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欧州での「環境問題」の感覚

もうとっくの昔に、政党を右と左に分ける指標が消失していますが、それでも相変わらず、右と左という分け方が何やかんやと使われています。先日、行われた欧州議会選挙でも、やはり、左右という表現が使われています。

今回の選挙は、環境問題が大きな焦点となっていましたが、かつて環境問題は「左寄り」と言われました。しかし、今の特に若い人たちの関心のゆくえを見ていると、環境問題と政治的方向はあまり関係がないように見えます。

上の記事に以下の文章があります。

スウェーデンの16歳の活動家グレタ・トゥンベリさんが気候変動に抗議するため独りで始めたストライキ「未来のための金曜日(フライデー・フォー・ザ・フューチャー)」は今年1月以降欧州全体に広がり、5月24日にも数十万人の生徒たちが授業をボイコットしてデモに参加した。

これは高校生の息子を見ていてもそうで、先週の金曜日、ミラノ市内のデモに参加しました。およそ3万人の生徒がミラノでも1日中、練り歩きました。実は、その日、数学のテストが予定されていたのですが、前日、息子が先生に「明日、11時半にテストが終わったらデモに参加したい」と申し出たら、「なに、バカなことを言っているの!デモは9時半からでしょう?ちゃんと最初から参加しなさい。テストは来週に延期します」と言われたそうです。

結果、クラス25人のうち、20人近くがデモに参加しました。この子たちや先生の様子から察するに、政治的な意見とはまったく別のところに環境問題への関心があります。そのあたりの感覚の変化は、現在、ミラノのトリエンナーレ美術館で開催されている"Broken Nature" という展覧会の見学者の姿を眺めていても感じました。

若い子たちをみていて思うのは、環境問題と欧州連合の2つについては、完全に「当たり前の日常の前提」になっていることです。

とても興味深く、モヤモヤしたものがたくさん残る展示だった。もう何十年も前から語られてきた生態系というテーマが、ここまで到達して、これほどの広い範囲まで「人々の意識の内」に入ってきたかと感じた。かなり細かい科学データもある展示を、デザインやアートの展覧会に通い馴れた印象のある若い人たちが熱心に見ているーーつまり普段、科学技術博物館に通うタイプが美術館に来たのではない。

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