コスプレは写真から動画に=ドイツのファン事情から考える
ドイツで先日、アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のコスプレ動画が公開されました。有志のファンが集まって制作した映像です。今回は制作者でドイツのコスプレイヤー、Anshieさんにオンラインでインタビューを実施しました。ドイツのコスプレ事情から考えてみます。
京都アニメーションが制作したアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』といえば、ドイツ風の世界観で展開するストーリーも見どころのひとつだったのではないでしょうか。コスプレ動画は、ドイツの町でロケが行われたほか、作中でも印象的なシーンのひとつだった湖を走るシーンも再現されています。(画像は公開動画からのスクリーンショット)
また、最後には、京都アニメーションで起こった放火事件の犠牲者を追悼するメッセージもありました。映像からは作品への愛とリスペクトが感じられます。
動画本編はこちらになります。
筆者の知る限り、コスプレは衣装を着て、見せるものから、写真に残すトレンドが現れ、最近は技術の進歩などもあり、動画が増えつつあると感じています。
今回はそのあたりの事情も踏まえて、動画を制作したAnshieさんにオンラインでインタビューしてみました。
(インタビュー開始)
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を選んだ理由は?
作品にとても強く感動したから。ドラマチックでエモーショナルな動画を作るのは好きですが、動画を見てくれた人にこの感情を伝えることは大きなチャレンジでした。
最後の追悼文については?
放火事件が発生したときは、動画の編集作業をしている時でニュースを見てとてもショックを受けました。追悼の気持ちをどうしても伝えたいと思いました。
最も難しかったことは?
技術的な問題が起こり、さらにデータが消滅してしまいました。
(筆者注:これについては、公開直前にチャンネルアカウントがハッキングされた旨などが別の動画で説明されています。日本語字幕付きで写真アルバムのプレゼントもあるようなので、興味のある方はご覧になってください。)
ロケーション探しや協力者、日程調整は難しかった?
今回はかなり簡単でした。出演者の多くが過去にも協力してくれた経験があったからです。
(『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の主人公ヴァイオレット・エヴァーガーデンに扮するAnshieさん)
制作コストの調達方法は?
予算はありません。皆で分担して負担しました。
自作の衣装の制作コストは?
一概には言えませんが、各コスプレイヤーが自分の衣装を用意します。ほとんどのコスプレ衣装はだいたい数万円くらいだと思います。
ロケーションにレンタル料は必要?
これは毎回異なりますし、ロケーションにもよります。
今後、ドイツではコスプレ動画が増えると思う?
私の印象では成長中のトレンドだと思います。どんな動画が現れるのかとても楽しみにしています。
(インタビュー終了)
余談ですが、Anshieさんは、実はドイツにおける有力なコスプレ動画の制作者でもあります。彼女が過去に制作したアニメ『進撃の巨人』のコスプレ動画は動画サイトで300万回を超える再生数を達成し、日本やドイツだけでなく、世界中のファンから注目されました。
まとめます。日本のアニメや漫画が好きなファンたちにとって、作品への愛やリスペクトを表現する手段は、コスプレや同人誌、ファンアートなど多岐にわたります。作品がヒットすれば、世界中にファンが生まれるのも近年は当たり前なことになってきました。
今回のコスプレ動画は、ドイツ人たちがドイツでドイツ風の作品の動画を作ることで、高いクオリティを実現したと筆者は考えます。しかし、このようなファン行動は、日本やドイツにとどまらず世界中のどこで行われてもおかしくないと思います。
衣装制作に必要な生地、ロケハンの移動宿泊費、映像の撮影・編集に必要な機材など、背後に大きな経済的要素が存在していることは容易に想像できます。こういったファン行動を支援するようなビジネス的な枠組みが求められているのかもしれません。皆さんはどう思いますか?
(タイトル画像の一部が仕様により見切れているのでこちらに再掲します。)
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写真&インタビュー協力・Anshieさん