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続く在宅勤務、「心のケア」の処方箋

はじめまして!日経COMEMO KOL就任のご挨拶

初めまして。ナラティブベースの江頭春可と申します。周りからは「ハル」とか「ハルさん」とか呼ばれています。この度日経COMEMOのKOLとして月2回のマガジン投稿をさせていただくことになりました。1年半ほどひっそりと書いていたnoteですが、COMEMOの読者のみなさんにも読んでいただける機会をいただき、ワクワクが止まりません。さて、わたしが何者で、どんな知見をお届けできるのか、自己紹介も兼ねて1本目を投稿させていただきます!

「チーム」で「フルリモートワーク」を10年間続けて

わたしが代表をしている株式会社ナラティブベースは、様々なスキルセットのフリーランスや複業者が30名以上リモートでつながっている会社というよりはコミュニティに近い組織です。クライアント企業の課題に合わせて人材を柔軟に組み合わせ「リモートチーム」を結成し、オンラインで連携しながら、事業企画、マーケティング&セールス、オペレーション業務などなど、様々な業務委託を10年以上続けてきました。その結果、離れていても強くつながる「オンラインチームビルディング」のノウハウが一般企業に先駆けて蓄積してきています。今ではそのノウハウを提供する研修やワークショップ、チームビルディングのサービスも展開しています。

リモートワーク(在宅勤務)促進の副作用

さて、コロナ禍で急速にリモートワークが進んだことで、昨年秋口くらいから、働く人の「心の問題」についてのお悩みもよく聞くようになってきました。相手がみえない状態で働く中では、過剰な気遣いや不安の増幅が一人では止められず、ネガティブなスパイラルに陥りがちです。オンラインになって、主体的に動ける人とそうでない人の差が大きくなり二極化しているといった声もよく聞きます。
以下の記事では、20代のまだ働き方が確立されていない人の不安が大きいとの調査結果が取り上げられていますが、周りの話を聞く限り、転職者や異動者など、新しい環境に馴染まなければならない人も、他の人よりも不安の増幅がみられるように思います。

リモートワークに慣れ業務効率が上がり始めたころにやってきた、この「副作用」に、どう対応したらよいのか?今まさに頭を悩ませている管理職や人事の方も多いのではないでしょうか。

「心のケア」 いろいろはじめてみたけれど…

一部の企業では、意識的に「雑談」や「近況報告」「オンライン飲み会」を増やしたり、「1 on 1ミーティング」「面談」などを取り入れたりする工夫をはじめているようです。確かに、個人の状況をチェックし、気持ちを吐き出す時間を増やすことで、一定の効果は見込めます。しかし開始してみたものの、時間もパワーもかかるわりに目的が不明瞭になりがち…、これをいつまで続ければ?という声も聞こえきています。やっている人同士が「これってなんのため?」となっていたら、せっかく取り入れた手法も習慣化が難しいですよね。では、どんな目的を持たせれば、「心のケア」は習慣化できるのでしょうか?

「心の霧」を晴らすのは情報量と安心感

実は、ナラティブベースでも過去には「心の問題」が噴出している時期がありました。あるときその年にジョインした3人のメンバーに仕事を開始したばかりのときの「不安」についてインタビューすると、表現は違えど同じ感覚を話し出しました。「3歩先が見えない」「少し先に何があるのかわからないような怖さ」「自分の足元しか見えていない感覚」。つまり、先がよくわからない霧のかかった状態で進めと言われているような恐怖感でした。ではそれがどう解消されたのかと聞くと、自分の業務の周辺情報が徐々に増え、周りに働いている人の人となりや、話している内容の背景がわかっていくことで次第に解消されていく。当たり前のようですが、そういった細かな人と人との関係性の情報の蓄積が安心感につながっていること、また、情報取得に時間がかかり過ぎると、不安の増幅にもつながることがわかりました。

処方箋は、「対話型会議」の習慣化

オンラインでは業務進行は無駄なく効率的に進むのですが、背景理解や関係性構築のための対話(情報量)が圧倒的に不足します。それが働く人の「心の問題」(=不安)に直結しているのです。
オフィスで顔を合わせている場合、「業務進行」と「関係性構築」は無意識に同時進行が可能なのですが、リモートではこの同時進行が不可能です。オフィスワークをリモートワークに切り替えた場合、「どうやって同時進行させるか?」と考えがちですが、経験上、これは割り切って切り離すのが正解です。
そこで、お勧めしたいのが「対話型会議」です。トピックを設定しつつ、ゴールを目指さない、対話を目的にした会議を定期開催し、習慣化していくことで情報量と関係性構築を補います。

「面談」ではなくあえて「会議」を

面談や1on1では「相談」になりがちな話題も、対話の場で取り上げることで、それぞれの不安・困りゴトの「共有」になります。管理職側が解決に走らずとも、その場で人の話を聞くだけで、「ああ、私だけじゃなかったんだ」「同じように困っているけどこう解決した」など、話の展開によって自然に不安が解消されていくケースも少なくありません。また、口にしてみたら意外と大したことではなかった、なんてことも。
「人は人を知ることで安心し、不安が解消される」という原則をベースに工夫を行うのが「心のケア」のコツとも言えそうです。

ここで取り上げた「対話型会議」ですが、ナラティブベースでは別名「ゴールのない会議」や「一人でやらない脳内会議」などと呼んでいます。これらの具体事例についてはまた追って記事にしていきたいと思います。ひとまずはご挨拶に代えてここまで!これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

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