学への企業や個人からの寄付は日本はとても少ないですが、そうした応援もあるといいですよね(ただし、子供の入学に影響したりしてまたこれが問題なのですが…)

制度をまたずにすぐできることとして

・「ふるさと納税」も返礼品で選ぶだけではなく、地元にちょっと「恩返し」をする機会にしてみる
・ふるさとや卒業校、古巣に仕事やスキルでなにか「恩返し」ができないか考えてみる
・そういう恩返しをしたことを発信する(寄付したりしたことを公にしないのが美徳とされがちですが、事例として発信することで連鎖を生むので発信するのもいいことだと思います)

などがあると思うので、この記事がそうしたきっかけになったらうれしいです。

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