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フォロワー数を気にしないブログやSNSの仕事への活かし方

ブログやSNSを使い始めたのは、まだ会社員だったころだった。実名や所属(社名)を明かしてブログやSNSを使うことは会社の就業規則との兼ね合いもあってデリケートな一面があったので、当時はハンドルネームを使い、実名や所属を伏せた形で利用していた。

そのころから変わらないのは、「リアルとの接点のひとつとしてのブログやSNS」という使い方を、自分の場合はしてきている、ということかと思う。

当時はまだ今ほど利用者が多くなかったせいもあるけれど、オンラインだけでなく、実際にSNSのユーザー同士が顔を合わせる機会も多かった。なので、実名でなくても実際に顔を合わせていることが、実名での利用と同じかそれ以上の関係性を生んでいたと思うし、いまもそうした関係が続いている。オンラインで書かれているものでも、書いた人を知っていれば信ぴょう性についての判断材料が多く、そうした人がシェアする記事などは、その人のフィルターにかけられ、キュレーションされたものとしての価値がある。それは、自分が記事等をシェアするときにも意識していることだ。

今でも、実名や所属を明かしてSNSやブログで発信することには何らかの制約がある会社が多いのではないかと思う。可能であれば、オンラインで知り合ったユーザーと気が合いそうだと思ったら、少し勇気はいるけれど、積極的に実際に顔を合わせてみることも有意義なのではないだろうか。

時代は変わって、ブログはともかく、今ではSNSはとても多くの人が利用するようになった。顔見知りではない人に、言ってみれば前後の文脈なしに書いたものが読まれたり見られたりする。そうなると「炎上」のような現象に遭遇することにもなる。このため、あえて、情報を届けたい人だけにわかるような書き方をしたり、専門用語を意識的に使ったりすることも以前より増えたけれど、結果的には、それによってコミュニケーションの範囲が適度に絞り込まれることになるので、かえって有益かなと思うこともある。もちろん、多くのフォロワーを得てSNS等を使うこともまた別な意義があるだろうと思うし、それを否定するつもりはない。自分の使い方は、フォロワー数を増やすことで「インフルエンサー」としてのポジションを得るといった動きとは真逆のアプローチなのだけれど、そういう異なる使い方が共存できるのもSNSの良さだと思うし、使い方をみれば、顔見知りではなくても、ユーザーの志向や人となりがわかってくる。

会社を辞めて独立し、実名での発信も所属組織のルールによる制約はなくなって完全に自己責任になったけれど、Twitterはハンドルネームのままで使っている。これは、急に変えることで以前からのユーザーに対してアイデンティティを保てなくなることと、自分のTwitterへの向き合い方のスタンスを変えたくないと思ったから。Facebookやnote、LinkedIn、自社ブログではもちろん実名で使っている。LinkedInは英語のみで運用していて、英文履歴書の代わりのように役立っているが、あまり積極的には更新・ポストをしていない、というのが実情。英語による発信をどう増やすかも、ひとつの課題である。

実名でSNSやブログで発信することのメリットは、仕事に関して問い合わせを受けたときなどに、過去に書いたもののリンクを送ることで、自分の考え方を伝えたり、過去の実績をお知らせしたり、といったことに使えることだと、最近特に思う。独立してから書いたものが一定の数になってきたということもあるけれど、改めて書いたりせずに、自分が過去に書いたものを何度も活用できる点はメリットだ。ビジュアルで勝負するような仕事であればInstagramもそういった目的に使えると思う。それだけに、何らかの新鮮な経験をしたり、考えが深まったり変わったりしたときには、ブログやSNSに書き留めておくことが大切なのだと、改めて思う。

いずれにしても、ブログにせよSNSにせよ、大事なことは発信したことが「誰かの役に立つこと」ではないかと思っている。単純にフォロワーが多ければよい、ということでもないだろう。もちろん、フォロワーが多い人で役に立つ情報を発信している人も沢山いるけれど、一方でフォロワー集めが目的になっているのかな、と思わされることもある。確かにいわゆる「インフルエンサー」を目指し、それで幾ばくかの収入を得ることを目的としているなら、それは「正しい」手段なのかもしれない。一方で、自分のようにB2Bの仕事が中心の人であれば、リーチする人数の多さよりも、内容の深さや視点の持ち方がポイントになると思う。

従来、いわゆる「マスメディア」から受け取っていた情報の代わりに「オンラインメディア」を使うことは、自分もしているし、それを否定するものではないけれど、それだけでは、オンラインの良さを十分に活かしてるとはいえない。数少ない人に対してであっても、その人たちにとってプラスとなることを発信していきたいと思っているし、それが「マス」相手でなくても成り立つネットメディアの利点だと思う。

そして、「スキ」や「いいね」があまりつかず、「バズる」ことなく、さほど読まれていないように感じても、案外読まれているのだな、と後から知ることも多い。自社ブログの更新を怠っていたら、大学時代の恩師から「最近は更新していないのか」と年賀状でご指摘いただいたことがあって、ちょっとびっくりした。

仕事の性質上、仕事のお話を頂くのも、圧倒的に顔見知りの方を通じて頂くことが多い。それでは十分な広がりを得られない、ということかもしれないけれど、今のところは会社も小さいので、それでよいのかと思っていて、そうであるならオンラインでの発信が届くのも、顔見知りの人たちが中心で構わないのかな、と今は思っている。

自分としては、オンライン・マスメディアができないことを、ブログやSNSでの発信の中核にしていきたいと思っているし、それはフォロワーが(爆発的に)増えるとか、バズるということとは、必ずしも両立しないことのように思う。そう考えるのは、SNSに対する向き合い方が古くさい、ということなのかもしれないけれど。

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